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【雑記】リング

「貞子」で一世を風靡した「リング(鈴木光司著)」。

名前が「リング」なので、ボクシングやプロレスなどを連想してしまい、たいして期待もせずに読み始めたのだが、面白くて一気読みした。

特に「呪いのビデオ」というフレーズが、怪談大好きな自分にとって、すばらしく魅力的に思えた。
そのビデオを見たら死ぬ、という都市伝説のような話は、本当に興味をそそった。

映画化されたときも、「どうせ原作のほうが面白いんだろうな」と思って観たのだが、これも私の予想を簡単に覆した。
まず貞子が抜群に薄気味悪かった。井戸から出てくるとか、テレビから出てくるとか、映像だけで怖い。さらに呪いのビデオの映像がなんとも得体のしれない感じで、恐怖心をそそった。
原作を凌駕するほどの面白さではないかと思ったくらいだ。

映像化して、原作を凌ぐほどの面白さになるものは、本当に少ないと思う。
テレビドラマの場合は、特にひどい。
おそらく、脚本家が原作を忠実に再現しようとせずに自分のオリジナルを出そうとして、とてつもなくつまらなくなっているパターンがあるのではないかと想像している。
好きな小説が、テレビドラマ化されたのはいいものの、小説の面白いエッセンスが抜き取られ、脚本家が考えたチープなストーリーに置換され、眩暈がするほどつまらなかったドラマを思い出す。
あくまで主観であるが、「リング」の映画は、映像化の良さを十全に生かしたものだったと感じた。

当然リング、らせん、ループ、バースデイは全部読了し、それなりに楽しめたが、リングのインパクトにはかなわなかった。
やはり私は怖い話が相当好きなのだろう。

子どもの頃は、江戸川乱歩から始まり、横溝正史などはすべて読んだのではないかと思うほど好きだった。
「あなたの知らない世界」や「心霊写真コーナー」は必ず観たし、いまでは「本当にあった怖い話」、「世にも奇妙な物語」などは絶対に観るようにしている。怖い話や都市伝説の書籍も、見かければ必ず買っていた。
現在でもnoteで怪談を書いている方を見かけると必ずフォローして楽しませてもらっている。
あまりに怖い話を観まくる、読みまくるので、怖いと感じる感覚が摩耗したのか、よほどの話でないと怖くなくなったほどである。

ちなみに「リング」は、第10回(1990年)横溝正史ミステリ大賞(当時は横溝正史賞)の最終選考に残ったものの、受賞はせず、その年は「該当作なし」になっている。
当時の講評を読んでいないので、なぜリングが受賞しなかったのかはわからない。
おそらくだが、ミステリの賞なので、呪いが絡む話(リング)はミステリとして妥当ではない、という話になったのではないかと思う。

現在みこちゃん出版でKindle化を進めている「再起へのナインボール」は、第25回(2005年)横溝正史ミステリ大賞で最終選考に残ったものの、受賞しなかった作品である。
あの「リング」と同じ横溝正史賞最終選考ということで、ささやかな喜びを感じている。

そう言えば、私が小説や漫画などを「面白い!」と感じたときは、活字がどんどん脳に流れ込んでくるような感じになる。
目で文字を追う速度と、脳に入ってくる速度と、理解する速度が同じになって、ページをめくる手が止まらない感じ。

これと逆のバージョン、何度読み返しても、いっこうに頭の中に入ってこない小説もある。自分の場合、純文学の作品に多い。
世界的な賞をとった大先生の小説もそう。表現はほれぼれするくらい美しいのに、内容はなかなか入ってこない。

やはり小説というものは、好き好きなんだなあとつくづく思う。

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