心が疲れたとき、笑えるエッセイはいかがですか【おすすめ3冊】
疲れたとき、自分以外の誰かの生活を綴ったエッセイを読むと、気分転換になることがあります。
自分のことでいっぱいいっぱいだった心の窓が開いて、新鮮な空気が入り、心身が緩んでいくような感覚。
今回ご紹介するのは、私が最近読んで、とても好きだと思った3冊のエッセイです。
3冊に共通するのは、思わず吹き出しちゃうくらい面白いこと。
そして、取り繕わない正直な文章だから読んでいて疲れないこと。
①『50歳になりまして』光浦靖子 著
1冊目はこちら。
50歳を目前にカナダ留学を決意した著者ですが、その矢先、コロナ禍に突入。
家を引き払って妹さんの家に居候したり、
英会話教室に通ったりという留学準備に関するエピソードだけでなく、
著者の生き方や考え方が詰まった内容。
著者の言葉がそのまま綴られたような飾らない文章で、読んでいると、私の脳内ではテレビで馴染みのある光浦さんの声に変換されました(ご本人朗読のAudibleみたいな)。
著者がこう書いているように基本的にはネガティブなのだろうけれど、
本人がそれを客観視して笑いに昇華させているから明るい気持ちで読めるし、共感できる部分も多い。
相方の大久保さんが注目されて比較されることへの思い、次々と現れる若手芸人に焦る気持ちなど、「なかなかここまで書けないよな。」と思うほど率直に綴られていました。
「老後の話」というエッセイの中で、こんな文章がありました。
「私が未来の私を育てる」って力強くてステキな表現ですよね。
自分育て、私も楽しみたいです。
②『帆立の詫び状 てんやわんや編』新川帆立 著
著者は『元彼の遺言状』などの作品でも知られる新川帆立さん。
東大法学部卒で弁護士勤務経験もあり。
バッグ愛好家としてバッグ事情について熱く語ったり、ガチャピン(顔が著者と似てる…らしい)を先輩と呼び憧れたり、おもしろいエピソードが満載。
忖度なく自分の意見をはっきり言うし、少し硬めの話題のときは噛み砕いて解説してくれる。
私よりも思考が一段も二段も深いなぁ、と感じる部分が多々ありました。
意見を言いっぱなしにせず説明を怠らないから、読みやすいし納得できる。
堅苦しさもなし。
「東大女子という呪い」というエッセイの中にこんな文章があります。
これを読んで、共感すると同時に
完璧というのはあり得ないのだと再認識して気持ちが楽になりました。
自分の苦手なことや嗜好を隠すことなくさらけ出して笑わせてくれる一方で、ちょっと硬めの話題もナチュラルに語る著者は、文体と相まってとてもチャーミングな印象。
著者の作品を読むのは初めてだったけど、大好きになりました。
③『好きになってしまいました。』三浦しをん 著
三浦しをんさんは小説はもちろんエッセイも絶品。
コロナ禍のエッセイも載っていて、得体の知れない感染症に翻弄されながらも、暗くならず、必ず笑いを提供してくれるところはさすが。
コロナ禍でEXILE一族(文中では「きらめく集団」)のライブにいった話、『きらめきとふぐふぐ』もめちゃくちゃおもしろいです。
生き物、自然、人など、すべてのものに対する著者の観察眼と描写力が半端なくて、「だから小説でも、匂いや温度まで伝わるような素晴らしい表現ができるんだなぁ。」と納得してしまう。
本の紹介エッセイもいくつかあり、幼少期から膨大な数の本を読んできたであろう著者の知識や思いの一部を知ることができて、贅沢に感じました。
著者が近所の商店街のネイルサロンに通っているというエピソードを読んで、「『ゆびさきに魔法』はここから着想を得たのかな。」とか想像するのも楽しかったです。
『ゆびさきに魔法』に関する記事も、よろしければ是非。
最後に
3冊読んで思ったのは、やはり飾らない率直な文章が人の心に届くのだということ。
私もnoteでそうありたいと思うけれど、なかなか難しいんですよね。
文章にした途端、うっすらとよそ行きな印象になってしまう。
疲れているときは、気が重くなるような、人の悩みまで背負ってしまうような本は読みたくないものです。
今回ご紹介した3冊は、私にとっては気軽に読めて楽しみや学びが多かった作品です。
通勤のお供や、寝る前のリラックスタイムにいかがでしょうか。