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餅は餅屋という言い方がある。
「餅は餅屋」は、餅屋が搗いた餅が一番美味しいことから、その道のことは専門家に任せたほうがうまくいくという意味のことわざ
この「餅は餅屋」なのかという問題は経営者として非常に悩ましい問題だ。だいぶ悩んだが一定の答えが出たので記しておく。
確かに、最近はこの「餅は餅屋」方式で経営している会社は多い。製造業で言ったら「ファブレス」などのビジネスモデルがそれに近い。「ファブレス」とは、「工場を持たない」って意味だ。任天堂とかキーエンスとかがやっているビジネスモデルだ。
全部自分で作らないで、作れるところに作ってもらって、キモの部分だけ専念します!というやり方だ。「選択と集中」って言ったりもする。
最近は経済活動も高度化してきて飽和状態になってきたので、新たに何かを始めるにしても、ライバルが高度な分、大きなリソースを必要とするため「餅は餅屋」というのが当たり前になっているイメージだ。
逆に、「餅は餅屋」じゃなくて、「餅も自作!」方式もある。何でもかんでも自分でやっちまおうって会社だ。「コングロマリット」って言ったりする。製造業で言ったら日立とかソニーとかだ。「これもやる!あ!それもやる!」って言ってどんどん手を広げていく方式だ。
こちらは、さっきの話だと、ライバルが高度な分始めるのに大きなリソースが要りそうなので、一見難しそうだ。だが、これはM&Aなどで元からある知見をそのまま流用しスムーズに他業種参入することで解決していそうだ。
この7年間、中小企業診断士の人とか、コンサルの人とか、いろんな人に「餅は餅屋だ!」とか「餅も自作しろ!」と言われてきたが、どちらがいいのか。
きっと経営資源との兼ね合いだから、ポートフォリオがものを言うのだろう。なので「いい塩梅で」が適正な答えなのだろうが、僕は境界線の観測できない答えは答えになっていないと思っている。どちらがいいか白黒つけようじゃないか。
ということで、ずばり「餅も自作しろ!」だろう。そうじゃないと原理的におかしい。なぜなら、みんながみんな餅を餅屋に任せていたら、餅屋ってどうやって出来たんだ?って話だからだ。誰かは必ず「餅作ってみよ」ってなったから餅屋があるわけだ。
そしてその餅屋は必ず「フェードイン」したはずだ。何かを始めるときは一定のリソースが必要なため、餅屋を始めるだけのリソースを稼いだ仕事が何かしらあるはずだ。つまり、始まった当初「餅は餅屋」という概念は持っていなかったことになる。
さらに、僕達は資本主義化で商売していることから、成長を余儀なくされている。なんでもいいからずっと成長していなくてはいけないのだ。
にもかかわらず、昨今、産業は高度化してきていて、これ以上高度化するのは難易度が高くなっている。
なので、高度なものと高度なものをつなぐところにしか伸びしろがないと思った方が良い。つまり、餅以外のことやって、餅と餅以外をつなぐことに注力するのだ。
分かりやすく言うと、靴工場をやっているとして、
「成長!?成長つっても靴をもっと高度化しようとしてももうさすがに思いつかんばい」
ってなっているとして、
「じゃあ商社やるべ。商社やってみて、そこでうちの靴売ってみるっぺ」
とかだ。商社と靴工場をつなぐことで無理やり成長させてしまうのだ。
以上が「餅は餅屋」じゃない理由だ。
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