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紙ひこうき母さんの応援

言葉を乗せた紙ひこうきを、そっと手から離す。

飛ばす空には、他にも様々な紙ひこうきが飛んでいて、その姿の美しいこと。

文字数の限定されたコラム、長文を長文と思わせない文章、巧みに仕掛けられた短編小説、練り上げられた長編小説、ほっこり温かいエッセイ、過去の絶望から光を見出す日記。

美しく飛ぶ紙ひこうきたちにため息が出る。
わぁ…!私も、私も、あんな風に飛ばしたい!

とはいえ、突然、脳内から言葉が溢れ出して止まらない!みたいなことは起こらないからね。
まぁまぁ落ち着け。とにかく紙ひこうきを作って飛ばしてみよう、なるべくたくさん、できる範囲で、できるだけ丁寧に。
そう思ってnoteに向かう。


それで、せっかく飛ばすのだったら、少しでも追い風を、と思うのが親心。
そうだ、インスタにシェアしよう、と京都に行くみたいに思いつきまして。

ところで、私には、Instagramのアカウントが2つある。

10年ほど前のアカウント。妊娠前で、治療につぐ治療に、折れかけた心を整えるためのインスタだった。明るい色調の写真に、前を向くための言葉を添えて。

②出産後のアカウント。娘の写真のみを投稿。今は鍵をかけて、年に1度、娘の誕生日だけに記録用として投稿中。

えっと。
誰だ、追い風とか言ってるのー!
どっちにシェアしてもどうもならんわー!

って、言わない、言わないでー。
そこは、そっと目をつぶって「まぁ好きなようにしてみんさい」と自分に言い聞かせてみた。

で、どっちにシェアしようかと考えると、それは絶対①なわけだ。
あの時インスタに向き合っていた姿勢と、noteに向き合う姿勢は似ている。丁寧に深呼吸して姿勢を整えて。そんな面持ち。

②は、完全にすっぴん。リラックス状態は好きなんだけど、いや、パジャマ着てるんで、勘弁してくださーい!と言っている。

①の方、懐かしいなぁ、そういやあの時たくさんやりとりした皆さんはどうしてるのかなー?元気かな?まだ写真撮っているのかな?
そんな淡い想いも蘇った。少しワクワクしながら、ログインしてみる。

…全然入れてくれない…

「え、ちょ、オレだよ!オレ!あの時、あんなに一緒に過ごしたじゃないか!分からないのかオレが!」
IDもパスワードもあるんだぜ!

なのに①ときたら
「誰?なりすましね!セキュリティーを呼ぶわよ!」その一点張り。
10年前のメールにセキュリティーコード送られてもどうも出来ない。とっくに存在してないぞ。

そうか、私はもう二度と①に入ることは出来ないのか…久しぶりにnoteをシェアしようと思っただけなのに、思いもよらずショックを受ける。10年近く無視してきたくせに、勝手なのはこっちよね。人間、失った時にその輝きに気付くんだ、ちぇっ。

それじゃ、②か。②にシェアか。
すっぴんで過ごしている毎日なのに、急に化粧して出て行く感じで、なんか絶妙な恥ずかしさだな。
「おいどうした今日は?まさかデートか!」って言われちゃうヤツだな。

でも、ストーリーズっていうあれ、チラッとした感じだったし、バレないかな。

…いやいや、バレないようにシェアって意味わからないし!目的を見失ってるぞ!

そんな葛藤をしつつ。
複雑な親心を抱えながら。
年イチ稼働のインスタは、少しの微風も起こせないけど、どこかで満足している自分もいた。
へへ!やってやったぜ。

作った紙ひこうきは、飛ばしてあげようと思う。
ヘナヘナと飛ばなくても、大丈夫、バレてないバレてない。
飛ばさないで丸めてしまうより、ちょっとでも空へ。
紙ひこうきのお母さんは私。
行っておいで。
その空の景色が、いつか私の宝物になるはずだから。


さっ、お母さんはInstagramとTwitterに挨拶しに行こうっと!(どっちも鍵アカウントなのに笑)


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