【エッセイ】『幸福リテラシー』について―古代ギリシアの賢人に学ぶ―


1.現代日本の幸福度

2.幸福リテラシーの欠如

3.古代ギリシャに学ぶ幸福の追求

4.発想の転換としての幸福リテラシー向上





1.現代日本の幸福度

現代日本の幸福度は、世界的に見ても低い傾向にあります。


経済的には豊かな国でありながら、多くの日本人が幸福を感じにくい状況にあるようです。

この要因としては、経済的停滞とその余波による格差拡大、社会的孤立、過労、メンタル疾患へのスティグマなどが挙げられます。

しかし、実際には日本人の「幸福リテラシー」の低さが大きく影響しているのではないかと考えます。



2.幸福リテラシーの欠如

多くの日本人は『幸福』というテーマについての関心や興味が欠けているように思われます。

幸福がどのようなものであるかについての明確な意見を持っていません。

また、多くの日本人は、幸福を天恵のような固定的なものと捉えているようです。

『幸福』を固定的・外因的なものと捉えてしまえば、不幸な人間はずっと不幸なままです。

このことが、日本や自分自身に暗い見通しを持ち、時として破壊的な行動や選択をしてしまう人が増えていることにも影響していると思います。

一方、幸福を天恵ではなく『技術』と捉えるならどうでしょうか。
多くの人にとって希望となるのではないでしょうか。


3.古代ギリシャ人に学ぶ幸福の追求


幸福とは技術ではないか。

そのため私は『幸福リテラシー』という概念を提唱します。

幸福リテラシーを高めるためには、幸福追求を自覚的に行っていた先人たちに学ぶべきだと思います。
具体的には古代ギリシャの賢人たちです。

彼らが行った探求は多種多様にわたっていますが、そのほとんどすべてが幸福の追求を最終目的としています。

一例として、ソクラテス、プラトン、アリストテレスは、さまざまな角度から幸福について探求しました。

彼らは、幸福を人生の究極の目的とし、それを達成するための方法を追求しました。


ソクラテスは「よく生きる」ことを重視し、対話を通じて人々に自らの価値観を問い直すことを促しました。

プラトンはソクラテスを主人公にした多数の対話篇を書きました。
その中で、徳とはなにか、国家はどのようなものであるべきか、などを考察ししました。
これもまた、人間の幸福追求を最終的な目標としています。

アリストテレスは例えば詩学だったり弁論術、政治論など多岐にわたるテーマを論文で扱っています。
しかし、いずれの論文も、それが『幸福』に有益であるから書かれたと思われます。

『ニコマコス倫理学』においては『幸福』そのものをテーマとして、幸福を人生の究極の目的とし、その実現のために必要な方法論を提示しました。



4.発想の転換としての幸福リテラシー向上


現代日本で幸福リテラシーを高めるには、幸福を固定的なものではなく、『技術』として捉える発想の転換が必要です。

このことは、いわゆる『無敵の人』や『思考停止』に陥った人の割合を減らすことにもなるのではないでしょうか。

古代ギリシャの賢人たちの探求に学び、一人ひとりが自分自身の幸福を追求する技術を身につけることが、日本の未来を明るくすることにもつながると考えます。




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