使命を果たす男|#完成された物語
最初は目にゴミが入っただけだと思ったね。
それは……異様だったから。
それは黒い歪んだ球体のようにも見えて、極彩色の人型にも見え、半透明な獣のようなシルエットにも見えた。
五感とは別の新たな感覚器官が備わって、それで視えてるという感じなんだ。
そんなものが僕の目ー 便宜上”目”ということにしておくけどー に映るようになった。
最初は道端でたまに見かける程度だったのに、それは日に日に増えていった。
そのうち目を閉じていても視えるようになった。
僕は気が狂いそうになったね。
医者には「君にしか見えない」と言われたよ。頭がオカシイやつだと思ったんだろうね。
でも、僕は偶然に解決方法を見つけたんだ。
それは『君にしか見えない』という言葉を含む小説を読んでもらうことさ。
最初は僕のことを狂人扱いしたあの医者に読んでもらおうと思った。
けど、この恐怖を多くの人に味わってもらいたいと思ってさ。
それがホラー作家である僕の務めだと思うからさ。
あとがき
406字でした。
最近、『ぼぎわんが、来る』を読んだこともあって『ホラー』にチャレンジしてみましたが難しいですね……極めて古典的なネタになってしまいました。
しかしながら、『特定の言葉を含む』というお題も簡単なようで難しかったですね……『冒頭文の固定』や『発想』とはまた違った難しさと面白さがあったように感じます。
面白いお題を出して下さった むらさき あやめ さん ありがとうございました。
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