ビビりの正体2022
お疲れ様です。
萩野貴旺(はぎのたかお)です。
本当に早いもので、本年も最後の1日…
というか、もう残り数時間となってしまいましたが、ここで年末のご挨拶をさせていただきます。
いつも萩野のnoteを読んでいただいている皆さまには、本年も格別のご厚情を賜り、心より感謝申し上げます。
今後とも、より一層尽力してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
noteの冒頭部分にて恐縮ですが、年末のご挨拶とさせていただきます。
どうぞ良いお年をお迎えください。
今回のnoteは、“ビビり”を抱える全人類に読んで欲しい内容です。
それでは、どうぞ!
1.PANCRASE JIU-JITSU CUP 2022
12月25日、クリスマスに年内最後の試合、JBJJF主催のPANCRASE JIU-JITSU CUP 2022に出場してきました。
1-(1).結果
岡田達磨選手に0-6(adv.1-0)で初戦敗退。
1-(2).試合展開
引き込み成功し、ハーフに入れる。
しかし、そこからディープハーフに潜りきれず、担ぎパスを喰らう。
それをガードリテンションしきれぬまま3P相手に先取される。
そこから上四方までポジションをすすめられ、ノースサウスチョークされるが、深くは入っていなかったので必死にエスケープを試みる。
相手は、一度パスしてノースサウスのポジションからあまり積極的にサブミッションは狙わず、押さえ込み続けていたので、相手に対して2回のルーチ。ここで萩野にアドバン1が入る。
それに焦った相手が、一気にマウントに移行しようと足が浮いたタイミングでハーフに戻す。そこからパスをしようと相手が前重心になった瞬間に合わせて、フックしていた下足を払い上げ、三角の中に入れた。
ただ、相手を三角の中に入れるも頭を下げきれず、クローズドに戻す。
オープンガードにしたタイミングで再度担ぎパスを喰らい、またパスを許してしまう。再び3Pが相手に入り、0-6(adv.1-0)のまま残り30秒。
咄嗟に反応して亀になるもガブられ、アナコンダの形を作られる。
その状態から投げられ、更に横回転。なんとか全部ついて行き、極めさせず、とにかく最後は凌ぎきり、試合終了。
1-(3).課題
2回完パスされたことは、素直に反省。
しかも、その2回とも普段からよくやられている苦手な担ぎパス。
この試合通じて対応しきれず、最後までガードリテンションできなかった。
練習してきた三角もエントリーは良かったものの、頭下げさせれず。
相手の頭を上げようとする対処やリアクションは想定内だったにも関わらず、自分自身のリアクションが遅かったし、視野も狭かったし、その後の対応も良くなかったから三角入れただけで終わってしまった。最終的に極めまでは持っていくことができず、この試合で勝てなかったとも言えるなと。
あと今後フェザー級でやっていくのには、フィジカルも必要だと改めて痛感させられた。
2.父の言った「人間いつか死ぬし」
それから、試合終えて…
「今年も1年終わったな…」
「自分、今年だけで22試合も出てたんか…」
「ほぼ月2ペース、マジ狂ってんな…」
「最後くらいしっかり優勝して終えたかった、悔しい…」
なんて思いながら、実家の高知まで帰る新幹線の中でボロボロ泣きながら檸檬堂の缶チューハイを流し込みました。
試合会場、その場では恥ずかしくて全然泣けなかったんよね。
直近の試合では、少しずつ勝ってきていて、何かを掴みかけていた気がしていたけれど、まだまだでした。来年もまたコツコツやっていきます。
で、そこから実家に帰り着きました。
そしたら、夕飯中に父がこんなことをポロって呟いたんですね。
「貴旺の好きなようにやったらええよ、人間いつか死ぬし。」
これを聞いた時、ふと思ったんですね。
本当のところで、これを理解してる人は実は少ないと思っていて…
つまり、人生700年くらいあると思い過ごし、勘違いしている人が多すぎるっていう話な訳ですよ。
で、この「人間いつか死ぬし」っていうこの言葉が、萩野の胸部に見事ドン刺さりしまして。
そう、萩野も皆さんもいつか必ず死にます。
いきなり、大晦日に何言い出すねんって話なんですけど。
そこそこの年齢になったら、もしかすると下手したら、そこそこの年齢になる前に事故とか、あるいは病気で突然死ぬかもしれないですし、死ぬまでいかなかったとしても、いつ動けない身体になるか分からないですと。
これは、本当。
実際、誰にも分からないんですね。
でも、この「人間いつか死ぬし」っていうことを本当のところで理解すると、 全ての恐怖心が無くなるなって自分は思うんですね。
3.負け癖
で、加えて。
ここからは、ちょっと萩野自身の価値観の話になるんですが、 よく“勝ち癖”とか“負け癖”とか、こういう言葉がありますよね。
実際、今年の上半期の試合では、ほぼほぼ初戦敗退で終わってしまう様な全然勝てない1回戦BOYって感じで。
ちょうど周りの人にも「萩野くん、もう負け癖がついちゃってるよ…」なんて言われた時期もありました。
でも、これは自分からしたら別に大した話じゃなくて、そもそも勝負の世界、文字通り“勝つ”こともあれば“負ける”こともあると思うですよね、そもそも。
例えば、その試合に負けたとしても、その経験とデータが積み上がって、後々になってネタにできると。これは別に柔術の試合に限った話じゃなくて、仕事やプライベートでも。
あ、ネタって言葉が良くなかったですね。
自分にとってプラスになっていくという意味で捉えてください。
3-(1).ビビり癖
一方で、この“負け癖”ではなくて、“ビビり癖”っていうものがあると萩野は思っていて。
こっちの方が大問題で、この“ビビり癖”は、さっきの“勝ち癖”とか“負け癖”とかの全然結果の話とは別で、100%自分自身のメンタルの話なんで、これが染み付いついちゃうと抜け出せなくなって、今後の自分自身の発展性がゼロになってしまうと個人的に深刻に捉えています。
これって、いわゆるメンタルブロックという心理で。
思い込みで心の壁を作ってしまい、失敗した時の言い訳を用意して自分を守ろうとすることなんですね、おそらく。
萩野の2022年の経験上、さっき言ったこの“ビビり癖”は、自分自身を正当化するような言い訳というか“ビビり”を何回もやっちゃうと、この“ビビり癖”がついてしまうと、一生直らないと思うんですね。
仮にこの“負け癖”と“ビビり癖”が目の前に、同時に2つ現れたとして、どちらかを取らないといけない状況があったとしますと。
そういう局面になった時に、この“ビビり癖”を取るヤツが多過ぎるっていう話で。
ただ、さっき言ったように“負け癖”っていうのは、最終的には結果。
その後に経験とデータが積み上がってくるんだよっていう話で、その先にも繋がる話だと思うんですね。
“ビビり癖”っていうのは、もうそこで、それが頑固にこびり着いちゃうともう終わってしまうっていう話で。
じゃあ、なんでこの“ビビり癖”を取っちゃうヤツが多いかって考えた時に…
ま、本当のところで「人間いつか死ぬし」っていう、これを理解していないから、そういうことになるんじゃないかなと。
3-(2).たった一つの違い
その“ビビった体験”っていうので、思い出したエピソードがあって…
自分、大阪の公立大学アメフト部に所属していたんですけど。
ある日、当時大学ナンバーワンの関西学院大学との合同練習に行ったんですね。
当時、自分がアメフト選手としてショボいのは、弱小校にいるからだと。
で、俺も強豪校の奴らみたいに死ぬ気でバリバリ練習できる環境であれば、同じレベルに行けるっていう風に思ってたんですよね、これ結構本気で。
つまり、弱小校の自分もトップレベルで活躍するような強豪校のアイツらも同じ学生、同じ人間で…
センスに大きな差はないだろって思ってて…
ただただ練習量と環境で差がついているだけだと思ってました。
実際、その合同練習で身体同士をぶつけ合って感じたのは、弱小校と強豪校の違いって、 センスでも練習量でもないことがわかったんですね。
それは何かっていうと、一個一個の気持ちの入れ方というか。
言い換えるなら、強い細部へのこだわり、魂の入れ方っていう話で。
つまりこれ、どういうことかっていうと、その合同練習でですね。
強豪 関西学院大学の選手はみんな、ボールを持って走ったり、ぶつかったり、フェイントやカットを切るたびに
「…ウッスッ!!」
「…ンブシッ!!」
「…フシュッ!!」
「…アッシッ!!」
って、もう牛かよっていう話なんですけど。
何が言いたかったかっていうと、そうやって練習の一挙手一投足、全てに気持ちを入れて、 魂入れてっていうのを練習の時からずっとやってたんですね。
一方、弱小の自分は実際7割ぐらいの力で適当に気持ち良く練習して…
で、これで今日のメニュー終わりましたよみたいな。
そんな感じで流してて…
なんか、その練習ひとつ切り取っても、一つ一つ魂を削ってやるというか。
そういうところに結果を出すチームと、結果を出せないチームの差があるんじゃないかなと、当時ビシビシ感じたのを思い出しました。
3-(3).ジャイアントキリングが嫌い
また、少し話逸れるんですけど。
ジャイアントキリングって色んな世界でありますよね。
なんか弱小が強豪相手に勝っちゃうみたいな。
あれって、プロスポーツなら結構メディアとかが取り上げて、騒いだりしますよね。
要は強豪が負けたことで、周りの人たちもなんか「強豪が悪だ」みたいな、「悪者をやっつけた弱小」みたいな感じで、気持ちよく映ると。
で、実際自分も弱小だったことを自己投影させて、なんかそういうニュースを見れば、嬉しいというか、「悪者をやっつけた」「スカッとする」「やったぞ」みたいな。そういう気持ちになってたんですけど。
けど、その関西学院大学との合同練習以降、本当に第一線でやってる人達がどういう気持ちで、どれだけ魂削って、 色んなこと捨ててその競技に向き合い、練習しているのかっていうのを初めて肌で感じ、知ったんですね。
そういう上の人達の世界を見ると、やっぱりそうやって魂削ってやってきた、積み上げてきた人達が 勝つべきだと思うし、そうであるべきなんじゃないかなっていう風な考えになりました。
なので今では、あんまりこう「弱小が強豪を倒した」みたいな…そういうのはあんまり好きじゃなくて。
何故かって言うと、おそらくですけど、強豪と言われる環境に身を置く選手の方達は勿論色んなものを捨ててきてますし、 毎日毎日その競技にかけて必死に練習してるから、そういう人たちが勝って然るべきだ、そうあってほしいっていう、そういう思いに変わったっていう話です。
話戻って、アメフトでも柔術でも仕事でも、この弱小と強豪の差って、センスだとか、量だとか、それよりも一つ一つの行動にこだわるだとか、一挙手一投足に魂を入れていく姿勢の差が1番大きいんじゃないかなと。
4.とて結果は分からない
結局、こういった挑戦にビビる理由って、 最終1つに行き着くと思うんですよ。
それは何かって言うと…
仮に、頑張って苦しんだ…とて結果は分からないっていうことなんですね。
最終的に、この不確定というか、見えないというか、分からないっていう…これがビビりの正体なんですね。
ま、ここからまた萩野の体験談のお話なんですけど。
実は、大学受験の時に1年間浪人しるんですね。
そっから本気で勉強し始めたんですけど、この時、何が怖かったかっていうと、結果は分からないっていうことなんですよ。
死ぬほど勉強やったとて、不合格になるかもしれない。
で、何なら確率で言うと、そっちの方が可能性が高いと。
これがもし仮に1年間で5,000時間受験勉強すれば、必ず合格するっていう風にゲームみたいに決まっていれば、 たぶん何も怖くないんですね。
これに対する苦しむ覚悟と頑張る覚悟って、これを持つのは案外簡単で。
ただ、この「とて結果は分からない」っていう、こういう現実の中で、この現実を背負って、1年間ずっと走り続けていくっていう…これが、おそらく恐怖の正体なんですね。
ただ、実際この「とて結果は分からない」っていう状況で歯を食いしばって必死に闘い続けて、勝利を掴んだ人っていうのは、確実に強くなれますし、実際強いと感じます。
そして、そこから益々「とて結果分からない」の世界に飛び込んでいけるようになると思うんですよ。
で、皆さん大なり小なりとて、この「とて結果は分からない」っていうものにぶつかり、直面し続けてきてると思うんですね。
で、「とて結果は分からない」にも大きいものから小さいものまである中で、レベル小のものが来れば「いやいや、前にレベル中のとて結果分からないを経験しとるわい」と。こういう風に考えれると。
逆に自分の人生で、最大級の「とて結果は分からない」っていうものに直面すれば、もう自分に酔ってまえっていう話で。
今、目の前に出会ったことがない特大の「とて結果は分からない」が来たと。来たかと、これかと。
もうこんなゴリゴリの「とて結果は分からない」は今まで見たことないと。
「もしここで倒したら萩野、レベル上がるんちゃうか」と。
「周りからの感謝もエグいぞ」と。
で、なんなら「このイカついのに立ち向かう自分を見てくれ」と。
「これが萩野の背中や」と。
こんな感じで自分に関しては、こういう風に思ってます。
結局、成功してもネタですし、失敗してもネタになるんで、良い意味で。
なんで、これをやった…「とて結果分からない」っていう、そういうことの方が実際多いんすけど。
ま、全部酔って楽しんでやっていきましょうと。
それがいいんじゃないかなと。僕は高知県民なんで、この表現が一番しっくりきました。
5.真っ直ぐ進むには
あとは、過去をちゃんと振り返りながら前に進もうとすることが大事で。
これは、仕事の取引先の方から聞いた話なんですけど。
船やモーターボートを運転する時に、真っ直ぐ走らせる簡単な方法があるんだと、「萩野くん知ってる?」って聞かれて。
あれね、だだっ広い海の上で真っ直ぐ走るのは、実は結構難しいですよと。
その方曰く、みんなね、結構曲がってっちゃうんですよねと。
で、そこで1番真っ直ぐ走らせる簡単な方法は、自分のスクリューが作った泡の痕跡を見ることですと。
あれを真っ直ぐにしようと思って、後ろ向いて運転すると、1番真っ直ぐに運転できるですと教えてくれました。
多分これって、ビジネスとか色んな事業だってそうじゃないですか。
例えば、何か…喫茶店を始めたとしましょう。
最初は、明日の売り上げも分かんない。
でも、その明日も明後日も分からないところからコツコツ1年やり続ければ、今年1年間の経験からなんとなくシーズンでこうなってきて、来年は大体こうなってくとか、それは多分やっていく内に見えてくると思うんですよね。
これを言い換えると“展望力”って感じで。
さっきの「とて結果は分からない」…けど、過去をちゃんと振り返りながら前に進もうとする「展望力」を持ち合わせながら必死に前に進み続けるしかないよねって話で。
これが自分のいつも言っている「コツコツやっていきます」ってことです。
そんな今年1年でした。
全23大会出場
🥇×8 🥈×2 🥉×7
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