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日記:良い表情筋が欲しい

10/9(水)

朝目覚めると、雨が降っているような音がした。窓に額をくっつけるかのように外を見ると、水たまりに雨粒がいくつもぶつかっていた。だけれど、今日のランニングメニューをこなさなければならない。着替える。髪を結ぶ。こういう時、先に午前中勉強してから、雨が上がるのを待って、走りに行こうという融通が効かない。私の行動が、天気に左右されているのが気に食わない。

雨の公園のブランコ

帰ってくる。朝ごはんの準備をする。私の台所には、鉄のフライパンがある。

鉄のフライパンというのは、手がかかる。使った後には火にかけて水分を飛ばし、軽く油をしいて馴染ませる。そうやって少しずつ油をフライパンに染み込ませていく。それがリセットされてしまうから、洗剤は使えない。そして、重くて取り回しはあまり良くない。

だけど、テフロン加工されたフライパンと違うのは一生物だっていうことだ。手入れさえ怠らなければ、半永久的に使える。

ひとり暮らしを始めて最初に買ったフライパンは、よくある普通のテフロン加工のものだった。数年後それは寿命を迎えた。そして、捨てた。その時、なんとなく嫌だなと思った。毎日のように使うフライパンを、こうして数年に一回買い替え続けるのを一生繰り返すのは、心地悪いと思った。大袈裟か。

それで鉄のフライパンを手に入れようとしたのだけど、これまた種類が多すぎる上に値段もピンキリ。何とか、これならいけるかもと感じたものをポチッとした。それから、今のところ使い続けられている。慣れて仕舞えば、フライパンとは、洗った後に水分を飛ばし油をしくまではセットのものだと、思い込めるようになる。

鉄のフライパンはお肉を焼くと美味しく焼けるとか、熱伝導がすごいから良いとか、よく分からないけどそういうこともあるらしい。何でもいいけれど、こういうちょっとだけだけれど気持ちが沈む要素をうまく変換できれば、きっと私は生きるのが上手になる。

***

10/10(木)やっと晴れ

何だか人と全然喋らなかった日だった。ただただ、図書館で机に向かって勉強していた。色んなことが頭に入ってきているようで、同時に漫然と時間を潰しているような気もした。卒業試験前なので、流石に大学生活スポーツと音楽に明け暮れていた私も、知識を詰めなければならない。

こんなふうに誰とも喋らなかったら、表情筋とか落ちていくのかな。そうしたら、どんな顔になってしまうんだろう。今の私の顔は、ある程度人と会話することで保たれているのか。こうやって人相というものは形成されていくのかもしれない。とか何とか、そんなことを考えていた。(勉強に集中しなさい。)

人は、新しいことにたくさんチャレンジしたり、色んなことを経験すると時間を長く感じると、脳科学者の茂木健一郎さんが言っていた。今の私は大して変わらない日常を繰り返しているので、あっという間に夜が来て、あっという間に1週間が過ぎていく。

勉強か。この前会った社会人4年目の大学の先輩が、
「やらなきゃって感じじゃなくて、試験の日まで淡々とやり続ければいいんだよ。その日までやれば、終わり。」
と言っていた。

その人は世間的に言えば全然イケメンじゃないけれど(かなり失礼)(ごめんなさい)、すっごく優しいお父さんみたいな顔をしている人。あー!絶対良い人だ!っていう顔の人。ご飯に誘ってもらった時は、家族LINEに報告したほど嬉しかった。ずっと好きなんだよな、本当に人として。

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10/11(金)

妹から借りた本を読み進める。私が実家を出る前、妹がまだ中学生だった時は彼女が読書をするイメージがあまりなかった。

ご飯食べながら読んでいた、と伝えたら汚すなと怒られた。もうしません。

それが、何をきっかけにしたのかめちゃめちゃ本を読むようになった。なんで?と電話越しに聞くと、
「んー、お母さんが買ってくれるから」
と言った。電話はスピーカーにしているようで、隣にいるであろう母が
「あんたも欲しい本あったら言いやー」
と言った。本代はお小遣いと別カウントということだ。

でも、母に本を強請ることはなかったし、今後もないだろう。

私は本を繰り返し読むということがなく、手元に置いておきたい本というのもない。一冊も本を持っていない。家にある冊子の形をしているものと言えば、教科書くらい。本を所有していた時期もあったけれど、全部売ってしまった。

それからは、図書館ヘビーユーザーになっている。ただ、自分の読書体験が作家自身に金銭として還元されないというのは、悩ましく若干もやもやが残る部分ではある。

秋桜
と、秋の空。ちょっと曇っている。

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10/12(土)

季節の変わり目で肌荒れが止まらない。もう何塗ってもしみる。痒くてしょうがない。春と秋はだめだ。身体中の毒素という毒素が、全部毛穴から吹き出してきている。けれど乾燥している。

そりゃ、食生活は偏り、毎日紫外線を浴びて、睡眠もめちゃくちゃ。肌に与えられるエネルギーは残ってない。荒れるとストレスでまた荒れる。

こういうふうに自分の見た目への肯定感が激下がりすると、人の顔をちゃんと見れなくなる。この人には自分の顔がどう見えてるのかが気になってしまう。勝手だけど、相手の肌が綺麗なほど自分の顔が嫌になってしまう。どうしたものかね。どうにかならないものかね。

あのさ、多分ほとんど手入れしてなさそうなのにつるんつるんの人何なの!遺伝なの?不公平だな。いいな。

チョコラBBでも飲もうか。これ、万能薬だと思っているから。何が入っているか知らないけれど。

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