オクラ、なってるの見た事ねえのか(笑)
緑区団地は戸建て住宅が等間隔に立ち並ぶ地域だけど、それぞれの家に庭や駐車スペースとか、個性的・特徴的な違いがある。
団地の地区の一番南で、日当たりの良い立地に家がある山石光一さんの家では、車1台の駐車スペース以外は、全て畑にして家庭菜園を楽しんでいる。
前に建物更生共済の請求手続きを行った。
ようやく共済金の振り込みまで全て終了し、そのことの報告に立ち寄った。
光一さんは畑にいた。
大分着古したTシャツに、作業ズボン、長靴、麦わら帽子の格好で、はさみを持ちながら苗木の手入れをしていた。
「こんにちはー、農協の江藤ですー」
「お!?おぉー、どうした!?集金か!?かぁちゃんならいねぇぞ!?」
突然の訪問に、焦らせてしまったみたいであたふたさせてしまった。
「あ、いえ、大丈夫です、集金じゃないです」
集金じゃないと聞いて、安心した表情になった。
「そうか、今日はなんだい?」
「前の台風の請求で、建更(たてこう)の支払いが全て終わったそうなので、そのご報告にだけ寄らせてもらいました」
「あー、来てたな、手紙が。うん、確認した、お金入ってたよ」
そういえば山石さんはJAバンクのネットバンクをご利用されているんだった。
60歳を超えて定年していても、パソコンの操作は得意な方で、確か、体重の記録とかもエクセルで毎日記録して、それをグラフでチェックしていると以前に聞いた事もある。
訪問して1分足らずで用事が終了してしまった。
山石さんの目の前に、3本の苗木が育っていた。
腰の高さまである。
野菜・・・だよな?
なんだろう?
周りにある他の苗の、ナス、キュウリ、枝豆、シソは分かった。
ナスに並んで植えてある他の苗は、ピーマンかシシトウのどちらか。
一番家側に並んで植えてある苗は、トマトかミニトマトのどちらか。
う~ん、、、その目の前の作物だけがわからない。
「良く手入れが行き届いていて、きれいですね」
「まぁ、暇人だからよ」
さりげなく、雑談を始めて聞いてみる
「この苗も元気ですね!何の作物ですか?」
「ええ?どの苗だい?これか?」
「あ・・・はい」
「一番上に、なってるじゃねぇか(笑)」
「ど、どの辺ですか?」
「ほれ、ここだよ。オクラ。なってるの見たことねぇんか」
苗のてっぺんに、3つほどオクラがなっていた・・・。
「あ!オクラって、こう なってたんですね!逆さまに」
「そおーだよ。なーんだ、農協職員なのに知らなきゃぁダメだなー」
「すみません、、、」
「まぁ、今の職員さんは昔と違って、農家の息子とかじゃないから仕方ないか」
「いやぁ~高校時代には、農業の科目で畑の作業もしたんですけどねぇー」
「じゃぁ、なおさら知らなきゃダメじゃねぇか」
おっしゃる通り。語るに落ちて、墓穴を掘ってしまった。
オクラは尖っている方が、天を向いて実っている。それを学習できた。
今度、他の家で見かけたら、話のタネにできそうだ。