奈倉有里さんのエッセイ「人生の鞄、ツルゲーネフ」日本経済新聞夕刊2023.10.25
奈倉有里さんが日本経済新聞の水曜夕刊プロムナードで連載中のエッセイを楽しみに読んでます。
2023.10.25は「人生の鞄、ツルゲーネフ」
〈俺はいま鞄の隙間に干草を詰めてるだろ。人生の鞄も同じで、人は隙間を埋めるために、なんでも詰め込むのさ〉
イワン・ツルゲーネフ「父と子」
日本人として初めて、ロシア国立ゴーリキー文学大学を卒業し、ロシア文学者となった奈倉さんはこのエッセイで文学作品中の印象に残る言葉を冒頭に配し、解説が展開されます。
社会情勢としては「ロシア」という言葉はあまりいいイメージではありませんが、お笑いコンビCOWCOWさんのネタのように「それとこれとは別〜!」で話を進めます。
「スメルジャコフ」や「ラスコーリニコフ」は聞いたことがあっても「バザーロフ」か・・・聞いたことなかったなぁ!と思いながら読み進めると・・・
「人生の鞄の隙間に詰め込んだもののために、そんなに苦しまなくたっていいんだよ」
と性に合わないものを手放せすことができない現実に対して、少しホッとさせてくれる奈倉さんの上記の言葉で締めくくられます。
読者への声かけのようであり、自らにも声をかけているような感じの内容でした。