蛞蝓

ひょいと少し摘んでやると、
哀しみを形にしたかのように丸くなる。
寂しいとでも言うように。
ぬらめかせた涙を構わず振りまき、
自己存在の証明を足跡に託す。

誰かに気付いて欲しくてたまらないんだ
誰も彼も同じだ。

海の先端を煮詰めた水晶に
触れる彼らは
その体を崩すほどに大泣きする。
どろどろに、溶けて、生物でも
無くなるまでに、泣いて、泣いて、泣いて

今日もまたゆっくりと、
生を謳歌する。

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