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紀伊半島2-大阪には空港が3つある。それが何を意味するか、君は知っているか?編

これは、紀伊半島旅行の記録である。
ペーパードライバーを拗らせた僕は、「二輪車ならいけるかも」と斜め方向の勇気を出し50cc原付をレンタルした。

前回


”チャレンジ”と"無謀"は別物である

僕の考えた計画はこうだ。

まず羽田空港から関西国際空港に飛び、空港内で原付を借りる。
関空を出てしばらく南に走れば、和歌山に達する。

大阪府と和歌山県は和泉山脈と呼ばれる山々で仕切られていて、県境を超えるルートはいくつかある。
今回は最もスタンダードな「雄ノ山峠越えルート」を選んだ。

峠を超えたら、今度は西へ西へと道を曲がっていく。
しばらく走れば海に出るはずだから、あとは海岸に沿って行けるところまで景色を見ながら南下する。

超縦型移動

現地風に説明すると、「ガーッと行って、シャット曲がって、またバーッと降りんねん。知らんけど。」という感じだ。


宿泊先は由良町のビジネスホテルにした。

休暇前ギリギリの時期に部屋が残っているとは何らか理由があるのでは…と勘ぐったが、ホームページの写真からまともであろうと判断する。
ここで一泊し、二日目は折り返して大阪に戻る。

移動行為そのものを主役にした、超無目的型ジプシー的プランである。

1泊2日とやや物足りない気がせんでもないが、初バイク・初和歌山・ド猛暑の8月中旬であることを考えると現実的なボリュームに収まったと言えよう。

挑戦にも抜き差しが必要なのだ。「チャレンジ」と「無謀」は違う。


上を向いて歩こう

仕事に追われていると時間が過ぎて、気付けば前日になっていた。
『終わらせないと休暇明けの自分を殺すことになる仕事』は何とか済ませている。

僕の旅におけるコダワリのひとつに、地図は事前に頭に入れ、現地では極力GoogleMapを開かない、というものがある。

敬愛するタモリさんは「下を向いて歩こう」と言ったけれど、頭を下げてあーでもないこーでもないとスマホを睨んでいると肩が凝る。
目線を上げて歩けば、気温とか、日差しの強さとか、漏れ聞こえる方言とか、そういった土地ならではの非日常な要素を拾える気がするのだ。

それに今回は原付だから、ちょっと立ち止まってえーっとどうだったかな…なんてことも気軽にできない。

おおまかな道順はルートを組み立てながら覚えた。

僕がひとつポイントになるであろうと踏んでいるのが、バイクを借りて幹線道路に出るまでである。
スタート地点となる関西国際空港は広い。駐輪場はどこなのか、そしてどうやって人工島から出るのか。
しっかりシュミレートしておかなくては出鼻を挫かれる。何事も最初が肝心なのだ。

その辺りの詳しい連絡がレンタルショップから来ていた気がして、DMだらけのメールボックスを開いたところで、僕は自分の犯した過ちに気付いたのである。


大阪には空港が3つある

メールの冒頭にあったのは、「レンタル : 大阪国際空港(伊丹空港)」の文字だった。
数秒考えて僕はのけぞった。

地図を見てみよう。大阪府には空港が3つある。

  1. 関西国際空港(泉佐野市)

  2. 八尾空港(八尾市)

  3. 大阪国際空港(豊中市)

大阪国際空港という名前に聞き馴染みのない方も多いだろう。
当然である。一般には伊丹空港と呼ばれ、しかも名前に反して国際線は一本も飛んでいないのだから。

つまりこういうことである。

僕は伊丹空港の正式名称が大阪国際空港であることを知らなかった。
そして申込サイトの「国際空港」の文字から関西国際空港と勘違いし、大阪国際空港、つまり伊丹空港でのレンタルを予約してしまったのだ。

伊丹空港の場所をご覧なさい、大阪の最北端ほぼ尼崎。和歌山と背反対のロケーション。

あまりにも見事なミステイク!笑えてきた。



1K8畳のマイホームでひとしきり笑うと頭が冷えた。切り替えの速さは僕の長所である。

行かないという選択肢はあまりにナンセンスだ、ありえない。
ではバイクのみキャンセルして電車に乗るか?いや、それでは意味がない。これは二輪車に乗るための旅なんだ。

となると、伊丹でバイクを借り和歌山まで走るか、伊丹をキャンセルし関空で借り直すかの2択であろう。
後者は絶望的だ。一応調べてはみたが他社のレンタルはもちろん空いていない。

関西国際空港から伊丹空港まで電車で約2時間。伊丹から和歌山由良町まで約135km。

こういった決断をする時、僕は「後になって笑えるかどうか」を基準にしている。


…ギリギリOK!

本当にマズいと思ったら途中の駐輪場で停めて電車に乗るなり、宿泊先を変更するなり、どうとでもやりようはある。はずだ。

誰がどこからどうみてもバカの所業である。笑うがいいさ、というか笑っていただかなくては困る。

こんな文章を書いているのだ、五体満足で帰還したということである。
以降に続く駄文も安心して読み進めていただきたい。


バックナンバー
https://note.com/tobako_00/n/n1217e36eb566


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