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タンパク不足が体に引き起こすこと、それを誰もがイメージできるように説明します。

 昨日公開した記事では、現代日本人のタンパク質摂取量はなんと1950年代と同水準であり、1995年頃から急激な減少傾向を見せていること、その原因を考察してみました。

 では、タンパク質が不足すると体に何が起きてしまうのか、それを書いてみます。

 表立った症状としては、筋肉減少、足腰の衰弱(フレイル)、肌荒れ、むくみ、免疫力低下、メンタルが弱くなる、等よく知られているものがあります。
 が、ここでは、その内部で進行していること、目には見えにくい部分に焦点を当ててみます。
(記事の文末に動画も貼っています)


体はタンパク質でできている

 タンパク質は言うまでもなく体の材料です。人体は水分を除けば、ほとんどがタンパク質だと言っても言い過ぎではありません。

 上の図を見てもわかるように、ほぼ全ての臓器、皮膚、筋肉、髪、骨(30%)、血液、血管、すべてタンパク質です。

 そして酵素。一般にはあまり知られていませんが、これが一番重要かもしれません。

 酵素には消化酵素と代謝酵素があります。消化酵素はタンパク質をはじめ、脂質や炭水化物を分解して消化させます。

タンパク質の消化酵素

 代謝酵素は体内のあらゆる代謝活動に関わります。例を挙げると、以下のようなところです。

 ここまでを見ても、タンパク質がもっとも重要な栄養素であることがわかります。
 タンパク質を英語でプロテインと言いますが、その語源は「1番目のもの、もっとも重要なもの」と言う意味です。

タンパク質のターンオーバーは思いのほか速い

 では、タンパク質の摂取量が不足すると体にどのようなことが起こるのか、という本題に移ります。

 それを理解するためには、各部位のターンオーバー、つまり新陳代謝のサイクルを知る必要があります。

 肌(皮膚)のターンオーバーが約1か月ということは多くの女性はご存知かと思いますが、その下の方をご覧ください。

驚くことに、胃の粘膜はわずか3日です。
さらに驚くことに、腸の微絨毛という部分は、ナント1日です。

 食べ物の消化活動は、体にとっては大変なハードワークであり、それに関わりの深い部位ほど消耗が激しいことを物語っています。

  このように、部位によってバラツキはありますが、体のターンオーバーは思いのほか短いことを思い知らされます。

新しい材料が入ってこないと・・・

 ここで、ある疑問が浮かぶかもしれません。

「もし断食などで5日間タンパク質を入れなければ、胃粘膜や腸微絨毛はなくなってしまうのか」。

 もちろん、それはありません。それは困ります。生きていけません。
じゃあ、何も起こらないのか・・・

 答えは、新陳代謝が起こらないだけです。新陳代謝が起こらないということは、古いタンパク質(細胞)と新しいタンパク質が入れ替わらない、ということ。
 本来ならば寿命が来て退くべきタンパク質が、いつまでもそこに居座り続けるということになります。

するとどうなるのか。答えを言う前に具体例で説明したいと思います。

例えば、会社です。会社などの組織でも新陳代謝は必要です。

 一定の年齢に達した人にはリタイアしていただいて、新しい若い人と入れ替えていかないと組織は存続できません。

当然、若い人の方が体力も気力もあるし、頭は柔軟だしITにも強いでしょう。

もしここで、新しい人が入ってこなかったとしたら・・・

 定年予定だった人が「まだまだ頼むで〜」と言われて、仕方なく老体に鞭打って働き続けることになります。
 ハッピーリタイアだったはずが「えーーーっ!」という感じですね。

 こうなると、組織は活力もなくなり、生産性も落ちて業績も下がっていくわけです。

 このグラフが人の体で言うと、健康レベルの低下に相当します。したがって、新しいタンパク質を入れる必要があるのです。

機能低下が進むと、その先にあるのは・・・

中高年には少しリアル過ぎる話だったので、もうちょっと身近な例で。

家も何十年と住み続けると、長年の雨や風(台風)、日照りなどで、あちこちが傷んできます。

 定期的に新しい建材や資材を使って補修をするわけですが、その補修を怠る(建材や資材が入ってこない)とますます傷みは激しくなるし、だいいち住み心地が悪くなります。

 次に車です。乗り続けていると、タイヤが擦り減る、バッテリーの交換、ブレーキパッドの交換など、とかくお金が掛かります。

 けれども、寿命が来たパーツを交換しなければ危険です。人命にも関わりかねませんので、お金が掛かっても、普通は交換するわけです。

 人の体も全く同じです。新しい材料を必要量つねに入れ続けないと、その部分は間違いなく劣化の一途をたどります。
 
 それはつまり、機能の低下です。臓器、器官、組織の機能低下が進むと、その先にあるのは病気です。

タンパク質を必要量入れ続ける大切さがここにあるわけです。

 家や車と違って体の中は見えないですし、材料が足りなくなってもすぐには異変が起こらないので、ついつい油断してしまいます。
 けれども、じわじわと確実に病気に向かいます。そうなる前に対策を打つのが予防です。

タンパク質を十分に摂取することの大切さを、今一度見直してください。

まとめ

 タンパク質摂取量が不足すると体に何が起こるのか。それを理解するためには、各部位のターンオーバー、つまり新陳代謝のサイクルを知る必要があります。
 
 ターンオーバーが短いものでは胃粘膜がわずか3日。さらに腸微絨毛という部分は、ナント1日です。
 体のターンオーバーは思いのほか短いことを思い知らされます

 タンパク質が不足するとこの新陳代謝がスムーズにいきません。つまり、古いタンパク質と新しいタンパク質が入れ替わらないということです。
 本来ならば寿命が来て退くべきタンパク質が、いつまでもそこに居座り続けるということになります。

 新しい材料、つまりタンパク質を必要量入れ続けないと、その部分は間違いなく劣化の一途をたどります。
 それはつまり、機能の低下です。臓器、器官の機能低下が進むと、間違いなく病気につながります。

タンパク質を必要量入れ続ける大切さがここにあるわけです。

この記事の内容は動画をアップしています。合わせてご覧ください。


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