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好きなドラマは、孤独のグルメ。
サラリーマン役の俳優さんがひとり、
食堂でトンカツ定食を食べるシーンが
映し出されました。
*
差し出された定食を前に、
背すじをすっと伸ばして
「いただきます」と
胸の前で手を合わせる男性。
分厚く揚がったトンカツの
真ん中のひと切れに
ソースとからしを落とし、
箸でそっと持ち上げて、はふり、とひと口。
よく噛んで、しみじみと肉の旨みを噛みしめて
その美味しさに頬をふっと緩めて。
次は塩で、
また次は白米と一緒に、と
男性は満足げな表情で食べ進めてゆきます。
*
これはドラマ「孤独のグルメ」の再放送。
私は、この番組がすきで
録画したものをよく見かえしています。
美味しそうな料理が出てくる番組は
いくらでもあるのですが、
このドラマには他とは違う
なにか、心地良さのようなものが
ある気がするのです。
その訳を考えて
ひとつ、
気づいたことがありました。
その俳優さんは
姿勢や、箸の持ち方、器の扱い方、
そして食べる速さといった
食事中の所作が
とても綺麗なのです。
ぎこちなさがなく、
また大袈裟でもなく、
身体に馴染んだ動きに
自然と、好感が持てるのです。
*
例えば、お椀を持つ手。
親指は
お椀の縁にかるくかけ、
その他の指はきちんと揃えて
底を支えます。
汁を啜るときなど、
ときにもう片方の手を添えて
お椀をやさしく包むように持ちます。
お箸を持つ手は決して力まず、
それぞれの指が正しい格好で
食べものをつかみ、口へ運びます。
一度で口へ運ぶ量を加減して
口の周りに食べものがつかないよう
気をつけて。
そうして、
ゆっくりと、よく味わいながら
食べる、という具合です。
*
食事となると、
つい目の前の美味しそうな食べものに
気を取られて
食べる姿、というものを
忘れがちになります。
だからこそ、その時に
綺麗な所作がサッと出てくるひとは
ほんとうに素敵だな、と思います。
そして何より、
所作が綺麗であると
食べることをたいせつに思っていることが
見ている側にも伝わって、
そのことが
食べる姿をずっと見ていたくなるような
心地良さを生むのだと思います。
*
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