平等にマネジメントしない
最近、自分がマネジメントさせてもらっているチームのメンバーが少しずつ増えてきています。
非常に嬉しいことなのだが、チームをスケールさせる上でマネージャーの数がボトルネックになりそうだなぁという危機感が徐々に高まっています。
マネージャーは勝手に増えないし、そんなに都合よく採用が成功することもないため、マネージャーの役割を今のメンバーに担ってもらいたいと思っています。
一方で、役割だけ丸投げされても厳しい(という経験を自分がした)ので、そのチームでマネージャーを経験した人間の知見も一緒に共有すべきと感じています。
その為の頭の整理として、自分がもっているマネジメントの知見を言語化してみようと思いました。
このnoteではマネジメントの平等性について考えていることを書いてみます。
マネジメントは不平等になる
いわゆるヒューマンマネジメントにおいて、マネージャーはチームのメンバー個人と向き合い、その人の性質に寄り添ったマネジメントをするべきだと思います。
自分のチームに数年間在籍してくれているシニアなメンバーと、今月入社した学生アルバイトでは、同じ職種だったとしても知識や信頼関係の厚みが違うため、適切なコミュニケーションの量と質は大きく変わるはずです。
さらには近い立場のメンバーであっても、メンバーによって持っている強みや成長を期待する能力はそれぞれ違います。
そのため、タスクのアサインも上述のような条件を考慮して行う必要があります。
故に、マネジメントとは(少なくともコミュニケーション量とアサインを)不平等にすべきであるし、それが外形的にはえこひいきのように感じる(見られる)可能性があるものだと理解する必要があります。
平等なマネジメントでの失敗
自分のマネジメント経験における最大の失敗は、前述の内容を理解しておらず平等にマネジメントしようとした事だと思っています。
特にエンジニアリングマネージャーを任された直後は、逆に平等に接しなければ行けないのでは?という思考に囚われていました。(これは今振り返るとえこひいきしているように見られたくない気持ちによる自己防衛から来た行動だった気がします)
個々のメンバーの1on1の頻度や時間は一律とし、話す内容も同質化していましたし、タスクのアサインもメンバーの能力と難易度を考慮しない状態になっていました。
この中途半端なマネジメントをした結果として、もっと時間をとってほしいと思う人に対しては時間をかけられず、もっと任せてほしいと感じる人には任せきれないという状態になり、一部のメンバーには不安が募ったり不満が溜まっていました。
特にチームに馴染みきれていないメンバーに対するフォローが足りず、それ結果としてメンバーの退職に繋がってしまった面もありました。
不平等なマネジメントを正当化する
そういった経験を経て、不平等な(その人に合わせた)マネジメントをしていこうと心に決めました。
しかしながら、自分の中でのえこひいきしている感がぬぐえず、やり辛さを感じてました。
そんな自分のマインドを変えるキッカケになったのが妻に教えてもらった SL理論(Situational Leadership Theory)でした。
わかりやすくまとまっているのが以下の図になります。
自分は一時期この図をスマホの待ち受けにしていました。笑
SL理論は、メンバーの発達度とリーダーシップ(マネジメント)のスタイルを4段階に分割し、メンバーの発達度に合わせてマネージャーも行動を変えるべきという理論です。
S1、つまり発達度が低いメンバーに対しては指示的行動を厚くすることで結果としてそのメンバーにかける時間は増えます。
一方でS4、発達度が高いメンバーに対しては指示的行動も援助的行動も少なめですが、代わりに権限を渡す事で自律的に動いてもらえるようになります。
言われてみれば当然のように感じるのですが、明文化されたこの理論が裏付けとなり自分の中のもやもやは解消されました。
実際にメンバーをこの4段階にマッピングした上で自身のマネジメント行動を振り返ると「この人にはもっと指示的行動を増やしたほうが良いかも」や「この人は権限を与えて関与する時間を減らそう」などと具体的なアクションにつながります。
また自分のマネジメントスタイルを変えていくのと同時に「マネジメントのスタイルをメンバーと1on1ですり合わせる」ということも行い、メンバーから見ても「自分の性質に合わせたマネジメント」が行われると感じられるように努めていました。
このスタイルの変更によってメンバーが働きやすくなったかどうかは正直わかりませんが、自分の中での気持ちの整理がついたことでメンバーの性質に合わせて行動する際の選択肢が増えました。
結果、自身が受け入れられるメンバーのタイプが増えたように感じています。
まとめ
メンバーに対して平等にマネジメントをしないようにする、SL理論を元にメンバーの発達度に合わせたマネジメントをしよう、という話でした。