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小さな言葉たちをかき集めて

文学フリマ東京への出店を機にはじめた詩の創作。
人の気持ちや起きた出来事、そういった物理的に触れられない、目に見えないものにも肌触りみたいなものがあるなと最近つくづく思っています。色や形、軽さ重さみたいなものを絵にして言葉にしていく面白みがあるんだなと。

今回は短い三編の詩を。

思い出を道具のように消費して、正しき私の上澄みだけをすする 
独り言が世界を揺らす 
この時代の片隅で小さく正座をする私は負けなのか


ショートケーキをまさぐって
取り出した星の燃えがら
きらめきが鳴く碧落
三十路を後ろに
清々しき苺のつぶ


私の帰りを待ち望むように立ちのぼる湯気の鼓動
そっと開けた冷蔵庫には目がさめるような君の恋心
安心に立てた爪あと
もう存在しないふすまの穴


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