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<読書感想日記>1.三宅香帆『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しか出てこない』 2/6読了
推しがいる。それだけで人生は素晴らしい。
そのことに気づいたのはほんの2年前くらい。
ライブのその日をずっと待って、会場に行く道中は「あの曲をやってくれるだろうか」「席の場所はどうだろう」「隣の人のクセが強くないといいな」など、ライブの妄想で頭がいっぱい。
ライブが始まれば時間が過ぎるのは一瞬で、大好きな曲を爆音で聴くという至福の空間の余韻に浸りながら帰路につく。
でも・・・さっきまでその空間にいて、確かに目の前にいたはずなのに、うまく思い出せない。
思い出そうとすると断片的には出てくるのだが、あんなに興奮していたのに、自分が感じたのはその程度だったのか?とがっかりしてしまうくらいに、粗い。
いや、正確には色んな思いが渋滞しすぎていて、整理できていないのだ。
興奮を形容できていない。つまり、自分の感情や思考を言語化できていないのである。
これはまずい。
そんなもんじゃない。自分が好きで、いつも自分を支えてくれている推しは、そんな薄い感想しか出てこないようなもんじゃない。
推しだけじゃなくて仕事においても思い当たる節があった。
メッセージのやり取りや資料を作成する際に、言葉が出てこないと感じることが増えてきた。
引き出しが枯渇してきている感覚だった。
そんな時に見つけた、今回の本。
以前から話題書のコーナーに置かれていたのは認識していたが、インプットとアウトプットを増やすと自分に課したことを思い出し、初めに読むテーマとしてもマッチしそうだったので購入。
「推しの素晴らしさを語る」をテーマに書かれているが、文章作成はもちろんのこと、ビジネスシーンの資料作成やプレゼンにも活用できるtipsがたくさんあった。
書きたいこと、書かないといけないことがあるときに、この本で書かれている手法を意識するだけで書きやすさは全く変わってくると思う。
書籍として完成させるために、これらの技術を著者自身が身をもって体現しているような印象も受けた。著者自身が、書いていることの最高の実験台とその証明になっている。
だからこそ説得力が違った。書きながら悩みながら「書き終えること」を目指して突き進んでいた様子が伝わった(勝手な想像だけど)。
平たく言えば文章作成についての内容だけど、とてもロジカルで、たくさんあるポイントを一つずつ丁寧に解いて並べてまとめられている。個人的に好きな脳(好きな脳って?)。
「このケーキがどれだけおいしいかを語るよりも、このケーキに夢中になっている人について語ったほうが、ケーキのおいしさが伝わっていく。」(文中より引用)
というのは、本当に激しい同意しかない。この一文に出会えただけでも、この本を読んでよかったと感じる。
言いたいことを客観視し、俯瞰で捉え、並べながらロジカルに組み立てていくという作業はとても好きだ。
と言いつつ、今のところは読んだことを全く活かせてない文章になってしまっているが、とりあえず読んだ感想を残しておくことをしたいと思い、これからも読書感想文を書いていく。
今年の年末、もうちょっといい文章が書けるようになってることを祈る。