牡蠣が旬な冬はウイルスに対抗する亜鉛をたっぷり摂ってほしい!
ミネラルの一つである亜鉛は、一昨年のパンデミック以来、きわめて注目度の高い栄養素になりました。
そこで、亜鉛がどうしてそこまで重要なミネラルなのか。
亜鉛は何からどのくらい摂ればいいのか、を記してみます。
(記事の文末に動画を貼っています)
亜鉛は酵素のサポート役
亜鉛が「ミネラルの大関」と言ってもいいくらい重要なのは、その仕事の数がきわめて多いからです。
亜鉛の仕事の数は、私が10数年前に勉強した時には200〜250だったが、今では1000というと記述も見かける程、とにかく仕事がめちゃくちゃ多いことに変わりありません。
少し正確にいうと(仮に1000として)、亜鉛は「1000以上の酵素の補因子として働く」ということです。
ちょっと、わかりにくいですね。
まず酵素とは「生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子」のこと。
簡単に言うと「消化や代謝に関わるすべての作業を行う作業員」です。
ただ、酵素はそれ単独では活性のない状態で、仕事ができません。
ここにスイッチを入れて酵素を動かすのが補因子になります。
亜鉛は、少なくとも500の酵素を活性状態に変える補欠分子族ということです。
「味覚のミネラル」以外にも仕事はたくさん
亜鉛の主な働きは
・酵素反応の活性化
・DNAの合成
・細胞分裂の促進
・タンパク質の合成
・ホルモンの合成や分泌の調節
・免疫応答の調節
ということになりますが、これも理解しにくいですね。
なので、
亜鉛が不足するとどんな症状が起こるのかを書きましょう。
・食べ物の味がよく分からなくなる、濃い味を好む
(舌にある味細胞の細胞修復再生が滞るため)
・傷の治りが遅い
・ニキビ、肌荒れ
(皮膚の細胞修復が滞るため)
・抜け毛(毛根の細胞修復が滞るため)
・夕方以降に急に目が見えにくい
(亜鉛は目の水晶体に多く存在するため)
上の図では「300種類を超える酵素〜」となっていますが、今では1000以上と言われています。
「発育のミネラル」「性のミネラル」でもある
さらに妊婦さんや子供が亜鉛不足になると、
・胎児の奇形
・発育不全、成長障害
のリスクも出てきます。
胎児や乳幼児に大切なのは、葉酸やビタミンAだけではありません。
亜鉛はまた、生殖器(ホルモンの合成や分泌に関わる)の分布が多いため、「j性のミネラル」とも呼ばれます。
とくに男性は、体内の亜鉛分布のうち圧倒的に前立腺に多いことが分かっています。
そのため、亜鉛不足は
・精力減退、ED
・精子数の減少
を招きます。実際に、ここ30〜40年で精子の数が大きく減少している、という報告があります。
女性の不妊は、女性だけの問題ではないことを、男性も認識する必要があるでしょう。。
ちなみに女性(の不妊対策)は、亜鉛に加えてビタミンEをたっぷり摂ることをお薦めします。
ホルモン関連でもう一つ、亜鉛はインスリンの合成に働きます。
インスリンは、食後に血糖値が上がった時に、それを下げようとして膵臓から分泌されるホルモンです。
ですから、亜鉛が不足すると血糖値が上がりやすくなります。
「亜鉛は免疫」でもある
そして、昨今、亜鉛が俄然注目されている理由は、言うまでもなく新型◯◯◯ウイルスです。
一昨年、アメリカではコロナの感染爆発が起こったときに、通販等で亜鉛サプリメントが売り切れ続出したという話があります。
亜鉛がウイルスに対抗する役割があることは知られています。
亜鉛は、インターフェロンというウイルスの増殖を食い止めるタンパク質を活性化するからです。
実際に、白血球(リンパ球)には亜鉛が高濃度に含まれます。
そのことからも「亜鉛は免疫」であるのが分かるでしょう。
そのため、亜鉛は風邪(風邪は9割がウイルス性です)やインフルエンザの予防、あるいは症状緩和にも役立ちます。
風邪と言えばビタミンCが有名ですが、ビタミンCは予防には実力を発揮するものの、一旦風邪をひいてしまうと効果は限定的です。
それに対して、亜鉛は風邪をひいてからでも一定な効果があることで知られています。
亜鉛が含まれる食品
亜鉛の1日当たりの望ましい摂取量は、15〜30mgです。
それに対して日本人の平均摂取量は約8mgなので、全然足りていません。
なぜ足りてないのか。まず亜鉛が含まれる食品を見てみましょう。
何と言っても圧倒的に多いのが、牡蠣です。
100g中、亜鉛を約13mg含みます。
これは第2位である豚レバーの2倍です。
それ以外では、
うなぎ、煮干し、たらこ、スルメ、松の実カニ、アワビ、シャコ、ほや、帆立貝、ワカサギ、サザエ、はまぐり、和牛赤肉、卵黄、海苔、ゴマ、アーモンド、カシューナッツ etc.
玉子、海苔、ゴマなど一部を除いて、日常的に食べるものがやや少ないのが気がかりです。
なかには、聞いたことはあるけど、食べたことはない食品もあるのでは。
このように、亜鉛が多く含まれる食品に日常的なものがやや少ないのが、亜鉛不足の原因の一つと考えられます。
亜鉛不足のもう一つの原因
ただ、それだけでは、ここ30〜40年で精子が大きく減ったという理由が説明できません。
そこで、もう一つ考えられる亜鉛不足の原因として、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品など、加工食品の急増が考えられます。
加工食品には、亜鉛に限らずミネラルはほぼ含まれません。
食材の洗浄や加熱、攪拌といったさまざまな工程で、そのほとんどが消失してしまうからです。
さらに、加工食品に食品添加物が多いことも問題です。
食品添加物が亜鉛の吸収を阻害するからです。
つまり加工食品を多用すると、それ自体に亜鉛が含まれないばかりでなく、一緒に食べた食材に含まれる亜鉛の吸収まで妨げることになります。
先ほどの不妊の話に戻りますが、男性が全く自炊せずに加工食品ばかり食べていると、高い確率で亜鉛不足、精子不足を起こします。
これからお子様を授かりたいというご夫婦は、やはり食生活の見直しから始める必要があるでしょう。
まず、先ほど挙げた食品を可能な限り食べてください。
今(冬)は牡蠣でまとまった亜鉛を摂取できるチャンスです。
それ以外では、レバー、卵、海苔、ゴマ、煮干し、たらこ。
そして加工食品を可能な限り減らしてください。
まとめ
亜鉛はおそらく1000の酵素を活性状態に変える重要なミネラルです。
亜鉛が不足すると起こりやすい症状として
・味覚が鈍くなる
・傷の治りが遅い
・ニキビ、肌荒れ
・抜け毛
・夕方以降に急に目が見えにくくなる
妊婦・子供の場合は
・胎児の奇形
・発育不全、成長障害
男性の場合は
・精力減退、ED
・精子数の減少
それ以外にも
・血糖値が上がりやすくなる (インスリンの合成に働く)
・風邪をひきやすい、治りにくい(免疫に深く関与)
など、さまざまです。
亜鉛の必要摂取量は、1日15〜30mg。
それに対して、日本人の平均摂取量は約8mgと全然足りていません。
亜鉛不足の対策としては、まずは牡蠣をはじめとする亜鉛が含まれる食品を可能な限り食べること。
冬の今はチャンスです。
そして、食品添加物を多く含む加工食品を可能な限り減らすことです。
食品添加物は亜鉛を含まないばかりか、亜鉛の吸収を阻害するからです。
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