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美しい世界遺産の街 バース
Bathと書いてバースと読む。
ロンドンから西に電車で約1時間半のその街に、私は2019年、6ヶ月のイングランド滞在中に計4回訪れた。
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最初から特段気に入りだったわけではなく、バースからほど近いブリストル(Bristol)に住んでいたこともよく訪れた理由の一つだが、バースはイングランドを去る頃にはすっかり馴染みの、お気に入りの街になっていた。
バースは、隣接するブリストルとは趣を異にする。
コッツウォルズのツアーに参加した際、知り合ったスペイン人の女性は語学留学でバースに滞在中で、私がブリストルに住んでいると言うと、
「ブリストルは知っていたけれど私はバースを選んだわ。歴史と趣のある街の方が私には魅力的だったの」
と話していたのが、よく記憶に残っている。
当時私はバースのことをあまり知らず、そんなものかと流してしまったけれど、この日、バースの美しさに気付いた私はその後の再訪を決め、イングランドで過ごす最後の週末、4度目の訪問を果たした。
人口は9万人ほどのこぢんまりした街は落ち着いた雰囲気で、けれど確かに歴史と情緒が感じられる。世界遺産に登録され、イギリスで唯一の温泉地でもある。
私にとっては思い出深いバース、写真とともにそのバースの街を振り返ってみたいと思う。
最初は気が付かなかったバースの魅力
イングランドに来て最初の週末にバースを訪れた後、2度目はバース近郊の村に住んでいる友人を訪ねて、ここで待ち合わせをしたためだった。この日は6月初旬、快晴で素晴らしいお天気。バースの街は駅前を少し歩いたぐらいだったが、イングランドの初夏を大いに満喫できる、それはすてきな週末だった。
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そして3度目はその年の8月も下旬に差し掛かった頃。コッツウォルズをまわるツアーの集合場所がバースだった、というまたしても二次的な理由だった。
はっとしたバースの街並みの美しさ
集合場所は、バースの駅から徒歩5分ほどのところにあるアビーホテルの前。ここはバースでも指折りの美しい街並みに数えられる場所だと思う。秋晴れの素晴らしいお天気の下、駅からそのアビーホテルに向かう折、私はバースの街の美しさにはたと気が付き、何度か訪れていながらこれまでこの素晴らしさに気付かずにいたことにはっとした。
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初回の訪問は4月で、曇り空でまだ寒い時節、街の美しさに気が付きづらかったこと、また私がバースから至近のブリストルに住んでおり、それ故いわば灯台下暗しで、敢えてまた訪れるまでは至らなかった、ということが理由だったように思う。
イングランド滞在も残り少なくなってきて、行きたいところには可能な限り行っておこうと考えていた矢先、バースにもう一度来ようと決めたのはこの3度目の訪問時だった。
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そんな訳で、ブリストルで過ごす最後の週末に満を持して訪れたのが4度目のバースだった。9月も中旬に差し掛かった頃だった。
バースを満喫した4度目の訪問
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この日も起点はバーススパ(Bath Spa)駅。駅から人の流れに沿って歩くと辿り着くのはバース修道院。やはり観光客で賑わっていた。
その後アートギャラリーに立ち寄り、次の目的地に向かう前に休憩しようと気の赴くままに散策していると、ふと辿り着いたエイボン川の辺り、そしてパルトニー橋の美しさに目を奪われ、私はしばらくその場から動けなくなってしまった。
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パルトニー橋はとりわけ絵になる場所だった。私はカメラのシャッターを切りながら、その美しさに思いの外長く佇んでいたように思う。それは単純にイングランド風というよりも、ローマ帝国時代の雰囲気が入り混じった、歴史が育んだ風情が感じられる場所だった。
紀元40年頃~410年頃まで、ブリテン島の南部はローマ帝国の属州だった
ここは、バースの街自体が世界遺産に登録されているということにも大きく頷ける景観でもあった。
青空と緑と、そして蜂蜜色の古い建築のコントラストは一際美しく、パルトニー橋の前で私はまたしばらくその景観を眺め耽ってしまった。
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私はパルトニー橋にあるカフェで休憩することに決め、残念ながら窓際の特等席は取れなかったけれど、週末の午後の喧騒を心地よく感じながら束の間の休息を楽しんだ。日曜の午後はどこの国でも変わらない、買い物や週末の予定を終えひと段落した人々が喧しく会話している様子を眺めながら。
そして最後に向かったのが、ロイヤル・クレッセントだった。
ロイヤル・クレッセント
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それは広い敷地に三日月状に設計された18世紀の貴族や富裕層向けの集合住宅で、現在も住宅として機能している建築物だ。私は時間の関係でスキップしたが、一番角の “ナンバーワン ロイヤル クレッセント” は建てられたジョージ王朝時代のその様子を再現した博物館になっている。
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その名の通り三日月状のアーチを描いたこの建築物は外観から細部までそれは美しく、またしても心奪われた私は、お天気の良さも手伝い、その周囲を巡りながら写真を撮ったり、手前の緑地で休憩したりとこの周辺を心ゆくまで楽しんだ。
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その壮大さと美しさに時間を忘れ、かれこれ1時間はここで過ごしていたように思う。最後は帰りのバスの時間に合わせ、後ろ髪を引かれる思いでバースを後にした。
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美しい街並みが育まれた理由
バースの街並みはより歴史を感じさせ、情緒と美意識に富むもので、冒頭にも言及した通りその雰囲気は当時暮らしていた至近のブリストルとは異なるものだった。帰宅してからホストペアレンツにその理由を尋ねたのだが、彼らが言うにはそれはバースの成り立ちと歴史ではないか、ということだった。
古くから温泉があったことで、王室御用達の保養地として発展したことに加え、18世紀にロイヤル・クレッセントを始め街の再開発が進み、現在もランドマークとなっているものはほぼこの時代に建てられたという。
特定のランドマークではなく、“City of Bath” として街全体がユネスコの世界遺産に登録されているというのも、街並みの美しさを端的に物語っている。
ロイヤル・クレッセントはバースの駅から徒歩で30分程度。暖かい季節にはバース修道院やエイボン川、パルトニー橋を経由して、サンドイッチや軽食を手に、のんびり訪れるのもいいだろう。その道すがらもバースの瀟洒な街並みが楽しめて退屈しない。
ロンドンからも日帰り可能なバース。イギリスでも屈指の、美しくそれでいて落ち着いた街。
写真を見返す度、私もまたゆっくりと訪れたいと思う街である。
※ 挿入されている写真及び画像、動画コンテンツはすべて筆者によるものです。
(Bath, 15 Sep 2019)
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