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「知的・発達障害児・者とその家族にとってつらい自粛生活」を具体的に支える「視覚支援」
以前、noteに、以下のような記事を書きました。これは新聞社に、「知的・発達障害児・者とその家族にとってつらい自粛生活」の様相について取材されたからですが、記者からいただいた取材質問への返答を書きながら、本当に大事で紹介してほしいのは「具体的な対応方法」なんだけどなぁ、と物足りずに思っておりました。
上記の自著より引用
「知的障害や発達障害のある方の中には、毎日同じ環境の中で安心して過ごすことで安定でき、逆に、急にこれまでとは異なる環境に合わせることが難しい方が少なくありません。加えて、自閉スペクトラム症のお子さんには、障害特性としての触覚や嗅覚などに対する感覚の過敏性もあるため、マスクの締め付けや素材の匂いなどが苦手で、マスクをつけることができない子どもが多数います。
中には、コロナウイルスによる感染症のメカニズムやその予防の意味、そして対処方法についてわかりやすくていねいに説明することで、マスクや手洗いをきちんとできる子もいます。」
実は、上記の太字の部分は、ある写真を想起しながら書いておりました。それがこちら。
もうね、この写真を見れば、私が上記の文章で言いたかった、具体的な手立てというのが、説明なくてもわかりますよね。見ればわかる、これ大事。あえて私の野暮な説明書きはしません。
これは、北海道の特別支援学校の先生、まつもとさちこ先生の取り組みです。またここで使用されているいくつかのフレーム書式、これは奥平綾子代表・株式会社「おめめどう」さんの商品です。
お二人にこの写真の使用については許可をいただき掲載させていただきました。
まつもとさちこ先生が主催するFacebookの特別支援教育教材コミュニティー「Look at this!」
「株式会社 おめめどう」のサイト
まつもと先生も、奥平さんも、発達障害児・者を誰一人として取り残さない、という人権意識をとても大事にされている方なので、こうした「視覚支援」を開発したり使ったりされています。ここで間違って欲しくないのは、これを、子どもを従わせるために作り・使うのではないということです。
新型コロナウイルス感染症により、私たちは従来にない対応を迫られることになりました。先の新聞取材の記者さんの意図は「障害者のつらい生活」に焦点を当てることでしたが、本当は、こうした、視覚支援のような具体的な手立てが日頃からされていれば、また、本人さんやそのご家族の大変さは変わっていたかもしれません。視覚支援は、特別な時に行う特別な手立てではないのです。
今後も「あたりまえへのアクセス」を支える具体的な手立ての一つとして、多くの方に知ってもらいたいと思います。