ep02-1/「未来をつくる言葉」(ドミニク・チェンさん)の全文テキスト化/Podcast「アワノトモキの読書の時間」
2021年6月からホシノさんと配信をしている、
Podcast「アワノトモキの読書の時間」 Work Teller
現在、全放送(約120回分)を少しずつテキスト化しております。
今回はep02-1(2冊目の1話目)
ep02(1~3)「未来をつくる言葉」(ドミニク・チェンさん)
ep02(1~3)で取り扱わせていただいた2冊目は、
ドミニク・チェンさんの「未来をつくる言葉 分かりあえなさをつなぐために」(当時は単行本。今は文庫本も出ています)
「既知の未知化」ではないですが、
「コミュニケーション」という言葉・行為に対する気付きがあるかもしれません。
ep02-1、よろしければご一読ください。
※Podcastはコチラから↓
出会い直して思うこと(コミュニケーションは、人と人がわかり合うためのものではない)
読んだ当時は衝撃を受け、
Podcast収録時は大興奮して何度もくどいくらいに話したのに、
3年の月日が経過すると、すっかり頭から抜けてしまい・・・
今回、読み直し・聴き直して、
「おー!!」とまるで初見のときのように感動。
自分の記憶力や感性が鈍いせいからか、
1冊の本で何回も感動できるのは、喜ばしいことなのか、どうなのか。
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さて、出会い直しとして最も印象深かったのは、
「コミュニケーションは、人と人がわかり合うためのものではない」
ということ。
一般的には、コミュニケーションは理解し合うためのものと、
学校から習うと思いますが、そうではないと。
どこまで行っても人と人は究極的にわかり合うことができない。
両者の間には、違い、空白、溝がある。
しかし、その隙間を「埋めなくちゃいけないもの」とするのではなく、
「隙間=わかりあえなさがあるからこそ、新しい意味を生じさせられる」
という捉え方です。
そして、そのためのヒントとして、2つのことが紹介されます。
1つは、「共話(キョウワ)」
誰かと一緒に、未完成な言葉を紡いで、何か1つの話を作っていく会話の方法。
「対話(ダイアローグ)」との比較として、
・対話:論理的、話し相手との差異を強調、ターンテイクしてゴールに向けて積み重ねる
・共話:感性的、未完成な言葉を話し相手と混ざり合いながら紡いでいく
2つ目は、「共存感覚」
物理的、時間的、立場的などの違いがあっても、思いを馳せ、「共に在る」感覚を持つ。
著者のドミニク・チェンさんの作品「タイプトレース」を例に。
・一般的な手紙:
誤字脱字なく、論理構成を考え、遂行して、綺麗な文章を書く。
・タイプトレース:
誤字脱字、訂正・書き直し、感情の昂り、柿淀み、がそのまま表現される。
ホシノさんからは、ep01「コンテクストデザイン(渡邉康太郎さん)」で語られた「弱い文脈」との共通性もコメントいただきました。
詳しくは、書籍や以下テキスト、Podcast「アワノトモキの読書の時間」 Work Tellerにて。
【全文】ep02-1「未来をつくる言葉」(ドミニク・チェンさん)
配信:2021年7月25日 21分13秒
アワノ
こんにちは。アワノトモキの読書の時間です。
この番組では、働く人と組織の関係性の見直しをテーマに、
私が独自の視点で選んだ本を1冊につき、3部構成でご紹介していきます。
取り上げる本は売れ筋の本ではありません。
皆さんがご存じのない、少しニッチなものが多くなると思います。
20年以上、人・組織の関係性を見つめてきた私の観点から、
今の時代に必要だと思うものだけをご紹介していきます。
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1.ドミニク・チェンさんと書籍「未来をつくる言葉 分かりあえなさをつなぐために」について
はい、じゃあ今回ご紹介していく本は、
ドミニク・チェンさんという方が書いた本です。
書籍名は
「未来をつくる言葉 分かりあえなさをつなぐために」
という、そんな本です(単行本)。
アワノ
では、簡単に、ドミニク・チェンさんという著者の方についてご紹介すると、
1981年生まれ、現在は早稲田大学大学院で教授をされている方です。
専門は、テクノロジーと人間の関係性。
我々と同年代、ほぼそんなに変わらない年代ですかね。
で、 お母様が日本人の方で、お父さんが台湾とベトナムのハーフの方ということで、
日本とフランスとアメリカで教育を受け、3ヶ国語を使えるという、
そんな、ちょっと独特な生い立ちというか、経験をされてる方ですね。
多分ご存知ないですよね?ホシノさん。
ドミニク・チェンさんと聞いてもわからないですよね?
ホシノ
いやー、どこかで聞いたことがあるような気がしないでもない、
ぐらいの感じですね。
アワノ
すごいですね!僕は最近になって初めて 知った方でした。
ところが、実はNHKの番組でも2015年ぐらいに、
ニュース番組に出てるような著名な方みたいです。
(我々が無知なだけで)すごく見識のある方のようですね。
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2.コミュニケーションは、人と人が分かり合うためのものではない?
アワノ
では、この本についてご紹介をしていきたいと思います。
自分のこの本読んで「すごくいいな」とまず印象に残ったのは、
「コミュニケーションの新しい捉え方」を
教えてくれた本だと僕は捉えてます。
具体的に書いてる内容で申し上げると、
「コミュニケーションは、人と人が分かり合うためのものじゃない」
って言い切られてるんですよ。
で、人と人は、どんなに突き詰めていっても分かり合えない。
けれども、 何かしら「共にある感覚」を持つことで、
その分かり合えないなっていう、空白の部分というか隙間の部分を、
そこを埋めるべき溝とか隙間じゃなくて、
人と人とか、人と組織の間に新しい意味を 生じさせる大事な余白になるっていう、
そんな言葉を書かれていて、その箇所がすごく印象に残りました。
ホシノ
ちょっとなんだか、難しい話ですねー
アワノ
そうですね。最初はあれ?ってなりますよね。
僕もこれってなんだろう?と思ったんですけど、
やはりコミュニケーションというものは、
一般的には 分かり合うためのものという意味合いで使うと思うんです、多くの場合。
ホシノ
はい、そうですよね。伝え合う、分かり合うとか。
アワノ
その一般的な意味合いで用いる際の裏側には、
「お互い分かり合えるはずだ」とか、
「もしかしたら相手のことを理解すべき」とか、
もしくは「相手に自分のことを分からせるべき」、
あるいは、「誰にでも伝えられる何かわかりやすいものがある」という、
そういう考え方がこう潜んでるように思うんです。
僕自身がそう思っている部分があったんですけども、
ただ一方で、現実的に日常生活の中で、
家庭でもそうだと思いますし、ビジネスでも、国と国の政治も、
宗教とか見ていても、いくらこう言葉のやり取りをして交渉しても、
なかなか分かり合えていないという現状がある。
だからこそ、互いが分かり合えないってことを大前提にし、
そして、その分かり合えなさっていうのを、
埋めなきゃいけない、なくさなきゃいけないものと捉えるのではなくて、、
「それは存在してますよ」「無くすことはできませんよ」と。
そこをスタート地点に、新しい関係性とか気づき、
アイデアとか 発見というのを作り出していく、
そんなスタート地点にできたとしたら、
それは結構面白い 発想なんじゃないかなっていう話で、
僕はこう、ちょっと衝撃を受けるというか、
ハッとしました。
ホシノ
わかり合えないところからスタートだっていうとこですね。
アワノ
そうですね。人と人が分かり合えないからこそ、
何か 新しいものが生まれる余地があるんじゃないかってことです。
もし分かり合えるんだったら、もうそれで以上終了でいいんじゃないか、
という感じですかね。
ホシノ
面白い出だしですね。
アワノ
面白いです。
なんだか、コミュニケーションっていうそのものへの捉え方を
すごく変えてくれる言葉でしたね。
ここまでの言葉だけを聞くと、
「著者の方の主張ってすごく尖っている」と感じるかもしれませんが、
ドミニック・チェンさんの推測するお人柄は、
すごく静的というか、 優しいトーンで話されてますし、
基本的に対立を煽るとかじゃなくて、その全体通して優しさとか、
温かさみたいなの持ってる方だろうな、と僕は読みながら感じています。
「コミュニケーションとは分かり合えるためのものじゃない」っていう
言葉にすごくドキッとしましたね。
まず、これが1つですかね。
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3.「共話」と「共存感覚」というコミュニケーションのあり方
アワノ
この本で2つお伝えできればという内容の1つは、
今のコミュニケーションとはなんぞやということで、
もう1つは、2つ目はそのコミュニケーションのあり方に関してです。
「コミュニケーションは、わかりあうためのものじゃない」と置きました。
とはいえ、じゃあなんで人と人はコミュニケーションとるの?といった疑問も
湧いてくると思います。
そこで、コミュニケーションのあり方を考える、切り口はなんだろう?と。
そのコミュニケーションのあり方を考える切り口として、
2つの概念が提示されてます。
1つが「共話」。「共に 話す」という共話ですね。
もう1つは、「共存感覚」 。共に在る・存在するという感覚。
この2つの新しい概念について、具体的にいくつか事例で説明されていて、
このコミュニケーションのあり方というものが、
先ほど申し上げたような分かり合えなさを
新しい価値に転換していく あり方なんじゃないかという、
そんな話を展開されてます。
ホシノ
なるほど、何かを伝えるってわけじゃないんですね。
アワノ
そうですね、伝えるというか、すごく簡単に言うと、
一緒に在る、一緒に会話を作っていく、
その空間 とか場所、もしくは、時には過去、現在、未来を超えて、
誰か亡くなった人も含めて、一緒に在る感覚・一緒にいる感覚っていうのが、
その新しいコミュニケーションの捉え方に繋がってるんじゃないかと。
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4.「共話」について詳しく
アワノ:
ちなみに「共話」も「共存感覚」という言葉も新しいというか、
多分造語だと思います。
ホシノ
そうですね、聞いたことない言葉です。
アワノ
なので、少しその「共話」から少しご説明すると、
これは誰かと一緒に何か1つの話を作っていく会話の方法かなと思うんです。
で、比較して出されてるのが、よく対話っていうじゃないですか?対話。
対話と「共話」が比較で説明されていて。
ホシノ
面白いですね。
アワノ
例えば、この本の中の事例で説明すると、
対話というのは、AさんとBさんがいたとして、
Aさんが話して、その次Bさんが話して・・・
こう順番に、ターンテイクしながら話していく。
で、話を積み重ねていく。
ホシノ:
うん
アワノ
この対話というものは、ある意味、論理的で、差異を強調する、
違いを強調する話し方である、という風に本書では書かれてます。
一方で、「共話」というのは、未完成な言葉をAさんが話して、
Bさんがまだ未完成な話をして、 未完成な言葉・話を重ねていくことによって、
1つの話を作っていくっていうものみたいです。
と言っても、なかなかわかりづらいと思うので具体的に説明すると、
ある言語学者の方の話で、
外国人留学生の人が日本語ネイティブになっていく 上で大事なことがあるそうです。
「今日は」という言葉がよく会話で使われると思うんですけど、
例えば「今日の天気さー」とAさんが言うじゃないですか。
で、「今日の天気さー」で止める。
それに対して相手のBさんが
「そうだね、今日は曇りだね、なんかジメジメしてるね」
みたいに、 言い切らずに話が続いていくっていう、この感じが共話。
ホシノ
うん、うん
アワノ
こういった事例があったり、
他には最近だとよく語尾を、
「〇〇とか」や「〇〇したりして」で 止めることが多いと思うんですけど、
考えたら「したりして」とかっておかしいじゃないですか。
日本語的に言うとおかしいと思うんですけど、でも結構使いますよね。
そちらの方が「共話」的な、ちょっと未完成な方が、楽とか楽しいというか。
ホシノ
うん、
アワノ
全部言わなくても、皆まで言わなくても分かってくれる相手がいる方が、
温かくなるとか心強いとか、そんな感覚があるんじゃないかっていう。
ホシノ
うんうん
アワノ
そんなことが本の中で言及されてますね。
対話と「共話」、どちらが良い悪いじゃなくて、
そういう使い方が違いますよっていう感じですかね。
ホシノ
いや、面白いですね。
最近よく対話がね、いい手法だとして取り上げられることが多い。
明確に立場と、お互い目指すものが違った相手が理解し合うための手法として、
よく取り上げられますけど、そうじゃない説ですね。これは。
アワノ
そうじゃない説ですね。
この説が正しいとか間違っているとか、それはどうかはわからないですけど、
そういう説で面白い。
今、星野さんおっしゃったみたいに、
対話は立場とか 主義とかを明確にしていく。
どちらかというと論理的な話された方という感じですかね。はい。
ホシノ
それが「共話」と対話についてと。
アワノ
そうですね。で、一応補足で、その前提としてドミニク・チェンさん曰く、
今の世の中って、論理的にいろんなことを理解していくことが大事だと、
これまでされてきたと思うんです。
ただ、論理的に、 その人が合理的に認知する能力を
引き上げようとする努力も必要かもしれないけれども、
それよりもまず、異質な他者と自分とを繋ぎ合わせる 心理的な土台を築くことこそが
より重要じゃないかと。
ドミニク・チェンさんは、
テクノロジーと人との関係性をずっと見てきた方がそういう 発想みたいですね。
ホシノ
なるほどな。
アワノ
もちろん対話も大事なので、僕もずっとこれまで「対話・対話」と言ってたので、
対話が大事とよく言ってたんですけど、
なるほどなーと思いましたね。対話とこういう風に捉えるんだな、と。
ホシノ
とは言えね、この「共話」というのは、
まだ世の中に知られてない言葉だと思うので、簡単には使いにくいですけどね。
アワノ
そうですね。うんうん。
ホシノ
でも、その認識って面白いなって、すごく今思ってます。
日本人が使いまくっている、
「◯◯とか」「◯◯したりしてる」という用法を、肯定から入るんですね。
アワノ
そうですね。ここが面白いですね。
今、星野さんが仰っていた認識っていうのがそうですよね。
仰るように、そういう捉え方があるんだっていうことを認識するだけで、
物事への見方って変わりますよね。
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5.「共存感覚」について詳しく
ホシノ
変わる。ちなみに、その「共存感覚」についての、お話もあります?
アワノ
「共存感覚」については、そうですね。
具体例として出てるのが、このドミニク・チェンさんという著者自身の作品で、
愛知トリエンナーレ 2019、 話題になったというか、色々問題になってありましたね、
そこに出展された作品で、「タイプトレース」という作品を出展されたんですね。
タイプとは、、PCのタイピングのタイプ、
トレースは、その後を追っていくっていうトレーシング。
「タイプトレース」は、これ何かというと、
一般の人、2000人以上の方が遺書を書く。
ホシノ
うん、
アワノ
遺言ですね。誰かに対しての 遺言を書くんですけど、
ただ、それを、出来上がった、完成した遺言を展示するのではなくて、
その遺言を打ってる(タイピングの)瞬間ですよね、
カタカタカタって。
「愛する娘へ」など書いてる、その最初から、
誤字脱字とか、書き間違い、訂正、書き直して消していくとか、
全てトレースしていく。
あと、書いていて、ある箇所までバーっと書いたけど、
途中で何を書けばいいかよくわからなくなって書き淀んだ瞬間とか。
もしくは、感情がすごく昂って、強く打ってるところは強く文字が出てくるとか。
その人の遺言を書くまでの様々なプロセス全部、 弱いところも含めて出すっていう、
そんな作品を展示されたんですね。
ホシノ
それ、動画かなんかってことですか。
アワノ
動画みたいな感じですかね。
ドミニク・チェンさんはプログラマーでもあり、プログラミングもできるので、
動画なのかな。
カタカタカタって打ってる瞬間が全部出てきて、文字も出てくるっていう、
音もしながら、っていうような。
ホシノ
それと、文字が大きくなったり、するっていう。
面白いじゃん!うん、うん、うんうん。
アワノ
そうすると、完成された、出来上がった文章を見るんじゃなくて、
なんだか色々と削ぎ落とされた文章じゃなくて、
ほんとにその人が、書き手の 感じてることとか、
その瞬間に感じていることなどが、
全部出てくるわけなんですよ。
で、それを読み手は見ながら、
何が出てくるのかなって想像したり、
書き手の人ってどんな人なんだろうって想像したりする。
同時に自分も、
自分だったら何書くんだろう?みたいな思いを馳せるという。
それはつまり、時間とか空間は違いますけど、「共にある感覚」である。
ホシノ
うん、
アワノ
この「タイプトレース」が、「共存感覚」の1つの例として出されてます。
ホシノ
凄い面白いっすね!それ、。(全過程を)見せるわけだよね。
アワノ
そうですね。
ホシノ
アウトプットされたものでも、動かなくなった塊じゃなくて、
その揺れ動いてるアウトプットを出す途中の心をこう視覚化するわけね。
アワノ
うん、そうです。まさにその通り。おっしゃる通りです。
ホシノ
それによってね、相手は、
じゃあ、共存というのは、そのアウトプット、
固定されたアウトプットを見ることによって感じるというよりも、
その過程の中に、この「共存感覚」が強く秘められてるっていうことなんですね。
アワノ
なんだと思います。うん、きっと。
ホシノ
うんうん。だから、固まった意思表明とかじゃなくて、
迷いの中に、もしくはその決める過程にこそ、
共存みたいなものを感じる価値があるという感じか。
アワノ
そうですね、この「タイプトレース」だとそういう感じだと思うんですけど、
なんですかね、 とにかく、先程の「共話」もそうですけど、
根底にあるものって、一緒にいることによる安心感とか、温かさとか、
ホシノ
うん。
アワノ
もしくは、安心するからこそ、何か一心不乱にらんできることっていう感じなんですよ。
だから、僕がもしこの誰かが遺言をこう、
ばーっと書いてるタイプトレースを見ると、
例えば「息子、絵」とか書かれたら、なんかこう、
わかんないですけど、すごい自分の息子のこと考えたり、
もしくは親のこと考えたりするかもしれない。
その作品を通じて、一緒にいる感覚というか、
そうですね、なんか温かい気持ちになるんですかね、
きっと。うんうん。
だから、それが何か次に新しい、 理性で考えるんじゃなくて、
感情で受け止めながら、ちょっと離れた場所に行って、
そこから次の何か新しい発想が生まれるっていう、
そんな感覚を持ってますね。
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6.「共話」と能楽
アワノ:
もう1個、さっきの「共話」の例でいくと、
能楽、伝統芸能の能の話も出てくるんですね。
能って、僕は詳しくないんですけども、
3種類の登場人物がいるそうです。
主役(シテ方)がいます。脇役(ワキ方)がいます。
さらに、司会進行する「地謡」という役割が3つあって。
能は、主役と脇役が未完成の文章を投げ合っていって、
だんだんクライマックスになる。
どんどん溶け合って、 1つになって、最後は背景の風景に、
風景描写に消えていくっていう、そういう話が多いらしいんですね。
人間と、大自然とか神様がおいて、会話は成り立たないけど、
人間が自然 に対峙することで、一心不乱に 何かやっていくことで、
変化を遂げて、成長して、目的を達成するみたいな、
そんな話が結構あるようで。
じゃあ、その「共話」とか「共存感覚」とかは意味あるのかって言われると、
よくわからないんですよ、正直に言うと。
先程の「◯◯とか」や「◯◯したりして」
という言葉の語尾とかもそうですし、
タイプトレースというもので、
すごくいいなって思うんですよ、作品としては。
だから、そこで感動したから何か意味あるんだろうかって
思っちゃうかもしれないですけど。
ホシノ
ええ、
アワノ
やっぱりさっき申し上げた、なんだかこう、
人と人とか、人と自然、人と物かもしれませんけど、
何か自分が安心とか楽しいとか温かい とか、
無我夢中になれるものを感じられた状態、
これをたくさん作っていくことっていうことが、
僕は大事かなと思うんですよね。
ホシノ
うんうんうんうん。
アワノ
頭で理解するんじゃなくて、
ホシノ
うんうんうんうん。
アワノ
よく心理的安全性みたいな言葉をGoogle社発で使いますけど、
その近いところで、それがあるからこそ、新しい発想が生まれたり、
ホシノ
うん。
アワノ
安心して考えられたり、普段は考えてなかったことが、
ふっと思い浮かんできたりっていう、
そんな状態が出るんじゃないかなっていう風に思います。
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7.コンテクストデザインの「弱い文脈」と「共話」
ホシノ
なるほどね。うん。
ちなみに僕は今の話聞きながら、
前回(ep01「コンテクストデザイン」渡邉康太郎さん)の
「弱い文脈」のことがすごくよぎってきましたよ。
アワノ
なるほど。弱い文脈。
ホシノ
結局、作者が投げたものに対して、
その受け手側がどういうふうに解釈するか、
作者に投げ返すっていう。
ここで、「共話」でお話されてたのはそういう話ですね。
アワノ
そうですね。まさにそうですね。
ホシノ
うん。だから、弱い文脈の共有をしてるっていうイメージ。
アワノ
うんうんうん。
ホシノ
この「タイプトレース」も同じ話だなと思ってて、うん
アワノ
うん
ホシノ
強い文脈(だけ)を作らないアウトプットの方法、
だなと思いました。
きっと完成形(強い文脈)は、
例えば愛してるっていう言葉が出てたとしても、
この家庭ですごく言い淀んでいて、
この言葉じゃ収まんないこと(弱い文脈)を
伝えようとしてるんだなあ、とか。
アワノ
確かにそうでしょうね。
愛してるっていう言葉じゃなくて、なんか(別のものが)ある。
その人なりの何かがあるんでしょうね。うん、きっとね。
ホシノ
なんかそんなことを感じたので、
なるほど、その受け手側の受ける感性を
すごく刺激する手法なんだなと思った。
で、それを楽しみだとか、意味があるものって捉えると、
コミュニケーションのあり方が
変わってくるんじゃないかなって 思うんですよね。
わかんないとか、なんか自分と違うなとか。
「いや、 愛してるってこうだぞ」って、
なんか教えてあげようとかってなっちゃうと、
また面白くないというか、それで終わっちゃうんですけど。
その違いから、そこから、
「じゃあ、あなたの愛してるってなんなんだろうね」
ってこう、お互い話していく中で、
また 違う価値が生まれてくるかもしれないですね。
そんな感じですかね。はい。
前提として、言葉は不完全だっていう前提だよね。
アワノ
うん、そうですね。不完全な
ホシノ
は不完全で、その背景にある思いの部分を、
うん、こう明確にしていくために、うん、言葉を尽くす。
アワノ
そうですね。
ホシノ
うん。で、思いを馳せて、共にいる。その思いを共有しようとする。
アワノ
うん
ホシノ
てことね。そうですね。そんな認識をしましたよ、今。
アワノ
ホシノさん、まとめていただいてありがとうございます。
まさに、ほんと、おっしゃる通りですね。本当に。
これも1つの「共話」ですね。この、今日お話してること、そのものも。
ホシノ
あー!知らず知らずのうちに「共話」してしまいました。
アワノ
でも、そちらの方が心地よいというか、かもしれないですね。
一方が話し続けてうんうん終わっていくよりは。
ホシノ
うん。いや、面白い。
アワノ
そんな感じで。本日の初回(ep02-1)は、終わろうと思います。
ホシノ
わかりました。2回目も楽しみにしてます。、
アワノ
はい。ありがとうございました。
Podcast「アワノトモキの読書の時間」 Work Teller
ep02-1/「未来をつくる言葉」(ドミニク・チェンさん)
は、以上でおしまいです。
ありがとうございました。