未来の自分に残したい『採用人事として大切にしてきたこと』
みなさんこんにちは。
株式会社D2Cというデジタルマーケティングの会社で採用人事を務める佐川(@tkmsgw76)です。
※この記事は「HR Community ひつじんじ Advent Calendar 2024」の20日目の記事です。記事執筆の貴重な機会をいただき本当にありがとうございます🐏🎄
仕事とももクロとサッカーと、9月に生まれた宇宙一可愛い娘が生きがいです。サッカー観戦Podcast『フットオンエア』も配信しています。
普段は人事として主に採用領域を担当しており、現在は採用チームのリーダーとして「事業成長に直結する採用活動」を実現するために日々奮闘しています。新卒採用もキャリア採用(中途採用)も派遣社員採用も、採用に関する領域であれば幅広く経験をしてきたつもりです。
あわせてキャリアコンサルタントの国家資格を2022年に取得しており、社内の資格保持者と一緒に「キャリア相談室」の相談担当としても活動しています。
▼自己紹介note
採用人事としての「足跡」
思い返せば7年前、新卒2年目に突入した2017年に突然いただいた人事への異動事例。予期せずスタートした人事キャリアですが、採用領域を中心に全力を注いでもうすぐ8年が経過しようとしています。ありがたいことに現在はチームリーダーとしての役割もいただき、試行錯誤をしながら日々の業務に取り組むことができています。
これから人事としてのキャリアを歩んでいく中で、もちろん立場や役割は変化していく(させなくてはならない)と思いますし、自分としても人事全般のゼネラリストとして専門領域を広げていきたいと考えています。今回は約8年間に渡り、まさに人生を注いで取り組んできた『採用人事』という仕事において「大切にしていること」と「忘れてはいけないこと」をまとめてみることにしました。
採用におけるスキルの話やKPI設計の難しさ、社内コミュニケーションや選考体験の創出、メディアやエージェントとのコミュニケーションなどなど… 日々取り組んできたことを網羅的に記録したいと思いましたが、今回は特に熱量高く残しておきたいと感じた「採用人事としての心構え」のような内容にフォーカスしてみようと思います。
採用人事として仕事をしてきた「足跡」として、一種のポートフォリオとして。未来の自分がこのnoteを読み返したときに、仕事に熱中している「今」の気持ちに立ち戻れるような記録にしたいと思います。そして裏テーマとして、採用人事としての仕事観や考え方のヒントを誰かに届けられたら嬉しいなと思っています。少々長くなると思いますが、ぜひお付き合いください。
採用人事として「大切にしていること」
まずは採用人事として「大切にしていること」をまとめてみようと思います。会社のフェーズや規模感、戦略によって採用手法は異なると思いますが、原理原則として共通する部分はあると思います。私自身が採用人事として仕事をする際に意識してきた要素を、「①会社を知ってもらう」「②会社に共感してもらう」「③会社を選んでもらう」の3つのシーンに沿って考えていきます。
📌会社のことを知ってもらうために
✅所属する会社の「情報通」になる
まずは会社のことを学生さんや候補者さんに知ってもらうために、採用人事が率先して会社の情報や魅力を発信できる「情報通」になる必要があると思います。
『採用広報』という言葉が一般的になり、組織の魅力を様々なメディアや手法で各社が発信するようになりました。一方で情報発信の場所が多岐に渡り、学生さんや候補者さんは「今まさに欲しい情報」に辿りつくまで時間がかかってしまう(または辿り着かない)可能性があると思います。そのために「情報通」になることで、必要な情報を適切なタイミングでスピーディーに届けることができ、コミュニケーションギャップによる気持ちの離脱を防ぐことができるのではないでしょうか。
実際に私が所属するD2Cグループでも、各会社や拠点が運営するnoteやオウンドメディア、外部メディアへの投稿記事や事例など、様々な場所から情報が発信されています。自分を棚に上げるわけではないですが、日々の情報発信やコミュニケーションの成果もあり、おそらく私が「D2Cグループで一番、自分の会社が発信している情報に詳しい社員」であると自負しています。もはや「歩く辞書」だと思っていますので、特に学生さんに対しては、様々な場面で個別にカスタマイズした情報発信を心掛けています。
✅自分の考えや想いを通して情報発信をする
上記に挙げたような情報発信は、ただ情報をシェアしていくだけでは「温度」が伝わらず、単なる連絡事項になってしまうことも多々あると思います。できる限り情報を自分自身で噛み砕いて、内容を理解して、情報発信が少しでもコミュニケーションに繋がるように、一方通行では無い発信を意識しています。
特にX(Twitter)でnoteや記事を共有する際には、読んで欲しい対象者のことを意識して簡単な要約をつけるなど、単純に情報をシェアをするだけではない「小さな付加価値」を生み出すことをマイルールにしています。
▼こんな感じの「会社情報まとめ」も定期更新しています
📌会社に共感してもらうために
✅対等な立場で会話をする
当然「採用」という領域なので、選考に「受かる」「落ちる」という事実が発生します。だからと言ってそれを判断する会社側が「偉い」ということは決してなく、あくまでも対等な立場で「選ぶ」「選ばれる」というのが採用領域の正しい姿であると思います。
私も採用の仕事をする中で「自分自身も学生さんや候補者さんから評価される立場である」と日頃から心掛けるようにしています。そうすることで自ずと背筋がピシッと伸びますし、信頼を崩さないために「誠実であり続けたい」という気持ちが自然と生まれるのではないでしょうか。企業側が採用基準に照らし合わせて求職者の皆さんの評価をするように、逆に自分や会社のことを採用担当の行動で評価される立場であることを忘れずに。これからも謙虚に誠実に、仕事に向き合っていきたいと思います。
そして対等な立場とは少しズレるかもしれませんが、リクルーティングの場面では学生さんや候補者さんのことを「とことん信じる」ことを意識しています。内定辞退や音信不通など、時に悲しい感情にならざるを得ない場面もありますが、性善説に従って『疑って学生さん(候補者さん)を傷つけるなら信じて裏切られろ』という言葉を胸に、日々の採用活動に取り組んでいます。
✅「志望動機」と「志望度」を一緒に作り上げる
採用活動の各シーンにおいて学生さんや候補者さんから「志望動機」をヒアリングする機会は多々あると思いますが、個人的には「志望動機は会社側が求職者と一緒に作り上げるもの」だと思っています。直接的に添削や指導をするわけではなく、選考に参加いただく前のコミュニケーションや情報発信、選考中の体験から「志望動機は会社からの情報発信によって自然と作り上げられていくもの」だと考えています。
いわゆる「志望度」についても同じような考え方で、学生さんや候補者さんの自社に対する入社志望度が「低い」状態の場合は採用を諦めるのではなく、志望度の伸びしろをコミュニケーションで最大化できる可能性があると信じ、最後までリクルーティング活動に向き合うことを意識しています。熱意を込めたコミュニケーションがきっかけで学生さんや候補者さんに振り向いてもらうことができたら、まさに採用人事としてのやりがいに繋がるのではないでしょうか。
📌会社を選んでもらうために
✅「求める人物像」をアップデートし続ける
面接を中心とする採用シーンで適切にジャッジができるように、当然ですが「求める人物像」や「このポジションで求められるスキル」の言語化は重要になりますよね。そして求める人物像や求めるスキルの言語化は、最終的に求職者の皆さんに会社を選んでもらうための「採用活動の軸」に繋がるのではないかと考えています。
例えば「求める人物像」の内容を採用広報の軸に設定した場合、各種発信に一貫性が生まれ、本当に届けたい人に刺さる情報発信が実現できると思います。さらに入社前の段階でミスマッチの防止に繋がり、求職者側からしても「自分のこの経験が入社後に活かせそう!」というような入社後の自分の姿を投影するヒントにも繋がるのではないでしょうか。
会社のフェーズや事業の変化に伴い、求める人物像は生き物のように変化していくものだと思います。常に会社の事業変化や経営者の考え方にアンテナを張り、今設定している「求める人物像」はフレッシュで本当に最新の状態なのか定期的に振り返ることを忘れずに。
✅丁寧に、スピーディーに、必要な判断材料を届ける
主なシーンは入社意思決定に伴走する「クロージング」における考え方ですが、対象となる学生さんや候補者さんの状況や考え方に寄り添って、「意志決定における良きパートナー」になることを意識しています。入社における疑問や不安をひとつずつ解消し、意志決定におけるハードルを超えるための必要な判断材料を丁寧かつスピーディーに届ける。すべてが思惑通りに進行できるわけではもちろん無いですが、こちら側のスタンスとして「丁寧に、スピーディーに、必要な判断材料を届ける」ことを意識しています。
その他「採用オペレーション」全般、ひとつのコミュニケーション次第で信頼の上下に関わることを忘れないように。凡事徹底です。
採用人事として「忘れてはいけないこと」
これまでまとめてきた「大切なこと」は、採用人事としてのスキルを向上することで成果を最大化できる内容であると思います。ここからは「考え方の土台」として、採用人事として仕事をする中で譲れない「忘れてはいけないこと」をまとめてみようと思います。
📌複数の視点と視座を行き来すること
主に新卒採用の話になりますが、採用人事としての仕事を始めたばかりの頃は学生さんと歳が近いこともあり、とにかく学生さんファーストで対応を心がけていました。学生さんから見た「良い先輩」「頼れる採用人事」に少しでも近づけるように、寄り添ったコミュニケーションを武器に採用業務に向き合ってきました。
現在は採用人事としての経験も積み重なり、チームを導くリーダーとして、そしてゆくゆくは人事マネージャーを任されるようになるために、採用の場面で「複数の視点と視座を行き来することで適切な判断ができるようにすること」を忘れないように気をつけています。
今まで武器にしてきたリクルーターとして採用体験の向上に意識してきた視点、リーダーとして採用目標の達成のために必要なことを見極める視点、経営の立場で事業成長に直結する最適な採用戦略を企てる視点、それぞれの視座を場面に合わせて行き来できるような、そんな人事パーソンを目指して行動していきたいと思います。(めちゃくちゃ難しいんですけどね。日々奮闘です。)
📌当たり前を徹底すること
約8年採用という仕事に向き合い学んだことは「採用成功に抜道は無い」ということ。効率化や無駄の少ない採用活動を目指し続けていますが、結局は「当たり前のことを当たり前に続けることが究極の近道」であることを忘れないようにしたいと思います。
どうしても楽な方へ流されてしまう人間の理(ことわり)に少しでも逆らえるように。凡事徹底、そして初心や基本を忘れないように。当たり前のことを愚直に追求していくことで、結果的に他社さんとの差別化に繋がる採用活動が実現できると信じています。「選考中のコミュニケーションが丁寧でスムーズだったから」という理由で入社承諾がグッと近づいたという声は、少なく無いですからね。
📌学びと成長に貪欲であること
人事という職種に限られることでは無いかもしれませんが、学びと成長に貪欲である姿を常に体現していきたいと思います。次々に生まれる人と組織の課題に対応できるように、人事としてのスキルアップや能力向上のために、継続的な学びの習慣を作ることが必要であると考えています。さらに、社員に対して成長や学びを促す役割になることもあるので、まずは自分がその姿を体現することは必然であるとも考えています。
私自身も体験を振り返ると、間違いなく学生時代よりも社会人になってからの方が「勉強することが楽しい」と感じる瞬間が多くなったと思います。明確な目的意識を持って勉強するようになったことが理由だと思いますが、能力の向上が会社や組織のために繋がるという「貢献実感」が、モチベーションを維持できている最大の理由です。
採用や人事に関する勉強会への参加や、国家試験合格に向けた通学や試験勉強、日々のインプットとアウトプットの習慣など、これからも自分と組織の成長がリンクするように、年次と経験を重ねても「学びと成長に貪欲」な姿を忘れずにいたいと思います。
▼キャリアコンサルタント資格取得時のインタビュー(体験談)
最近はありがたいことに、母校に就活対策(面接)の担当として読んでいただく機会がございました。さらに渋谷クロスFMで放送されている「脱力就活」にゲストとして読んでいただく等、少しずつ自分の想いを伝えることにも挑戦をしております。
📌ウソをつかず等身大でいること
学生さんや候補者さんとコミュニケーションを取る中で、当たり前ではありますが「ウソをつかない」ことをこれからも忘れないようにしていきます。「ウソをつく」とはどういうことかというと、自社を良く見せるために話を盛ってしまったり、他社と比較して自社のことを過度に良く魅せようとしたり、言い換えると「変に背伸びしている」状態がイメージしやすいかもしれません。
「採用人事は会社や組織の良いところしか教えてくれない」「Webに載っている会社情報は良いところしか載っていない」といった意見をよく見かけますが、実際に自分が面談や説明会で自社のことを説明する機会をいただいた際は、背伸びをせず、表裏無く、できる限り等身大で会社のことを伝えるようにしています。自社のことを美化せずにリアルをしっかりと伝えることで、結果的に「会社の良いところだけでなく課題まで教えてくれて、本気で自分に向き合ってくれていることを実感した」と声をいただくこともできています。自分の好きな会社や組織のことを本気で理解して、それを未来の仲間に伝えようとする真摯な姿勢が、最終的には魅力として自然に伝わるのではないかと思います。
これから人事パーソンとして目指す姿
自分がこれまで採用人事として意識してきたこと、これからも忘れたくないことをまとめてきましたが、今後はどんな人事を目指していきたいかを考えて締めくくりたいと思います。
人事のキャリアステップは複数のパターンがあると思います。採用、組織開発、労務、制度設計など人事の業務領域が複数ある中で、スペシャリストを目指すのかゼネラリストを目指すのか。はたまた組織に所属して人事の仕事を追求するのか、フリーランスとして柔軟に知識を武器として働くのか。現在私も31歳となり、20代前半から交流のある同世代人事の新しい挑戦を数々目の当たりにしてきました。
その中でも自分は「自分が心から共感する組織や会社のために、人事領域であれば何でも課題解決に取り組むことができる存在」を目指していきたいと思います。いわゆる人事領域のゼネラリストとして、会社経営や事業成長に直結するような人事課題の解決を任せてもらえる、人事としての視座が高い状態を目指していきたいと思います。
そのためにまだまだ採用以外の領域の知識や経験は弱いと思いますし、社内における「人事領域の相談先」としてのポジショニングも甘い部分は多いと思っています。さらに人事施策は各領域の一貫性が大切だと思いますので、得意としている採用領域以外の経験や知識は時間をかけて養っていかなければなりません。急に視座や経験が向上することはないと思いますので、目指している「理想の人事像」に少しでも近づけるように、ひとつ先の視点を常に見据えながら日々の人事業務の質を高めていこうと思います。
なお、そんな人事としての現在地をHRプロさんの企画でインタビューをいただきました。全文を読むためには無料会員登録が必要になりますが、ぜひご覧いただけますと嬉しい限りです。(リレー形式のインタビューにて、私以外の諸先輩方の体験談も読むことができますのでおすすめです。)
これからも組織の成長のために誰よりも柔軟な思考を持った人事パーソンを目指していきます。
まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございました。
書いていくうちにどんどん文章が長くなり、結果的にボリューム感のあるnoteになってしまいました。めちゃくちゃすごいキャリアを歩んできたわけではないですが、運良く「人事」というかけがえのない仕事に出会うことができたことを、あらためて感謝しながら振り返ることができました。
自分の経験や考えを棚卸して言語化する機会は、日々の仕事の振り返りとして、そしてこれから目指していきたい姿を整理することができた貴重な体験になりました。あらためてアドベントカレンダーに参加させていただく機会をいただきありがとうございました。
ぜひこのnoteを読んでいただいた採用人事のみなさんは、SNSや交流会の場などで感想をぜひ教えていただけましたら嬉しいです。共感いただける考え方や、「自分だったらこう思う」という別視点の考え方など、ぜひ何でもコメントお待ちしています。Xで引用RTなどいただけましたら、とんでもなく喜びます。
引き続き毎日の仕事の葛藤や気づき、会社や組織の情報などはnoteやXにて細々と情報発信をしていこうと思います。これからも等身大で続けていきたいと思いますので、どうかお付き合いください。
(よろしければ「♡」を押していただけますと嬉しいです)
以上、「HR Community ひつじんじ Advent Calendar 2024」の20日目の記事でした。
ちょうど26年卒対象のインターンシップの運営が佳境で、期日までに書き上げることができるか不安でしたが何とか投稿できました。夏休みの宿題は「最後に本気を出すタイプ」でしたが、大人になっても変わらないですね。アドベントカレンダーは終盤戦に突入しておりますが、私自身も残りの投稿を拝読するのを楽しんでいこうと思います🎄
▼HR Community ひつじんじの入会方法はこちら
年末の大きいタスクをひとつ完了させることができました。これで心置きなく、ももクロのクリスマスライブに行くことができます。明日はさいたまスーパーアリーナで燃え尽きてきます。