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眠れない夜は哲学書を開こう
眠れない夜は哲学書を開こう
難しいことばかり書いてあるから
きっと眠くなるはず
さて、人生の楽しみを見失って、何をするにも理由が必要な男は
ついに眠るしかなかった
明日も続くひたすらのアルバイトのために男がするべきことは
眠ることか詩を書くことである
カーテンを開け街明かりと月明かりを交差させて、
男は詩を書けないためにもんどりうって、もう眠るしかなかった
それでも1時間前に飲んだはずの頓服も効くこともなく眠れない男は
ついに詩を書くしかなかったのだ
バイクの音がうるさい
近所の田んぼから聞こえる蛙の鳴き声がうるさい
今日のバイトでの後悔がうるさい
心が口を開いても詩に出来そうな情緒はとんとなかった
男は心地のよい風を遮ってまで窓を閉めカーテンを閉め、
目を開けているのも辛くなるほどの暗闇に座した
上下も奥行きもわからなくなって目がまわって来た頃に
詩しか書けない男は、せめて物語を夢想した。
眠るしかない夜、それでも眠れない夜は
言葉を重ねるのがいい
それが時間にもなるものならば、ほらいつか、朝になる
考えすぎるのも、皮肉に苦だよ。
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