健康寿命を確実に延ばす食べ物10選
今日は敬老の日。
ご高齢の方もそうでない方も、願うのは健康な状態で長生きする「健康寿命」を延ばすことではないでしょうか。
認知症でも寝たきりでもなく、ガンや脳血管疾患、心血管疾患で闘病生活の毎日でもなく。
そのためには、毎日の食事で食べているものが大きなカギを握ります。
この記事では、健康寿命を延ばすと思われる10の食べ物(飲み物)を厳選して解説します。
(記事の文末に動画を貼付しています)
玉子と納豆
健康寿命を延ばす食べ物、1つ目と2つ目は一緒に説明します。
玉子と納豆。
玉子と納豆で特筆すべきは、タンパク質とレシチンです。
寝たきりになって健康寿命を縮める大きな要因としてフレイル(運動機能や認知機能など心身の活力が低下した状態)が挙げられます。
フレイルは運動不足等の原因もありますが、栄養学的には筋肉の材料であるタンパク質不足が大きいです。
玉子と納豆は、手頃な価格でまとまったタンパク質を得られる食品です。
健康寿命を縮めるもう一つの要因が認知症です。
玉子と納豆には、認知症を予防するレシチン(卵黄レシチン、大豆レシチン)という脂質が含まれています。
水分を除いて、脳の60%は脂質であり、なかでもレシチンは脳の材料そのものです。
さらに納豆には、脳梗塞や心筋梗塞の予防効果も期待できます。
ナットウキナーゼという酵素が、血管を詰まらせる血栓を溶けやすくするからです。
ナットウキナーゼの効果は、食べてから10〜12時間くらい持続します。
一方、血栓は深夜から明け方にかけてできやすいことから、夕食で納豆を食べるのが予防効果を最大限に発揮すると考えられます。
玉子と納豆はルーティンとして組み込みやすいので、朝に玉子2つ、夜に納豆1パック食べるだけで、健康寿命を延ばす一定の効果が期待できます。
青魚と鮭
健康寿命を延ばす食べ物、3つ目は青魚。
皆さんよくご存知のEPA/DHAが含まれています。
この内DHAはレシチン同様に脳の材料でもあり、認知症の予防に働きます。
それ以外にもEPA/DHAは、
炎症の抑制
血栓を作らせない
脂質異常症や動脈硬化の予防
などの効果で健康寿命の短縮を防ぎます。
青魚を購入するポイントとしては、養殖ではなく天然ものを選ぶことです。
海の食物連鎖とは関係なく人工的なエサを与えられる養殖魚には、EPA/DHAはほとんど含まれていない可能性があります。
健康寿命を延ばす食べ物、4つ目は鮭。
鮭の特長は、超強力な抗酸化物質アスタキサンチンです。
上のグラフは、脂溶性カロテノイドの抗酸化力を比較したものですが、圧倒的なパワーでアスタキサンチンがトップであることが分かります。
赤い色素アスタキサンチンはカニやエビにも含まれていますが、カニやエビはあまり日常的に食卓に上がるものでもありません。
その点で鮭は、アスタキサンチンの手頃な摂取先です。
鮭も養殖ではなく、天然を選んでください。
青魚、鮭と魚が続きましたが、お魚には解説した成分以外にもタンパク質、そしてビタミンDが多いことで知られています。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けることで有名ですが、骨の成長促進、血中カルシウム濃度を調整する作用もあるため丈夫な骨の維持に欠かせません。
さらにビタミンDは、筋肉の合成を促進する働きもあります。
と、いうことは・・・
転倒⇨骨折⇨寝たきり
という、高齢者によくありがちなパターンを防止するのに、ビタミンDは絶対に必要です。
ビタミンDが多いのがお魚です。
ビタミンDが多いイメージがある干し椎茸やキクラゲよりも多いことが分かります。
トマト(ミニトマト)
健康寿命を延ばす食べ物、5つ目はトマト
理由の一つは、トマトに含まれるカロテノイドのリコピン。
先ほどのグラフでは、リコピンの抗酸化力は、アスタキサンチンに次いで第2位です。
近年発見されたトマトが持つ成分、エスクレオサイドAの働きにも注目です。
エスクレオサイドAはコレステロールの吸収を抑制して、血管の内側にコレステロールが付きにくくする働きがあります。
これによって、動脈硬化の予防が期待できます。
リコピンに話を戻します。
①リコピンは脂溶性のため、油と一緒に摂ると吸収率が上がる
②リコピンは細胞壁の中に入っていて、加熱することで細胞壁が壊れて外に出てくる
という特徴を持っています。
油と加熱という条件、さらにトマトには少ないタンパク質もしっかり摂れる簡単な最強レシピがあります。
トマト玉子炒め
トマト玉子炒めは中国では超定番の家庭料理です。
私も毎朝作って食べています。
補足ですが、リコピンもエスクレオサイドAもグラム当たりの含有量は、普通のトマトよりもミニトマトの方が豊富です。
トマトの旬の時期が過ぎると、スーパー売場ではミニトマトを見かけるようになります。
ミニトマトは、仕方なく買うのではなく、前向きに購入してよい商品です。
海藻類と大麦
健康寿命を延ばす食べ物、6つ目は海藻類。
海藻類が健康寿命を延ばす成分は、水溶性食物繊維。
水溶性食物繊維は、乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌などの善玉菌のエサになって善玉菌を増やします。
年齢を重ねるに従い、何もしないでいると、腸内細菌バランスはどんどん悪玉菌優位になって、腸内環境は崩れていきます。
日頃の食事で海藻類を食べることは、大きな意味があります。
実際に、長寿で知られる京都府京丹後市の高齢者の食事内容を調査すると、海藻類の摂取が多いという特徴が見られます。
沖縄では、モズクやアーサ(アオサ)を日常的に食べますし、昆布を炒めて食べるクーブイリチーというレシピもあります。
そういう環境であれば海藻類をたっぷり摂れますが、なかなかそうもいかないという場合は、もう一つ、救世主となる食品があります。
健康寿命を延ばす食べ物、7つ目は大麦(押し麦、丸麦)
大麦にも水溶性食物繊維が豊富です。
上のグラフ(左側)は海藻類を除いた水溶性食物繊維が多い食品です。
大麦は、ゴボウや納豆の2倍以上含まれていることがわかります。
大麦は白米に混ぜて一緒に炊くだけです。
毎日ご飯を食べていれば、確実に水溶性食物繊維を摂ることができます。
これをベースとして、海藻類、ゴボウ、納豆などでプラスαをしていけば、善玉菌が増えて腸内細菌バランスが整ってくるはずです。
オリーブオイル
健康寿命を延ばす食べ物、8つ目はオリーブオイル
世界中でもっとも健康によいと言われている地中海食。
その地中海食のポイントがオリーブオイルです。
オリーブオイルに含まれるオレイン酸は、HDL(善玉)コレステロールを減らさずにLDL(悪玉)コレステロールを選択的に減らします。
それにより動脈硬化と、動脈硬化が引き起こす脳血管疾患や心血管疾患を予防します。
2004年、米国食品医薬品局(FDA)は、
「オリーブオイルには虚血性心疾患を予防する一定の効果がある」
と、その効果を認めています。
オリーブオイルにはビタミンEも豊富に含まれ、それが油の酸化を防止します。
加熱調理で使っても酸化しにくく、炒め物などキッチンでは本当に重宝します。
コーヒーとお茶
健康寿命を延ばす食べ物、9つ目はコーヒー
コーヒーの健康効果は、
糖尿病の予防
心血管疾患の予防
肝硬変の予防
肝臓ガン、乳ガン、子宮体ガンなどガン予防
アルツハイマー型認知症の予防
など、さまざまです。
最後のアルツハイマー型認知症の予防は、
その原因だと言われるアミロイドβ(使用済みのタンパク質)の蓄積を、コーヒーに含まれるカフェインとクロロゲン酸が抑制しているのではないかと考えられています。
間違いなく健康寿命を延ばすコーヒーですが、飲み過ぎると効果は目減りしてしまいます。
個人差はありますが、1日3〜4杯前後が適正だと思われます。
健康寿命を延ばす食べ物、10個目はお茶、緑茶
お茶、緑茶も数々の健康効果を持ちますが、高齢者にとって欠かせないのがカテキンによる抗菌効果と抗ウイルス効果ではないでしょうか。
抗菌効果によって、高齢者に多い肺炎の予防が期待できます。
ウイルスに対しても高齢者の感染が多いことは、コロナ禍でも明らかでした。 ウイルスに対抗する栄養素はいろいろありますが、まずは日ごろ食べたり飲んだりするものから防御することが大切です。
お茶のカテキンは太陽光を浴びれば浴びるほど増えるので、茶畑に一定期間の覆いをする抹茶や玉露に比べて、煎茶の方が多くなります。
まとめ
[健康寿命を確実に延ばす10の食べ物]
①玉子
②納豆
③青魚
④鮭
⑤トマト
⑥海藻類
⑦大麦
⑧オリーブオイル
⑨コーヒー
⑩お茶、緑茶
この記事の内容については動画もアップしています。
合わせてご覧ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?