見出し画像

鈍感だからこその悪足掻き。

問題いっぱいの現実に在りながら、私は幸福で何も問題がないと考える。
その鈍感さが、実は他者をいよいよ不幸にしていく現実を生み出しているのです。

            尾畑文正


歳を取るに従いどんどん鈍感になって生きているのは感じる。

世情に関してもだし、思考もだし、肉体的にも、感受性も。

みんながみんなだかは知らない。
わたしがという話だ。

だから、取り残されるのが怖くて、後ろ指さされるのが許せなくて、おいてけぼりが寂しくて、そうはなってたまるかで、ひっしこいて虚勢を張って生きている。

なんだ。オレのやっていることはみんな、考えていることはみんな、色気でしかなく、人から必要とされたいというスケベ根性でしかなく、結局は世間に媚びているだけなんじゃないか。
そんなふうに感じて、たまにだが、ごくたまにだが情けなくなることもある。

でもみっともなくても、「あのジジィ、いい年こいて、必死さが滲み出ちゃって、ダッセ!」と、「ああは成りたくないよね。燃え尽きる前のロウソクだ、あれじゃ。惨めだねぇ」と、結局後ろ指さされたとしても、孤立したとしても、ま、なんも感じることなく、「僕は幸せなんだ」、と嘘を必死に言い聞かせながら生きるよりかはいいなと思っている。

鈍感になってくると同時に、自分の世界でしかものを考えられなくもなってくる。
そして、嘘とわかっていたことも、気がついたらその世界では嘘でなくなってくる。
マインドをコントロールしてしまう、自分自身で。

差別発言やヘイトスピーチ、歴史改竄や事実誤認、現実逃避で賑わせている政治家・元政治家や官僚や有識者と呼ばれる人やジャーナリストなんかの発言を見聞きしていると、コイツら完全に事実を事実としてみることができなくなってんな、と感じる。
鈍感だな、と。

自分も年をとってきて、年取るってのはそういうもんなんだな、と思い知らされだしているのだが、まだ、自分と違うものの見方、意見を見聞きすると、どちらが本当なんだろう?それともどちらもいい加減なんだろうか?と、なんとか己の思考に縛られないようにあがいている。
当然、瞬間はふざけるな!となるのだが、それも嫌っている人間が言うことなど特に、でも、だからこそ、確認したくなる。
自信がないから、自分が正しいことを必死に確認したくなるんだろう。
そして大抵の場合は、自分の価値観、考え方に嵌ってしまっている自分が見えてきて、どちらが正しいはどちらでも良くて、固まっている自分をヤバい!と感じることはできる。

で、年取ると、と言ってはいたが、最近、歳のせいばかりでなく嵌りまくり、思考停止状態としか思えないような人間が多く政治の場や報道の場を闊歩している同年代や若い世代の人間がいるのに驚く。

その人々は、どんなに間違いを指摘されてもわからない。
わかろうとしない。
目の前で指摘されると、ポカ〜ンとしているだけで、反応すらない。
解釈ができないようにしか思えない。

ある意味、自分に嵌って柔軟性がなくなった年寄よりは、メチャクチャな理論だが、相手の意見は全く聞こえてないが、質問の意味の解釈ができなくなり全く関係ないことを答えているが、自分の過去の言動を忘れてしまって頑なに「そんなことはしてない、言ってない」と叫んでいるが、なんとか抗おうと、存在を否定させるかと(誰も否定しようとはしてないのだけどね)必死さが見える。
ところが、まだそこまでの歳ではないだろと思えるような人間(わたしらの世代くらいかな)やそれより若い世代の人間は、自分の思考を上回る意見や質問や事実を突きつけられると、思考が停止し、表情がなくなり、なんともいえない目の死んだ笑みを浮かべたりしている。
正気がないって言葉が当てはまるような。

あれをみると、ああはならねぇぞ!と思わせてはもらっている。

ああいうのを政治の場や報道の場に出しちゃだめだろ、と思うのだが、ある意味ではお陰でもの考えなくなる怖さを見せてもらえているのかもしれない。
対話ができない、ひとの話が聞くことができない、学ぶことを拒絶することの哀れさを、あの方々からは感じさせてもらっている。

ちなみに、そうした方々は「知識」というものは貪欲に取り入れてらっしゃるので、その点は大したもんだな物知りさんで、と思うこともあるが、1+1=2でしかない人たちなので、大きな1と小さな1の場合はどうなりますか?、と問われるとフリーズされるようだ。

で、必死に書いていて、書けば書くほど、鈍感になってきている自分を突きつけられている。

どこらあたりで?と問われても、それすらわからない。

なんか、ビシッとしねぇなぁ〜。

そんな感じ。

ま、今まで生きてきて、敏感であったことは無かった気もするけど、そんな自分でもまだまだ鈍感になれちゃうんだなぁ。

もう少し悪足掻きを続けて生きていこうと思う。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集