まだ試合は終わってないから【8/3 対ベイスターズ戦●】
訳あって、横浜スタジアムの1塁側で試合を見た。
遠くを見渡すと黄色いグッズを身につけた人もほんの少しだけいるけど、まわりは99%ベイスターズファンだ。連敗中ってインターネットやSNSの雰囲気は最悪に近いけれど、球場は決してそんなことはない。
「今日こそ勝ちましょー!」
「今日はきっと行けますよ!」
まるで自分自身やその周りの人たちを鼓舞するように、グラウンドへ声援が飛び交っていた。
6回に追いつかれ、7回に勝ち越され、8回にはさらにリードを広げられた。こうなれば1塁側のベイスターズファンはお祭り騒ぎだ。
「今日は絶対勝ちますよー!」
「来てよかった~!!」
6点リードながら、ベイスターズはクローザーの森原康平を投入している。もう勝利を確信しているのだろう。
森原が投球練習をしている間、ネクストバッターズサークルで原口文仁がタイミングを合わせながら素振りをしていた。どうやら代打のようだ。
このまま負けちゃうのかな~、と思う隙もなく、原口がレフト方向にツーベースヒットを打った。原口が滑り込んで2塁に到達すると、再びレフトスタンドが湧いた。
セーブのつかない6点差。
チームの連敗ストップがかかった場面。
1週間ぶりの登板。
弾みをつけるために、きっと初球からストライクで来る。そして、そのストレートを弾き返した。原口の読みと高い打撃技術が詰まった打席だった。
周りがベイスターズファンばっかりだったから喜ぶのはガマンしたけれど、めちゃくちゃ嬉しかった。
試合によっては出番がないことだってザラにある原口にとって、大事な大事な1打席。たとえどんな展開だろうと、この人にとっては関係ないんだ。
勝敗は決まったかもしれないけれど、試合はまだ終わっていないからね。
原口から、そんな風に言われている気がした。