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AI設計DNAスイッチで遺伝子のオンオフ自由自在!新技術が医療とバイオテクノロジーに革命を ジャクソン研究所他の共同研究チーム

近年、遺伝子治療やバイオテクノロジーの分野で画期的な進展が見られますが、特定の細胞や組織で遺伝子の発現をコントロールすることは依然として大きな課題でした。しかし、2024年10月に発表された研究が、その状況を一変させるかもしれません。
ジャクソン研究所、MIT・ハーバード大学のブロード研究所、そしてイェール大学の共同研究チームは、AIを活用して新しいDNAスイッチを設計し、特定の細胞でのみ遺伝子を制御できる技術を開発しました。この「DNAスイッチ」、正式には「CRE(シス調節エレメント)」と呼ばれる要素は、特定の細胞型にのみ遺伝子を活性化するだけでなく、他の細胞型では遺伝子を抑制する能力も持っています。これにより、例えば肝臓で遺伝子を活性化させる一方で、脳や血液ではその遺伝子をオフにすることが可能です。

この技術の核心は、AIによる設計プロセスです。研究チームはまず、膨大なDNA配列データを基にAIモデルを構築し、CREがどのように働くかを予測できるシステムを開発しました。このAIモデルは、脳、肝臓、血液の3つの細胞タイプでのCRE活性を測定し、遺伝子の発現パターンを予測するものです。このモデルにより、AIは数千の新しいDNAスイッチをデザインし、それぞれのスイッチがどの細胞で働くか、またその強度も調整できるようになりました。

自然に存在するCREは、その機能が進化によって制約されているため、今回のAIが設計したCREは自然界では見られないほど特異性が高いものでした。驚くことに、AIによって設計されたCREは、実験で自然に存在するCREよりも精度が高いことが確認されました。AIが作り出したDNAスイッチは、特定の細胞において遺伝子を非常に高い精度でオンにすることができ、他の細胞には影響を与えませんでした。

この技術は、基礎研究のみならず、遺伝子治療やバイオ医療の分野においても大きな応用可能性を秘めています。特定の細胞でのみ遺伝子を制御できるようになることで、治療の精度が飛躍的に向上し、副作用のリスクも低減することが期待されます。例えば、特定の病気に関連する細胞だけに作用する遺伝子治療が可能になり、全身への影響を最小限に抑えることができます。また、バイオマニュファクチャリング分野においても、特定の遺伝子を活性化して必要なタンパク質を効率的に生成するための新たな方法として、この技術が活用されることが考えられます。

さらに、この技術は動物実験でも成功を収めています。例えば、ゼブラフィッシュの実験では、AIが設計したCREを使って、肝臓の細胞だけに蛍光タンパク質を発現させることができました。他の部位には影響がなく、遺伝子がどこでどのように働いているかをリアルタイムで観察することができました。

この研究により、遺伝子発現を「スイッチ」のようにオンオフできる時代が現実のものとなりつつあります。将来的には、特定の細胞や組織でのみ遺伝子治療を行うことができるようになり、病気の治療に新たな道が開けることでしょう。

詳細内容は、ジャクソン研究所が提供する元記事を参照してください。

【引用元】

【読み上げ】
VOICEVOX 四国めたん/No.7

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