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せめて、グッドルーザーでいたい【10/13 対ベイスターズ戦●】

グッドルーザーという言葉がある。勝負事で負けたとき、潔い態度をとれる人のことだ。2021年、Jリーグチームの大分トリニータが天皇杯で準優勝となったときに監督が選手に語ったとされ、スポーツ好きの間で広まり始めた。仙台育英高の須江航監督もグッドルーザーであることの重要性を説いている。

勝敗にこだわってプレーしているプロ野球選手が負けを認めるのは、決して容易でないことくらい簡単に想像できる。プロ野球は「負けたくない」という意地とプライドのぶつかり合いだ。しかし勝負事は勝者と敗者の2つに分けられる。そして、よほどのことがない限り勝ち続けるのは不可能だ。だからこそ負けたときにどう振る舞えるか、結果を糧にしてどう成長できるかが大事なのだろう。

2年連続日本一を狙った挑戦は、2試合で幕を閉じた。何人もの投手をつぎ込んだが、最後まで横浜DeNAベイスターズ打線を止めることはできなかった。
試合が終わり、ベイスターズの選手がレフトスタンドへあいさつに向かう。この2試合、甲子園球場にはいつもより多くベイスターズファンが詰めかけていた。一方タイガースの選手は支度を終えてベンチから引き上げている。ベイスターズの選手たちがあいさつを終えて自軍のベンチに戻ろうとしたとき、何人かの選手が反対側のベンチに向けて手を振っている。

テレビ中継の映像が切り替わると、ひとり残っていた坂本誠志郎が帽子(ヘルメット)を捕ってあいさつをしていた。
そして掲げていた帽子を被り直すと、ベンチの奥へと消えていった。

ペナントレース連覇を目指して始まった2024年シーズン。最後まで優勝争いをしたけど敵わなくて、CSもファーストステージで1勝すらできずに終わってしまった。悔しくてどうにかなってしまいそうだった。

けれど試合後の坂本の振る舞いを見て、僕もグッドルーザーでいようと思えた。色々思うことがないと言ったら嘘になるけども、自分の心の内に秘めておくことにした。

CSの坂本はスタメン出場なし。この日は試合の途中からマスクを被ったが、ベイスターズ打線の勢いを止めることはできなかった。彼もまた悔しい思いをしていたはずだ。にもかかわらず坂本はベイスターズの選手が引き上げるのを待ち、エールを送っていた。試合の結果は変えられないけれど、その後の振る舞いは変えられる。こういう選手がいるチームを、今年も応援できて良かった。

来年もまた、頼れるピッチャー陣を引っ張る存在でいてください。
信じてます。

2024シーズン 試合note おしまい

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