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アンクル・トムの小屋(上)第五章〜第八章
アンクル・トムの小屋(上)、第五章売られた奴隷の心情〜第八章イライザの逃亡まで読み進めました。
シェルビー氏が夫人にアンクル・トムを売ったことを話します。
そこで、売られたのはアンクル・トムだけではなく、イライザの子どもハリーも売ってしまったことが明かされます。
それを思いがけず聞いてしまったイライザは、ハリーを連れて夜のうちに逃げ出すのでした。
自身が売られてしまったと知ったアンクル・トムと
息子が売られてしまったと知ったイライザの反応の違いも対比的で印象的だと思いました。
アンクル・トムは、シェルビー氏にお世話になってきたし、シェルビー氏が小さい頃からそばにいたということもあり、
シェルビー氏の役に立つならと、売り渡されることをすぐに受け入れました。
イライザは、先述の通り、逃げ出しました。
同じくキリスト教を信仰する奴隷である二人は、神に思いを馳せますが、その行動は全く違います。
イライザが逃げ出したことを知ったシェルビーとその夫人は、狼狽するかと思いきや、逆でした。夫人が喜んだのは分かりますが、
シェルビー氏も落ち着いていました。
さらに奴隷商人のヘイリーに対しても、
毅然と対応していました。
シェルビー氏も、イライザが逃げ出したことに、少し安心したのではないかと私は思いました。
ここから、奴隷商人ヘイリーの追跡が始まります。
付き添うのは、シェルビー家の奴隷サムとアンディ。
このブラック・サムもなかなか個性的でおもしろいです。
シェルビー家の奴隷は、みんなでヘイリーの追跡を遅らせようとします。
みんなイライザとハリーに逃げてほしいんですね。ヘイリーに痛い目を見せたいという思いも交じっている気はします。
なんとか、ヘイリーの追跡を逃れたイライザとハリーは、偶然出会ったシェルビー氏の知人に救われますが、その後どこに行ったのかはまだわかりません。
ヘイリーはというと、
かつての仕事仲間で大男のトム・ローカー、
狡猾そうなマークスにイライザを捕まえる依頼をします。
ヘイリーよりもさらに残忍そうな男たちが、イライザを追い詰めていくのでした。
一つ気になったのは、
トム・ローカーやマークスと話している時に、ヘイリーが柄にもないことを言います。
「これだけは言っておく。あっしはこれまでずっと、人並みに金を稼ぐことを何よりの目的にこの商売をやってきた。だけども、商売だけがすべてじゃない。金がすべてじゃない、ってことよ。あっしら人間は魂ってもんがあんだから。誰に聞かれたって、恥ずかしいことじゃないさ。ああ、人に聞かれたって、なんとも思わんね。だから、この際、言っておく。あっしは宗教ってもんを信じるよ。そのうち不自由せずにすむだけのもんを稼いだら、そんときは魂の救済ってなことを考えようと思っとる。だから、必要以上にむごい仕打ちをすることもないんじゃないかと思うんだ。そういうことはやめといたほうが身のためだと思うわけさ」
奴隷商人が魂の救済を説き出したのです。
十五少年漂流記にも、悪党の中にも良心が残っている者がいて、最後に少年たちを助けて死んでいきましたが、
この物語の中でもヘイリーは悪の中の善として描かれるのでしょうか。
そんなフラグを感じた第八章でした。