変身
フランツ・カフカの『変身』を読了。
毒虫が、
ひきこもりになった青年や
介護が必要になった人に置き換えると、
苦しくなるような小説だった。
裕福な家庭で育ったカフカは、
家族とわかり合えない孤独を持っていたのだろうか。
それによって周りを救う死があると信じていたのだろうか。
働きながら書き続けたカフカは、
書くことによって生を感じ、
書くことによって死を感じていたのではないだろうか。
書いても書いても満たされないから、
死んだ後は作品を燃やして欲しかったのかもしれないが、
その満たされないまま書かれた奇妙な作品だからこそ、
矛盾だらけの世の中にあって、
不思議と人の心を揺さぶるのかもしれない。