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少年動物誌

河合雅雄さんの『少年動物誌』を読了。

自然の中で遊ぶ、
と言うととても豊かなことのように思うが、
この本の中の少年は、さながらターザンというか、
とても無慈悲だ。

平気でカエルなどを殺してしまう、
鳥におもちゃの鉄砲を打つ。

わんぱくすぎる、と思ったが、
筆者が子どもの時分はこんな子どもばかりだったそうな。

昆虫や鳥、爬虫類、魚
いろいろな生き物を捕まえて、その反応を楽しんだり、
森の中の静けさが怖くなったり。

今となってはこんな自然とのかかわり方は私には絶対にできないと思うが、
当たり前にある自然がとても羨ましくもあった。

最近はキャンプに行く人も増え、自然に触れたいと思う人が増えているが、
家に帰ったらゴキブリや蜘蛛が来ないように殺虫剤やらなにやら買い揃える。
それは、環境によるのであるから、決して悪いことではない。

清潔でありたい家の中で虫が出る、これは避けたい。
清潔でなくてよい、自然のなかで虫が出る、
これはしょうがない。
清潔であるはずの家に虫が出ることは不自然であり、
清潔でないはずの森林の中で虫が出ることは自然なのである。

こんな割り切り方が自然に出来ているのが、今の我々といったところか。
自然の中でも虫除けスプレーは必須という人もいると思うが。

筆者の経験した自然との触れ合いは、
人間にとって必須だろうか。

緑がなくなってコンクリートだらけになった都会は、
熱がこもり気温が上がった。

一人の人間の人格形成上、自然との触れ合いが大切であるから、自然を守らなくてはならない、という問題意識を凌駕する、
生きていけるかどうか、という根本的な問題をいま突きつけられている。

人に自然は必須かどうかという問題は、
地球に自然が必須であるからして必須、という答えがいまは一番しっくりくる。

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