見出し画像

『フィードバック入門』

フィードバックとは端的に言ってしまえば、「耳の痛いことを部下にしっかりと伝え、彼らの成長を立て直すこと」です。

立て直しとは

部下が自己のパフォーマンス等を認識し、自らの業務や行動を振り返り、今後の行動計画を立てる支援を行うこと

フィードバックに関する、著者の問題意識5点。
1. 企業の現場でフィードバックのニーズが高まっている
2. 「年上の部下」に代表される、職場の多様な人材に悩まされているマネージャが増えている
3. ハラスメントに対する意識が職場で過剰に高まった
4. コーチングなどの「気づき」を重視する手法の普及の結果、言うべきことをしっかりと言う文化がおざなりになった
5. 目標管理制度の運用を見直すところが増えてきた

3と4の組み合わせで、言うべきことを言えなくなっているのは実感としてあります。
ハラスメントのリスクもある上に、手法としても比較的効果が薄いとなれば、選択しなくなります。
一方で、厳しいことを言うことが本当にダメなのか、という疑念はあります。

部下育成には、ティーチングが必要な局面も、コーチングが必要な局面も存在するのです。

ティーチングとは、上司から部下に、情報を一方的に伝達して教え込むことです。
対してコーチングは、他者の目的達成を支援する技術です。
現状とゴールのギャップをコーチからの問いかけで意識化させ、内省を促して行動指針を作っていく技術です。

コーチング自体は効果的なのですが、その普及方法に問題がありました。
ティーチングを仮想敵として、ティーチングは悪、コーチングが善、という売り込みがなされました。
これによって、上司は部下に教えてはいけない、といった間違った指針が広まりました。

しかし、ティーチングも必要です。
例えば、業務知識が全くない新人からコーチングで何か引き出そうとしても、出てくるわけはありません。
この場合はある程度のティーチングが必要です。

ティーチングもコーチングも必要であり、どちらも含んだ手法がフィードバックです。
フィードバックは、「情報通知」と「立て直し」で構成されます。
前者がティーチング、後者がコーチングの果たす役割です。

フィードバックをするときに必要になるデータとして、「SBI情報」を準備しておくのが良いと言うことは、実践知の一つとしてよく知られています。

Sはシチュエーション、Bはビヘイビア、Iはインパクトです。
状況、部下の振る舞い、周囲や仕事への影響です。
主観や解釈を含めてしまうと部下がその部分を嫌気するため、できるだけ行動観察に徹します。

たとえば、
「A社のプロジェクトを担当してもらったけれども(=シチュエーション)
君のスケジュール管理に不備があったことで(=ビヘイビア)
納期が一週間も遅れてしまったようだね(=インパクト)」
と言った具合です。

1 on 1や朝の声掛けでSBIを蓄積します。
1 on 1は一対一で行う、上司-部下の面談で、週一回など高頻度で行います。
朝の声掛けで、一人一人の部下に一言二言声かけをしておくことで、色々な人の情報を少しずつ貯めることができます。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?