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14【10年以上続く事業】となるための事業計画作成法⑧~顧客に届く事業となるための分析を簡単にする方法(カスタマージャーニー分析)
「私の住んでいる地域を元気にしたい!」そんなあなたの想いをサポートしたい!Мの行政書士・上杉哲哉です。(福島県会津若松市と栃木県日光市に在住しています)
事業とは【誰かの課題を解決する】ことです。
前回は、顧客の課題をより具体的にする「エンパシーマップ分析」について学びました。
今回は、エンパシーマップ分析のデータをもとに、さらに顧客の課題を深堀し、ターゲット定める分析となる「カスタマージャーニー分析」について考えていきましょう。
(1)カスタマージャーニー分析とは?
「カスタマージャーニー分析」とは、現在の顧客として想定しているターゲットが、どのような心理状態で、どのようなステップを踏み、どのような行為を完遂しようとしているかを、ターゲットの動きに沿って明らかにしていく分析法です。
ペルソナとエンパシーマップで想定した顧客像の行動を、より具体的なストーリー(ジャーニー)に落とし込み、顧客の持っている課題をより具体的に、そして立体的にしていきます。
【事例 Airbnb(通称:エアビー)】
カスタマージャーニーを築き、顧客の課題を設定した事業として挙げられるが、インバウンド需要を見込んだ民泊マッチングサービスを行っているAirbnb(以下エアビー)です。
エアビーは当初、安価な宿泊所を求めた中所得層をターゲットとして想定していました。
しかし、民泊利用者の多くが、高所得層であることに気が付きました。しかし、なぜ、高所得層が民泊を利用するのか…その疑問を解消するために、カスタマージャーニー分析を試みました。
海外旅行をする人が踏むステップ一つ一つにおいて、どのような心理状態であるかを細かく分析しました。すると、高所得層の旅行者の多くが、パッケージングされた旅行に飽きていることが判明したのです。
旅行において、いつもとは違った、心がわくわくするような体験をしたいというニーズがカスタマージャーニーを描くことで見えてきたのです。
心がわくわくする体験ができる宿泊所となると、個々人でニーズも異なってくる…。しかし、エアビー事業者だけでは、多種多様な宿を紹介できるだけの労力を割くことが難しい状況でした。それでも、顧客の多様なニーズに応えられるようにしたい…。また、多くの民泊事業者が、旅行業者とつながっておらず、気軽に自分の民泊事業を仲介していくれる場を求めている現状も浮き彫りとなりました。
そこで、考えたのが民泊マッチングサービスです。民泊事業者をエアビーが探すのではなく、事業者が自分で情報提供し、営業しやすいシステムを構築しました。その結果、顧客のニーズを満たす多種多様な民泊サービスを提供することに成功したのでした。
よりカスタマージャーニーで明らかになった多種多様なニーズに応えることができる民泊紹介サービスを追求した結果、民泊マッチングサービスという新たな事業形態を構築することに成功したのです。
このように、ターゲットの物語を描くことで、より具体的なニーズを発見することが可能となります。
(2)カスタマージャーニーを作る手順
エアビーが顧客として想定している海外旅行客を参考に、カスタマージャーニーを作る手順について考えていきましょう。
①顧客像を確認する
ペルソナ、エンパシーマップにて、顧客像を改めて確認する。
②顧客の目標を考える
想定した顧客が達成したいことと、その理由をまとめる。
(例)海外旅行をすることで、今まで味わったことがないわくわくした体験をしたい。
③ステップを書きだす
特定の行動をとる時、想定した顧客がしそうな大まかな行動をステップにわけて書き出していく。
(例)空港到着⇒移動⇒⇒宿舎⇒観光⇒・・・
④詳細な行動を書きだす
大まかなステップをさらに細かく分解する
(例)
・空港到着
着陸⇒税関⇒荷物ピック
・移動
切符買う⇒駅構内移動⇒電車まつ⇒電車出発⇒目的地到着
・宿舎
下車⇒宿舎の場所を探す⇒徒歩移動⇒チェックイン⇒シャワー…
⑤行動の裏にある思考を書きだす
あらゆる行動には理由があるので、なぜその行動をとったのか、顧客の意識の動きを想像してみる。
⑥タッチポイント(接点)を書きだす
人、店、ウェブサイト、アプリ、業務システムなど、ステップごとに顧客とサービスが接点を持つ要素をリスト化する。
⑦感情を書きだす
場面が変われば、人の感情は浮き沈みがあるので、その感情の波をグラフなどで可視化する。とくに、不都合に対する痛みや怒りの浮き沈みの中でどこに頂点が来るのかを検討することが重要。
⑧現状の課題を書きだす
今回まとめたデータや考察の全体を俯瞰してみて、カスタマーが直面している課題は何かを抽出する。
以上の点をまとめる中で、課題がより浮き彫りになっていきます。
先の例で挙げたエアビーは、裕福な層の旅行ルートを参考にする中で宿泊先にわくわくを求めることが見えてきました。宿泊先までのルートではそこまでのわくわくを求めておらず、宿泊先でわくわくすることを発見したのです。結果として、旅行者ごとに異なる多種多様なわくわくを提供できる宿泊先を紹介できることが、より重要であるという結論にたどり着きました。
ーまとめ―
・顧客の目的を達成するためのルート(物語)を想定することで、顧客の本当のニーズをつかみやすくなります。
・この物語を明示する分析法のことをカスタマージャーニー分析と言います。
・カスタマージャーニー分析を通じて、顧客が本当にもっているニーズをより客観的に判断することができるようになります。
次回は、今回の分析で具体的にみえてきた顧客の方々は、どのような価値が提供されれば満足するか…?独自の価値提案を明確にする方法について考えていきます。
最後までお読みくださりありがとうございました。