人はなぜ生まれてくるのか。「最後の医者は雨上がりの空に君を願う」
前作「最後の医者は桜を見上げて君を想う」からの続編となる本作「最後の医者は雨上がりの空に君を願う」(二宮敦人 著)。上下の二部構成となっています。
前作では、主人公の医師たちが生と死の間にいる患者にどう向き合うかに迫ってく内容。今作では、その医師たちの過去に焦点をあてた物語になっています。
(上)では、病気にかかるもあきらめず、なんとかして生きたいと強い意志を持った女性を、医師の福原が全力でサポートしていく物語。その陰で、もう一人の医師桐子は、患者に対して無理やり考えを押しつけず、患者本人の意思を尊重していく正反対の治療法をとっていく。2つのストーリーが同時進行しながら、ひとつにむすびついていく。
相容れない考え方で前作同様にぶつかっていく2人ですが、(下)ではさらに過去の体験にふれていき、なぜ2人はこのような考え方になっていくかに迫る内容になっています。
人はだれかを助ける・助けられるために生まれてくる。
生きることの核心にふれ、読んでいる僕たち読者の生き方をあらためて考えさせてくれる作品。
〇ざっくりストーリー
前作であった病院内での騒動により、副院長として輝かしいキャリアを歩いていた福原は失脚し、窓際へと追いやられる。そこに1人の患者が訪れる。難病を患いながらも、なんとか生きようとする患者の強い気持ちにふれ、福原は熱心に治療にあたる。
生きたい気持ちはまわりからのサポートを受け、どんどん病気や気持ちが快方へ向かっていく。
一方、もう一人の主人公でもある医師の桐子は、診療所を開業する。そこに訪れた患者を通して、無理に生き長らえさせるのではなく、患者自身の意思を尊重する考えを示していく。
このそれぞれの患者の治療方針をめぐり、正反対の意見を持った両者が再びぶつかり合っていく構図。そして物語が進み、ある一人の患者をきっかけに過去の体験へと話が進行していく。
今はいない1人の患者を通して、二人の医師は、医師としての信念を形成していく感動ストーリー。
〇個人的感想
前作同様、延命か患者の気持ちを優先させるのか、自分の生と死について考えを揺さぶられる作品。
大病にかかり、最後まで生きることを諦めなかった女性のおかげで、多くの人が逆に救われていたという状況。人はだれかを救うために生まれ、だれかに救われるために生まれてくる。
自分なりに生きてきたものの、漫然と生きていないかをあらためて考えさせられ、気づいていないだけでだれもに希望はあることを教えられました。
生と死については、おそらく正解はないんだなと感じてます。本人が決めたり、結果的に、そうなってしまったことがすべてなんだと思います。
自分はだれを救うために生まれてきているのか。そんなことを頭にとどめながら生きていきたいです。
今回もAudibleにて聴きました。
前作「最後の医者は桜を見上げて君を想う」、本作「最後の医者は雨上がりの空に君を願う」(上)(下)すべてAudibleで聴くことができます。
気になった方は是非どうぞ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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