とけい

愛と創造が人生の意味である。

とけい

愛と創造が人生の意味である。

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【自己紹介】

名前:とけい、とけい・デラックス。 住んでるところ:茨城県水戸市。 年代:アラフォー。 生業:福祉関連。 趣味:本を読む、音楽を聴く、野球観戦、配信アプリを見る。 特技(?):耳を自分で動かせる。英文を読める。 好きな作家:芥川龍之介、太宰治。 好きな音楽:ビートルズ、中島みゆき、ハードバップのジャズ、ロマン派クラシック。 これからの目標:作家として収益を上げる。英検準一級を取得する。 好きな野球チーム:横浜DeNAベイスターズ、シカゴ・カブス。 好きな野

    • 【詩】嘘は連鎖する

      人が嘘をつかないことは象がライオンの速度で走ることより難しい。 嘘から全速力で逃れようとしても、悪魔のようにどこまでも追いかけてくる。 夢から醒めても嘘は人から離れない。 ある人は自覚的に嘘をつくことを覚えた。 嘘から逃れられないのだからと自分に有利な嘘を意識的につこうとした。 多くの人を騙すことに成功し、莫大な富を築いた。 莫大な富を築いた彼は、莫大な富によって欺かれた。 彼の得た資産は少しも彼を幸福にしなかった。 財産さえあれば幸福になると思っていた彼に果

      • 【詩】Unfinishing

        過去は鋼鉄の扉で閉ざそう。 鍵は粉砕して大地の奥深くへ埋めよう。 過去はすべてまやかしなのだから。 未来は雲の遥か上にある。 太陽の光も届かない遠く離れたところにある。 蜃気楼のように形を変え、僕らを欺く幻影だ。 けれども現在に成立している現象は確かなものだろうか? 妄想ではないと誰が言えるだろうか? 僕らは目で見て対象を認識する。 対象そのものと僕が見たものが同じと誰が言えるだろうか? 同時に耳で聞いて対象を認識する。 対象そのものと僕が聞いたものが同

        • 【短編小説】葉蔵に酔いしれて(1464文字)

          彼は太宰治ひとりを生涯の友としていた。 部屋にいるぬいぐるみに「オサム」と名付けた。 ヘンテコな自作を発表するとき「大庭葉蔵」の筆名を使った。 恋人に、「僕のほおづえついてるところなんか太宰にそっくりだろう」などとあらぬ同意を強要したことがある。 「額のあたりが、少し」などと現実的な指摘を受け、にわかに興ざめした。 そして憤慨した。 額だけでは、不満だったのである。 太宰が入水して最期を遂げたと聞くと、ためらわずに近くの川に飛び込んだ。 幸い、その流れはおだや

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        【自己紹介】

          作品を発表した際のいいね数が以前と比べて増えている傾向にあるのを嬉しく思います。 みなさまのご評価に感謝申し上げます。

          作品を発表した際のいいね数が以前と比べて増えている傾向にあるのを嬉しく思います。 みなさまのご評価に感謝申し上げます。

          【詩小説】満ち足りた貧者

          彼は礼拝に通い、オルガンを弾いて生活していた。 熱心に神を信じていた彼は、天の声を聞くことができた。 天の声を書き記そうと、五線譜に向かった。 聞いた人もまた天の声を聞けると思っていた。 けれどもそれを演奏すると、聴衆はひとりまたひとりと立ち去った。 曲に最後まで耳を傾ける者はいなかった。 彼は演奏を終えると肩を落とした。 天の声を十分に伝えきれていないのだと思った。 けれども彼は作曲をやめなかった。 天の声を音楽として人々に伝える使命を感じていた。 彼は

          【詩小説】満ち足りた貧者

          【短編小説】愛と自由と束縛

          彼は自由と独立を好みながら生きてきた。 残りの人生をデザイナーとして活躍しながら、きままな独身生活を楽しむつもりだった。 彼は飲み会の席で知り合ったオフィスで働く女性と交際していた。 最近彼女の様子が変わっているのに気づいた。 話によると、彼女は彼との結婚を望んでいるらしい。 彼は彼女に深い愛着を感じているのを意識していた。 彼女といっしょにいるときは、何をしても心が躍るのを感じていた。 それはもしかしたら愛情と呼びうるものかもしれなかった。 彼女の期待に応え

          【短編小説】愛と自由と束縛

          【歌集】受難

          十字架で磔にされたその姿。 何かを叫び、民衆どよめく。 裏切りは予告していた。 銀貨の報いに売られゆく彼。 裏切った彼の悩みは深まって、 地底の果てでも嘆き悲しむ。 知らないと3回言って襲う苦悩。 鶏の声聞き、涙流れる。 自らを愛するように、 他人をも愛せと伝えた彼の一声。 不自由な人を助けて彼は言う。 「あなた自身があなたを救った」 捕らえれ中傷続き責められる。 彼は沈黙まもりつづけた。

          【歌集】受難

          【詩】論理と激情

          Rは生まれながらの論理家だった。 論理を用いなければ詩情を把握できなかった。 感情を把握できなかった。 彼は自分の心情もまた論理的推論により知った。 彼は詩人を自認していた。 一方でけっして激情に駆られることのない自身を恥じてもいた。 Sは生まれながらの詩人だった。 彼は論理を用いずとも詩情を把握することができた。 彼が激情を感じた時に詩はおのずから誕生した。 誰よりも粋な言葉が飛び出した。 ある日RとSが出会った。 詩人に憧れていたRは生まれながらの詩

          【詩】論理と激情

          【詩】光の代償

          父により創造された彼は、愛されていた。 光がほしいと言えば、与えられた。 鳥がほしいと言えば、与えられた。 魚がほしいと言えば、与えられた。 そして父は彼に与えたものを支配する権限を与えた。 彼が愛されていたのは、彼が何もできないからだった。 彼はやがて成長していった。 かつて父は彼が望むものをすぐに与えていた。 ある日彼がアーモンドを求めたとき、父はただ雷鳴で答えるだけだった。 甘い果物を求めたら苦い草が与えられた。 苦い草を放り投げた彼は、父に対する憎

          【詩】光の代償

          【詩】再会

          彼は妻を弔ったあと、古人の語った真理を思い浮かべた。 「死んだ日は生まれた日よりも素晴らしい」と。 墓の前にたたずみながら、ほどなく彼をも待ち受ける運命を思った。 彼はこの世で妻と再会する可能性が0であることを知っていた。 同時に死後に妻と必ず再会できるとも思わなかった。 それを確信するにはあまりにもリアリストだった。 同時にその可能性が0であるとも思わなかった。 0と比較すればいくらかの可能性に賭けるだけのロマンティシズムをもっていた。 妻と死後の世界で再会

          【詩】再会

          【詩】芸術家の最期

          彼は毒薬を飲む前に彼の悪魔と対話した。 つねに彼をさいなみつづけた悪魔と。 悪魔は彼をののしった。 犯罪者、詐欺師、エゴイスト、悪人、恋愛至上主義者。 彼は悪魔に高らかに言い返した。 僕は詩人だ、芸術家だ、と。 彼は思いを遂げる前にその後の手はずを整えていた。 遺族の世話は彼の唯一の友に託された。 そしておびただしい数の作品が残された。 彼は悪魔に僕は将来に読者を持っていると言った。 彼は100年たった今この国でもっとも名の知れた作家だった。 彼の言葉は

          【詩】芸術家の最期

          【詩】Foolish Refrain

          人類は愚かさにより発展し、愚かさにより滅ぶ。 彼らは欲望の炎をどこまでも燃やし続ける。 警告をした賢者もいた。 ある者は処刑され、ある者は隔離された。 人はいたらなさゆえに争い合い、 いたらなさゆえにあわれみ合う。 わずかなあわれみにより希望を得るが、やがて砂のように消える。 進むべき道は閉ざされ、砂漠に変わる。 やがて来る滅亡は自然であり、必然だった。 人はそれを止めるつもりもなく、愚行の足跡が残された。 残された足跡を、次に誕生した生命体があざ笑う。

          【詩】Foolish Refrain

          【詩】静けさと報い

          彼の絵は彼が死んだあとに値段がつけられた。 彼を軽蔑していた遺族は莫大な資産を得た。 彼は彼の絵により金銭的に報いられることがなかった。 生前の彼には十分な報いがあった。 描きたい絵をうまく描けるかどうか。 彼の悩みはその一点だけだった。 彼はそれを十分に実現した。 絵筆を手に取り、キャンバスに触れるだけで満足だった。 絵を書き終えた彼が温かい珈琲をすすると、限りないやすらぎが訪れた。 彼は貧困のまま周囲に理解されずに死んだ。 けれども生前の彼は誰よりも満

          【詩】静けさと報い

          【詩】父

          父はたくさんの管につなげられながら、母の語る死後の平穏を拒否して息を引き取った。 かつて僕にとっては暴君だった父が、そのときは他の誰よりも立派な人間に思えた。

          【詩】父

          【詩】炎と労苦の果て

          僕は炎の上で音を立てて肉塊を焼きながら人生のはかなさを感じた。 それは必ずしも人の生に限らなかった。 娑婆苦に生きる生き物すべてのはかなさだった。 古人は太陽の下に新しいものはないと言った。 はるか後の現在でも大差のないことは明らかだった。 新しいものはなくても、生き物はすべて労苦しなければならない。 僕はこの事実に思い当たると肉を焼く手を止めた。 肉は黒く焦げついていた。 人間に食べられるためかりそめの生を生きた牛のことを思った。 僕らは人間の労苦のみなら

          【詩】炎と労苦の果て