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ep01-2/「コンテクストデザイン」(Takram渡邉康太郎さん)の全文テキスト化/Podcast「アワノトモキの読書の時間」

2021年6月からホシノさんと配信をしている、
Podcast「アワノトモキの読書の時間」 Work Teller
現在、全放送(約120回分)を少しずつテキスト化しております。


ep01-01~03「コンテクストデザイン」(Takram渡邉康太郎さん)

ep01で取り扱わせていただいた第1冊目は、
渡邉康太郎さんの「コンテクストデザイン」。

前回の(p01-1に続き、ep01-02のテキストです。
よろしければご一読ください
(こんな長い対話、読む人は稀かと思いますが。。。)
※Podcastはコチラから↓

出会い直して思うこと(既知の未知化)

「弱い文脈」を呼び起こす、「既知の未知化」
それは、「当たり前」「常識」と捉えていること(世の中の強い文脈)を、
揺さぶることによって、起こるのではないか。

桜を例に。
自分を含め、多くの人にとって、桜=春に咲く綺麗な木・花であり、
学校の卒業や入学、花見、酒盛り、などなどの
イメージを想起させるものではないでしょうか(強い文脈、既知)。

しかし、桜に関するとある説を知る(既知の未知化)と、
それぞれの人に新鮮な気づきがあったり、
各々の脳裏や胸の中に、桜にまつわる新たな思いが湧いてきたり、
何か新しいことが起こるのではないでしょうか。
(様々な弱い文脈が呼び起こされる)

・「さ」=山の神様
・「くら」=山と里の中間で、神様が小休止される場所(座・鞍)
・桜が咲く=山の神様「さ」が降りてる途中で、「くら」でお休みされている
・早苗(さなえ)=神様「さ」を宿した稲穂
・皐月(さつき・5月)=田植えの季節。神様「さ」がおわす頃合い

もしかしたら、物知りの方にとっては、
「こんなのずっと前から知っているよ」という知識かもしれませんが、
私個人としては初めて知ったことだったので、
「思わず、誰かと共有したい!」と思いが沸き起こりました。

実際に、Podcast収録時に星野さんに(得意げに)話をし、
そこから星野さんが刺激を受け、別のアイディア出しや話に展開していく。

もし、強い文脈的な、
ごく一般的な「花見をする桜」の話題を持ち込んだならば、
花見や桜に関するどこかで聞いたような思い出話や
当たり障りのない世間話、に終始しただけのような気がします。

これはあくまで一例ですし、
正直なところ、「弱い文脈とはなんぞや?」と質問されると
上手に答えきることができない気もしますが、
このPodcastを聴いた方や、この文章を読んだ方が、
「なんとなくでも気になるな、面白そう」と
感じていただければ幸いです。

【全文】ep01-2/「コンテクストデザイン」(Takram渡邉康太郎さん)

配信:2021年7月6日 ・ 11分 4秒

アワノ
こんにちは。「アワノトモキの読書の時間」、第2回目です。
この読書の時間では、売れ筋の本ではなくて、
ちょっとニッチで私が心に残った本を10分で紹介していく番組です。


前回(1話目)は渡邉康太郎さんの著書、
コンテクストデザイン」の概要について説明をさせていただきました。

ホシノ
はい、1回目はどういった内容だったか、
改めて簡単に振り返っていただけますか?


アワノ
「コンテクストデザインとは?」という話だったんですけども、
コンテクストデザインをざっくり説明すると、
強い文脈と弱い文脈をうまくこう噛み合わせ、
作り手側の声だけはなく、受け手の声も合わせたデザインですね。

受け手の声も含めた ものづくりをしていく、
そんなあり方だというご説明と、
あとコンテクストデザインを使った1冊だけの本屋さんの話とか、
時間を測らない砂時計の話、
そんな具体事例を交えて説明をさせていただきました。


ホシノ
なるほどね。そうでした。ありがとうございます。

さて、それ踏まえて、2回目はちょっと突っ込んだ話なんかができたら面白いですね。


アワノ
そうですね。前回は本の概要だったので、今度は私の経験とか思いと、
この本と私の接点・接続点というものを、
少し星野さんと語りながら 深めていきたいなと思ってます。


ホシノ
はい、よろしくお願いします。

では、粟野さん、
早速ですが、実際に弱い文脈に注目を集めるためには
どんな方法があるんでしょうか。
何か具体的な方法は思いつきますか。


アワノ
弱い文脈をよりたくさん出すというか、色んな考えとかアイデア出す とか、
みんなが語りたくなるようにするには、

すでにみんなが
「もう知ってるよ」、「そんなの当たり前だよ」
って思ってることを実は知らなかったという「既知の未知化」、
すでに知ってることを未知にする。

それが1つの大事な方法というふうに、
このコンテクストデザインで言われてるんですよね。


ホシノ
既知の未知化」!
すごいですね。なんかね。


アワノ
ええ、そうすると、やっぱり気づきとか衝撃があって、
ついみんな語りたくなる。

で、今まさにそれ(既知の未知化)は僕の状態なんですけど、
ちょっと本の文章を引用しながら話しますね。

「桜」、皆さんがご存知の、春に咲く綺麗な桜がありますが、
文化人類学者の竹村真一さんという方の話を紹介させていただくと、
また見え方が変わってくると思うんです。

桜の「さ」というのは、山の神様のこと。
で、その山の神様が春になると、山から下りてきて、
田の神に転じて、穀物の神様として稲穂に宿る。

その「さ」という山の神様が、山から降りてくる様が
「さおり」ですね、「さ」を見る。
そして、その季節が皐月(さつき・5月)、
さ(神)を宿した稲穂が早苗(さなえ)。


山の神(さ)が山から降りてきて、
田に行って稲穂に宿る。
その「さ」の神が山から下りてくる途中で、
山と里の間、中間地域でちょっと一休みする場所、
座る場所(座=鞍・くら)を「さくら」と呼んだと。



ホシノ
うんうんうん、


アワノ
山にこう、桜が咲くじゃないですか、綺麗に。
それって「山から神様が里に降りてきて、途中で休んでますよ」と。
で、それが終わったら
(神様が田に降りてこられる)5月前後の田植えの時期が来るという、
そういう流れだという話があるんですよ。

これはまさに「既知の未知化」で、
僕は「桜」というと、普通に綺麗な桜の花や
花見くらいしか思い浮かばなかったんですね。
けれど、「山の神」の話を読んで、
ついちょっとこう、語りたくなっちゃったっていう。


ホシノ
うん、ちょっとなるよね、


アワノ
「なるほど!そうなんだ!」と。
別にこの説が「桜」を説明する全てではと思うんですけど、
そういう説もある。


ホシノ
いろんな地域に色んな伝わりがあると思いますけど、面白い。


アワノ
だから、例えば僕が仕事の領域としてやっている「採用」とかで言うと、
多くの人が知っている「トヨタ自動車って会社がありますよね」と言われた時に、
実はその成り立ちって、「既知」ではない形で語られるかもしれない。


ホシノ
ね。


アワノ
いろんなストーリーとかを知ると、
既存の「トヨタ自動車」に対する見方が変わるかもしれなくて。

例えばですけど 、「あの社長やだな」って思ってたかもしれないですけど、
実は社長の創業の思いとか、「もう既に知ってるよ、社長のこと」
と思ってたら、実は知らない別の思いがあったとか、
隠された本心を知ることができたとか。


既知の未知化」が起こって、
「あの社長って、会社って、こんな思いがあってやってんだ」とか
そういうのが起こると面白いなっていうのは、
採用の仕事やってると感じます。求人広告とかもそうですね。


ホシノ
例えばね、いやー思います、思います。うん。

で、さらに言ったら、その「既知の未知化」によって生まれてくる会話。


アワノ
うんうんうんうんうん。


ホシノ
それがさっき言った「弱い文脈」ってことなんだろうね。


アワノ
そうですね。まさに、まさに。


ホシノ
うん。で、なんかここら辺、コピーライティングとはまた違うけど、
そのブランディングメッセージの話で言うと、
ストーリーというものがあった時代だったと。これまでね。


ただし、最近はストーリーではないって話があるんです。


アワノ
そうなんすか。ストーリーではない?


ホシノ
これが「ナラティブ」にいくって話があって。


アワノ
相互のやり取りってことですか?


ホシノ
そうそうそうそう。
なので、ストーリーという一方通行のものに対して、
会話が起きる「ナラティブ」になる。


アワノ
なるほど。


ホシノ
うん。だからこれも弱い文脈的に、
より受け取り手側のストーリーになればいいんじゃないかなって
話なんだろうなと思ってたんだけど。


アワノ
さすがですね。そんな感じがしますね。
読み取り方が素晴らしいですね。

いや、でもそうです。本当にそういう風に解釈していただいて。
なるほど、そうですよね。


ホシノ
そういうことだよね。多分ね。うんうん


アワノ
うん。そうだと思います。うん。ナラティブ。なるほど。


ホシノ
なんか言葉としてはあんまりしっくりこないんだけどね。
「ナラティブなんか(かっこつけて)言ってんじゃねえよ」って思わない?


アワノ
いや、それもなんとなくわかるんですよ。

星野さんも経営者だし、僕も個人事業主なんで、
従業員からナラティブとかそんなこと色々言われたら、
本音は困るよ っていう向きもあると思うんですよ。

ネガティブな意味合いじゃなくても、
「経営者が言ったことやれよ」みたいな(気持ちもあるじゃないですか、正直)。
「ストーリー」だったら、経営者は「会社をこういう風にしていきたいから、こういう思いで作ってます。
だから、この通り、これを信じてやってくれ」って、
なると思うんですけど。
ただ、いろいろな会社の結果を見てると、
それだとみんな(従業員は)やめてるんですよ。


ホシノ
うん。


アワノ
社員、従業員がやる気なくなっていく。


ホシノ
いや、100パーセントの共感なんて難しいよね。


アワノ
それはないですね。うん。
だから、この「コンテクストデザイン」の中でも
美しい同床異夢」という言葉が使われてるんですよ。


「美しい同床異夢」。
同じところにいるけれど、違う夢を見てる。
でも別にそれ悪いことじゃなくて当たり前だよねと。

うん。そこで対話があれば、
さっきのネガティブじゃない、
違う夢を見てると双方わかりつつ、そこで一緒に頑張れるところを頑張る。


ホシノ
そうだよね。要は、自分なりの解釈をしてもらってから
話してもらうってことだよね。
受け取り手側にも積極的に受け取りに来いって話だね。


アワノ
そうですね。そうですね。


ホシノ
うん。わかりやすく、例えばテレビとかさ、 パチンコ。

パチンコが近いかどうかわかんないけれども、
自動的にコンテンツを消費できることが最近多くなってきた。


アワノ
はいはい。


ホシノ
なので、受け取る時のパワーってあんま言わないんだよね。
なので、わかりやすいコンテンツがもてはやされたみたいな時に、
そこのアンチとして今生まれてきてるのが、
こういう積極的な解釈論になってくるのかな。


アワノ
なるほどなるほど、


ホシノ
言うよね。
「テレビじゃなくて、本を読め」みたいな話。
スマホになっちゃって、もう最低限の努力しかしない。
解釈しないといけないメッセージを読み飛ばしちゃうっていう。


アワノ
うんうんうん、そうですね。


ホシノ
でも、本当は何かしら意味があるはずで、
自分にとっての意味をつけたいって思えるぐらいの
エネルギーを感じたものの、デザインか何かだと思うんだけど。
それをデザインでポンって提示してあげて、
手をこう挙げてもらって、で、挑ませるみたいな。


アワノ
そうですよね。


ホシノ
そういうコンテンツってことかな。うん


アワノ
うん、そういうイメージだと思います。うん。


ホシノ
いや、面白いね。


アワノ
さっき仰った、テレビの発信とかスマホのコンテンツって、
確かに学びがあったり、「わかった!」と思ったりするんですけど、
それで終わっちゃうと思うんですよ。
「納得、以上終了」みたいな。

例えば、池上彰さんがテレビで国際情勢をこう説明しました。
わかりやすい。なるほどと。
そこで終わっちゃうじゃないですか。

そうじゃなくて、「なんだか、わかったけどわからない」とか、
「知ってると思ってたけど、実は知らなかった」ことに気づくとか。
そこの塩梅が大事なんでしょうね、きっと。


ホシノ
とても面白い話ですね。
さて、粟野さん、じゃあこれを我々にわかりやすく噛み砕いて、
メッセージとして届けてください。


アワノ
僕の中で精一杯噛み砕いて説明してきたんですけど・・・笑


ホシノ
冗談失礼しました(笑)


アワノ
いえいえいえいえ。
ちょっと僕のあれですね、プレゼン力がちょっと及ばずに・・・
でも、星野さんに色々ね、こう指摘していただいて、
まず、これもあれですよね。コンテクストトデザインなのか、
アート思考なのか、ちょっとわからないですけど、面白い。


ホシノ
同じことを言ってるんだろうと思うし、
多分これが時代の持ってる課題なんだろうなとも思うよね。
うん、そうですね。思わぬ熱中度ですよ、僕が今。


アワノ
ありがとうございます。
いや、僕も面白いんですよ。
というか、こういった対話をいろんな人と話できたら結構面白くないですか?


ホシノ
いいですよね、うん。
いい番組です。


アワノ
ありがとうございます。

いや、とにかくありがとうございます。

やっぱり色々と問いかけいただくことによって、
僕も思考が 、いろいろ思い出すことや気づきがあって、勉強になりました。


ホシノ
ありがとうございます。
そしたら、このあたりまでが第2回ということで。


アワノ
ありがとうございます。


ホシノ
それじゃあ、今回もどうもありがとうございます。


アワノ
ありがとうございました。また次回もお願いします。

Podcast「アワノトモキの読書の時間」 Work Teller
ep01-2/「コンテクストデザイン」(Takram渡邉康太郎さん)
は、以上でおしまいです。

ありがとうございました。


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