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Why is the crow cawing

地獄の苦しみは、手に入れられなくて苦しむということがあります。
地獄の苦しみは、うめいたり、愚痴ったり、世の中を呪ったりできるのでしょう。
天上界の天人の苦しみは、もって行き場のない苦しみなのです。
自分がひたすら求めてきた、それが夢、幻であったと知らされた苦しみです。

             宮城顗


さっき、通を歩いていると、1mくらいの高さの塀の上にカラスが止まっていた。

こちらを気にするでもなく、何をするでもなく、ただ止まっていた。

別段、珍しいことでもないので、その横を通り抜けた瞬間、

「ゥワン、ゥワン」

と、カラスが吠えた。
吠えるというよりか、鳴いた。
犬が少し甘えるような、なでて欲しい、とか、かまってほしい、とか、こっちを向いて、というようなことを訴えてくるような、大きくもなく、強くもなく、はっきりとでもなく、絶妙な鳴き声。
どこか、微妙に掠れたような声。

「うまい!」

ついつい、振り替えて見つめてしまったが、カラスはどこ吹く風でそっぽを向きている。

え?もしかして、カラスでなくてホントの犬がいるの?
と、見回すが、いない。
それに声の方向は間違いなくカラスだった。

素晴らしいなコヤツは😆

なんだか、とてものんびりとした気分にさせてもらえた。

カラスって、いつからこんなに嫌われ者扱いされるようになったのだろう。

そりゃ、獰猛なところもあるし、頭もいいし、なにかと厄介なやつではあるが、もともと、「カラスなぜ鳴くの〜」とか、「カラスが鳴くから帰りましょ」とか、なんか夕暮れの田園風景の象徴のようなところがあったのだけどな。

東京ではあやつのせいでカラスは害獣のようにされてしまったのは間違いないよな。

石原慎太郎。

撲滅するとか言っていたしな。

確かにゴミは漁るし、散らかすし、色々問題はあるけれど、彼らも生きるために必死なんだよな。
それを、なんか気に入らないからって、やることが無いからって、撲滅はないだろ。

カラスだけじゃなかったよね。

綺麗な東京を目指すという大義名分のもと、外国人労働者、ホームレス、貧乏人を一掃するようなことをずっとしてきている。
そんで、海外の方々がみえて、「東京はキレイ!」と感動して帰ってもらうんだ!、って、なんかあさましい考えだな。

人間が汚いね、それじゃ、中身がね。

いまじゃ、国も同じことをしているし。

コロナで最初にやり玉に挙げたのが「パチンコ店」。
その次は、キャバクラやホストクラブといった飲食店。
ついには、22時までに店を閉めないと罰則を課す、とか言い出しているよね。

ヒデェ話だ。

人にはアレヤコレヤ言っておいて、保証はしない、政策も出さない。
それどころか働くのやめて、とっととお休み体制に入ろうってかんじだよね、国会閉じちゃって。

国が、自治体が、弱者を「汚れ」のように扱うから、国民も住民もここぞとばかりに弱者を探して叩いてウサを晴らそうとする。

ほんと汚れた国になったもんだ。

臭いものには蓋をしろ!政策は必ず自分に返ってくるよ。

みんな必ず、最後には弱者になるから。

ほら、衆議院の杉田って議員が言っていたじゃない、
「生産性」て。

人間を、命を生産性で測るようになったらもうおしまいだね。

AIやロボットに比べたら、もう殆どの人間は「生産性」では勝てないし。

てことはだ、特別に選ばれた人間以外は不要の長物っていうのがいまの日本社会の共通理解ってことだよ。

だって、彼らを選んで、それを許すどころか、一緒になって弱者づくりに協力しているんだし。

で、自分でいうと、間違いなく、20代、30代、40代の頃より生産性ってのは落ちている。
50過ぎたら、どうあがいたって生産性は確実に落ちるよ、テメェの中で。

誰でも遅かれ早かれ、「生産性」だの、「臭いものには蓋をしろ」だの、そんな価値観で測ったら、不要の長物、邪魔な年寄になる。

そんな状況に置かれたら
「オレは何をしていたんだろう。何のために生きてきたんだろう・・・。」となる。

それじゃあまりにも寂しいし、あまりにも愚かしい。

見栄えとか、都合とか、持ち物とか、必ず朽ちていくものを互いの最終的評価基準にするのではなく、あくまでもそこに在る、そこにいる人、物、事象の本質を見つめていくことを価値判断の基準とするんだとしないとね。

そうすることで、自分の判断がいかに不純でいい加減なものか、社会規範・社会常識てもんがいかに適当でその場しのぎでしかないかが見えてくる。

勝手に自分の妄想でユートピアを偽造しているだけでしか無いんだよね、今の日本の社会がしようとしていることは。

だから非常に薄っぺらな、浅ましい、優しさのかけらもない街が出来上がってきた。

それを、綺麗な街、美しい国、と言って喜んでいるのが私たちなんだな。

あ。あのカラスの声は、憐憫だったのかも、あまりにも愚かで哀れな人間への。
そんな社会を喜んでいるバカな人間を哀れんでいたのかも。
そんなふうに思えてきた。

ゥワン  ゥワン〜(TдT)

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