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「変わる組織」はどこが違うのか? 57
ワークショップの作法
前回、フラットな組織をつくるには、気楽にマジメな話をするワークショップを取り入れるのがいいという話をしました。
そのためには、主催者側は気楽な雰囲気、何を話しても安心で安全な場を提供する必要があります(場づくり)。これ、よく知られています。しかし、ちょっと強調されすぎて、もう一つの重要な要素、参加者の作法については忘れられているような気がします。
私の体験では、この参加者の作法と、そこに影響力を行使できるファシリテーターの役割が場づくりと同じぐらい重要です。ワークショップが単なるガス抜きで終わるのか、生産的なものになるのか。その分かれ目がここにあるからです。
参加者の作法で大切なポイントを列挙しておきましょう。テーマから離れ過ぎず気楽に口を開く。気づいたことを恥ずかしがらずに共有する。自分の考えにこだわらず、反対意見も違和感を覚えることも、いったんは「そういう見方もあるんだ」と受け止める。それを自分の考えと並べて俯瞰的に考えてみる。時間をかけて反芻し考えを深める。他人の感情を不必要に刺激する言動を慎む。といったところでしょうか。
そしてワークショップのあと。受けた刺激を大切にして、普段の生活の中で関連することがらを観察する。観察したことを整理・分析し、次のワークショップの場で共有してまた刺激を受ける。こうしてチームで考えを深めるサイクルを回すことが大切です。
ワークショップは定性的な話で始まるのが普通ですが、仕事に役立てるには、そこでとどまらずに定量的な議論に進めることも大切です。アイデアを検証するためには定量性が必要ですからね。そのために、サーバーの中にあるデータを取り出すアプリを作ってもらったこともあるぐらいです。
ワークショップ慣れをしている人は、以上のような作法を心得ているものですが、日本ではまだ非常に少数派です。
そこで重要なのが、ファシリテーターの役割です。不慣れな参加者に、こう振舞ってくださいとリードする。たとえばグランドルールです。グランドルールは、基本的に参加者が作るものですが、上記のポイントを踏まえて必要なら少し修正を加える。4つあるグランドルールの1項目に修正を求めても問題になることはありません。
考えを深めたりアイデアを検証するために、どのようなデータが必要かを問いかけ、次回までに準備してもらうことが必要な場合もあります。これには、専門知識やテーマについての土地勘が必要なこともありますから、そういう人の助けを借りることを躊躇してはいけません。
学習する組織という考えがアージリスらによって唱えられてから半世紀近くの時が経ちました。しかし、その具体的な形をアクションレベルで解説したものはあまりなさそうです。「学習する組織」と百万遍唱えても、そうはなりません。まずはワークショップからスタートしてみましょう。