フィッシュ&チップスを作ってエールを飲もう。
クラフトビールっていろんなスタイルがあって、個性豊かで楽しいですよね。その日そのときの気分で、好みの味が選べるのが魅力です。
🍺パブとエール
もともと日本のビールは、下面発酵のラガーが主流でしたが、いまクラフトビールで注目されているのは、上面発酵スタイルのエールというビール。我々には目新しくても、エールは伝統的なビールで、その代表的な生産国がイギリスです。
そしてイギリスといえば、日本の居酒屋のように、街に立ち並ぶのがパブ。そんなパブではビールや、りんご酒のサイダーが親しまれ、そしてパブフードといわれるおつまみにも、ご当地らしいメニューがいろいろです。
そんな中でも定番で、伝統的なメニューがこれ。
フィッシュ・アンド・チップスです。
白身魚のフライとフライドポテト。揚げ物&揚げ物というシンプルかつ潔さを感じるひと品です。
フライといっても魚の衣は、日本の洋食屋さんスタイルのパン粉ではなく、いわゆるフリッター。和食的にいうと天ぷらな感じです。
パブは気軽に近所の人が寄り合うような場所で、基本的にはレストランのような手の込んだおつまみがあるわけではなく、こういうご当地グルメ的な親しみやすい感じが、いかにもパブフードって気がします。
🍺フィッシュ&チップスで一杯やろう
そんなフィッシュ&チップスをつくって、イングリッシュスタイルのエール系ビールで一杯やろうぜ、というのが今回のテーマです。
まずはフライドポテトの下準備から。
ちなみに、料理名の中にある“チップス”がフライドポテトのことなのですが、これが英国風の呼び名です。チップスときくと、つい薄くてカリカリのスナック菓子のポテチを思い浮かべてしまいますが、あれはイギリスにいくと“クリスプ”の名前で売られています。
🥔材料
・じゃがいも
・塩
じゃがいもは皮ごとレンジで加熱します。
触れるくらいに冷めたら皮をむいて、バトン状に切り分けます。
ちなみに冷めてからでないと、皮をむくときは熱いわ、切り分けようとすると崩れやすいわで大変なので、焦らずにある程度冷ましましょう。
🥄タルタルソースも手作り
続いて魚系フライものには欠かせないあれです。
マヨネーズに玉ねぎ、自家製のピクルスをあわせて、隠し味にフレンチマスタード。
アクセントのこしょうと混ぜて、タルタルソースの完成です。
💧イギリスのお酢はモルトビネガー
そして、現地での定番中の定番、王道といえばこれ。
モルトビネガー。モルトはもちろんビールのあのモルト、麦芽です。
日本ではなじみが薄い存在ですが、よく考えてみれば、日本酒の国、日本には米酢があり、ワインの国、フランスやイタリア、スペインにはワインビネガーがあります。
とくれば、ビールの国イギリスにはあって然りのお酢ですね。
これを直接かけるというと、え、お酢を?
といわれることもありますが、けっこうまろやかな感じで味も香りもキツくないと思います。
モルトビネガーでフライをさっぱり楽しむもよし、相性抜群のタルタルソースでコクを加えるもよし。
白身フライは調理法にフォーカスすると、ディープフライのこってりさがある反面、素材自体は淡白な白身魚。さっぱりしたモルトビネガーに、コクのあるタルタルソースは、それぞれの特徴と組み合わせて引き立て合うソースです。
もちろん、そのほかにケチャップやウスターソース、レモン汁などでもOK。お好みのスタイルでいきましょう。
🍟チップス揚げます
ポテトは一度レンジで加熱してあるので、揚げるときは高温でOK。
途中で返して、色づいてきたら揚げ上がりです。
ほら、輝くようなゴールドカラー。熱いうちに軽く塩を振っておきます。
🐟️フィッシュの衣のポイントは
続いてメインのフィッシュを揚げていきます。魚の種類としては、まずは白身がおすすめ。
本国では“ハドック”が定番中の定番ですが、手に入れにくいので、今回はそれに近いタラを選びました。
ほかに、ヒラメやタイなんかでもOK。切り身でいいのがないときは、ちょっと贅沢ですが、お刺身用の白身魚の柵を使うのもありです。
ここで衣にポイントが。
🐟フィッシュフライの材料
・たらの切り身
・天ぷら粉
・炭酸水
材料をみれば一目瞭然。そう、炭酸水です。
粉もさくっと揚げやすい、天ぷら粉を使います。
天ぷら粉を使っているので、普通の水でもいいのですが、炭酸水を使うとホントに上手にクリスピーに仕上がります。
衣の濃度はあまり水っぽくならず、身にしっかりとまとわりつく、ぽてっとしたくらいがおすすめ。
白身魚は火通りのいい素材なので、衣をかりっと揚げることを意識して強めの火でいきます。
底が固まったら返すと、ほら、こんがりと色づいて、なんだかお菓子みたいな黄金色。なんかドーナツとか思い出すルックスです。
これで間違いなく、外はかりっと、中はホクホク。いい感じになりました。
🍟フィッシュとチップスの共演
ポテト…もとい、チップスをお皿のはしに盛り付けます。
そしてどーんと、フィッシュ。こうして見ると、タラの切り身1切れでもかなりボリュームを感じますね。
余談ですが、実際のロンドンではこんなもんじゃなかったです。はじめていったとき、楽しみにしてフィッシュ&チップスの専門店ぽいとところで食べたのですが、スリッパがでてきたのかと思うくらいのサイズでした。
彩りに上から刻んだパセリをぱらぱら。モルトビネガー&タルタルソースを添えました。
🍺そしてエールを飲みながら
もちろん、ペールエール系のビールをスタンバイ。チップスは指でつまんで、フィッシュはキッチンペーパーで包んでいただくと雰囲気でますね。
もともと庶民の味で、テイクアウェイとしても人気のメニューですが、屋台的なお店では新聞紙に包んで売ってたりもしたそうです。英字新聞に包まれた、フライにかじりついて、エールをちびりちびりなんて、かっこいいなぁと思うのですが、衛生的な観点から、いまは新聞紙を使ったりすることはないとも聞きました。
清潔なことは素晴らしいと思う反面、風情や文化より、衛生面のプライオリティが高い世の中になったんだなぁと、ちょっとしんみりしたりもします。
そんな気分になったのは、ついついパイントグラスを重ねすぎたせいかもしれません。でも何に包まれていようとも、フィッシュはフィッシュ、チップスはチップス。フィッシュ&チップスは変わらないイギリスのご当地グルメです。
古きよき時代の文化が変化しても、その味が変わらず残っているということは、嬉しいことでもあります。
📓レシピ~fromクラシル
クラシルで詳しくレシピ紹介しています。よかったらご覧ください。