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2022年読んだ本の中のおすすめ3冊
2022年読んだ本の中のおすすめ3冊
2022年に読んだ本の中でおすすめの3冊です。ちなみに2022年は40冊程度読んでるかなという感じです。
その中からのおすすめ3冊になります。
言語が消滅する前に |國分功一郎 , 千葉雅也
建築家の解体|松村淳
みみずくは黄昏に飛びたつ|川上未映子 , 村上春樹
もう少しきちんと推薦文や感想をまとめたいと思いつつ、まとめるのが先になりそうなので、読んだ当時に簡単にまとめた感想などを掲載しておきます。
言語が消滅する前に
以前、noteで簡単に感想を書きましたので、リンクを貼っておきます。
選書した理由としては、昨今の「〜はオワコン」のようにすぐに流行り廃りを判断する風潮とは違い、自分の扱う分野への圧倒的な信頼感を感じ、そういった姿勢はプロフェッショナルには重要だなと改めて感じたからです。
建築家の解体
Twitterの方で読後に簡単に呟いた感想を転載しておきます。
自分も建築設計に携わる身として、分かりみが深すぎたので選びました。どの業界でもありそうですが、「建築家界」のあるあるを読み解く感じです。「あるある」というのが、ここでいう「ハビトゥス」にあたるものになります。
「ハビトゥス」に囚われすぎると、結構苦しい状況に陥りやすいように感じますが、こうして改めて建築家界の「ハビトゥス」をまとめてもらえると冷静に大局を俯瞰できて、自分の活動や思想などを相対化できるのでおすすめの一冊です。
松村淳さんの「建築家の解体」読んだ。面白かった。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) August 14, 2022
30代以下ぐらいは街場の建築家として活躍している傾向にある(建築家界のハビトゥスに囚われていない)と指摘があったけど、メディアの影響もあるかなと思う。
arichitecturephotoの躍進はその一端を担っていると思う。
本書の中に二川さん、内藤さん、杉本さんの鼎談が抜粋されていたけど(おそらくGA)、建築家にとっては新建築やGAに載るのは良いけど、商店建築やCASA(CASAの特集にもよるが)に載るのはそこまで…っていう意識がおそらくある。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) August 14, 2022
新建築やGA側も当然「建築家の作品を載せる」という矜持はあると思う
けど、私が学生時代の新建築と今の新建築ってだいぶ様子が違う。厚みも薄いし、組織設計やゼネコンの仕事が多く掲載されて、建築というよりはもはや開発の計画が多く掲載されて、いわゆる顔の見える建築家の作品が少なくなった。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) August 14, 2022
まさに後期近代特有のプロジェクトが多数を占めるようになる。
そうした中でもリノベーションとか、小さなプロジェクトで作品を作ろうとする若手建築家が増えてきた中で、新建築側はすぐにその波には乗らなかった。多分スケールが小さくて、作品として掲載する資格はないと判断している節があったように思う。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) August 14, 2022
そこをすくい上げてきたのがarichitecturephotoだった
ように思う。最初はスターアーキテクト系の紹介が多かったように思うが、段々と有名に限らず作品を紹介していくようになってきた。後藤さんの拠点が最初静岡だったという点もあるかもしれない。中心ではなく、周辺の情報を多く取得できていた。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) August 14, 2022
最近の若手はまず「新建築」「住宅特集」への掲載を
目指すより社arichitecturephotoへの掲載を目指す人の方が多いような気がする(まず、architecturephotoに載って、その次雑誌を目指すかもしれないが)。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) August 14, 2022
後追いで新建築とかが掲載している感じ(あくまで、掲載の関門の高さを見せつける効果はあって、情報に疎い感じはもちろん出さないだろうけど)
掛け金を雑誌に掲載させるという手段を取らずに、architecturephotoやSNSで紹介すれば意外と仕事になるという点も、30代以下が街場の建築家として活躍する要因になっていると思う。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) August 14, 2022
ただ、松村さんがいう通り、若い世代がそこまでハビトゥスに縛られていないかと言われると、いうほどでもないかなと
いう気もする。あと体感的に意外と学生の方がスターアーキテクトの指導を与件が少ない状態で受ける場面が多いからか、もろにハビトゥスを身につけているように思う。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) August 14, 2022
30代くらいが自由に振る舞えてそうに見えるのは、学問としてではなく、仕事の場面でハビトゥスが邪魔になる場面があるから多少
チューニングできる程度に大人になっているという感じがする。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) August 14, 2022
みみずくは黄昏に飛びたつ
こちらもTwitterの方で簡単に感想を呟いていたので、転載しておきます。
まずは川上未映子の村上春樹作品の読み込み具合に驚きます。作家が作家の作品を読み込む場合は、ここまで広く、かつ深く読むのかと感服します。
村上春樹のエッセイや対談などは、文学を書く上での作家論的なものですが、あらゆるクリエイティブに共通する普遍的なことを言及しているように感じます。その点で、この対談集も非常に示唆に富む内容でおすすめの一冊です。
「みみずくは黄昏に飛び立つ」を読んでいるけど、めちゃくちゃ面白い。村上春樹の答えがいちいち本質を突いてくる。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) May 31, 2022
正直一文で説明できそうなことだけど、「その構文をいったん物語という次元に移行させなければ、物事の本質は伝えきれない」というのが物語の持つ力だなと思う。
千葉雅也さんが小説を書くときに(これは少しネガティブな意味で言っているように思うけど)、物語とか比喩でないと本質的なことを言えない・伝えられないと言っている点と同じなように感じる。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) May 31, 2022
あと物語を建物に例えて、地下二階的なものを書きたいというのもすごいよくわかるな。
これ、建築にも通じそうで、一階のような建物を作ると皆から受け入れやすいし、二階のような建物もストーリーとかあってある程度愛される建築になるような気がするけど、自分的には地下二階的な建物が好きだったり、作りたいという欲望がある。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) May 31, 2022
多分白井晟一とかコールハースとかは、地下二階的な建物
かなと思う。一階の建物は、減点されない使いやすい親しみやすい建築みたいなイメージかな。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) May 31, 2022
全員ではないけど、少なくとも自分は皆から愛されて使われる建物を作りたいという希望はあるけど、多分実際は、使う人にとってどうかという以前に自分がかっこいいと思うものを作りたいという欲望を持って
いると思います。もう、それは持ってしまっているものなので、どうしようもない気がしているので、なるべくその欲望と実際に使う人や発注した人の希望を叶えつつ、自分の欲望を達成する形で社会性を担保するしかないと思っています。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) May 31, 2022
多分その欲望はなかなか達成されないように思うけど、それが設計を
続ける理由になるかもしれない、自分の場合は。
— 高橋 真理奈 (@_tkhsmrn) May 31, 2022
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