見出し画像

大山悠輔の真剣な眼差しが怖かった【5/25 対スワローズ戦○】

大山悠輔が相手投手に鋭い視線を向けたその瞬間「この勝負、いける」と本能的に感じた。

延長10回の攻撃、また2アウトからチャンスを作って4番の大山に打席が回ってきた。スワローズの投手は木澤尚文に代わっている。回の途中から登板したこともあって、かなり力が入っていそうだった。ボールも荒れている。ちょっと怖いなと思っていたら、3球目が大山の顔近くに来た。なんとか避けられたけれど、体勢が崩れた大山はその場でよろめいて転んだ。

戸惑いと驚きと、怒りが混じった声が球場から聞こえてくる。さすがにマズイと思ったのか、キャッチャーの中村悠平が大山に声をかけた。大山の表情が少し緩む。こういうシーンで彼の人柄が出る気がする。そして、いつもどおり打席に戻った……ように見えた。

いや違う。マウンドにいるピッチャーを静かに見つめている。打席に立っているときの真剣な表情とはまた違う。いつもの柔らかさがない。普段は内に秘めている闘志が、このときは全面に出ている気がした。

ゾクッとした。筋肉が硬直し、体がこわばるような感覚になった。

視線を向けられている木澤は、どんな気持ちで大山と対峙していたのだろう。結局、木澤は大山相手に1球もストライクが入らなかった。押し出しのフォアボールでタイガースに勝ち越し点が入る。4球目を見逃しても、大山の表情は変わらなかった。小さく拳を握り、1塁へ歩いていった。

大きな体に秘める強い気迫。
彼が、タイガースの4番打者です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?