01. DXを取り巻く環境 〜新しいデジタルのものづくりが求められる背景〜
この連載は、UXに強みを持つデジタルエージェンシーであるタイガースパイクが、自分たちも悩みながらも日々進化させているデジタルプロダクトの作り方の知見を、皆さまにも共有したいという目的で公開する記事です。
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はじめまして!タイガースパイクのUXデザイナー、マイマイこと佐藤麻衣子です。
今回、タイガースパイク東京がnoteを立ち上げまして、記念すべき第1回の記事を書かせていただきます!今後も登場しますので、以後お見知り置きを。
さて、その記念すべき最初の記事は、タイガースパイク 東京オフィスとして初めて開催したウェビナー講演内容を全5回に分けてご紹介します!!第1回目の今回は、ウェビナーの導入として語られた、そもそも現在の「デジタル開発を取り巻く環境」について。第2回以降は、「最先端のものづくりのプロセス」や「開発現場で役立つ具体的なTips」についてのご紹介です。
今回のウェビナーは、2021年5月12日に開催しました。タイガースパイクが、自分たちも悩みながらも日々進化させているデジタルプロダクトの作り方の知見を、皆さまにも共有したいという目的で企画しました。
少人数の参加者を想定していたのですが、なんと、300人を超える方からご参加いただくことができ、改めてこの分野の注目の高さ(そして悩みの多さ)を知りました!ご参加頂いた方、改めて、ありがとうございます。
それでは早速講演の内容を、ご紹介していきます。
はじめに
「体験のデザイン × リーン × アジャイル」で実現する、デジタルプロダクトの最先端のつくり方 とは?
本講演では「体験のデザイン × リーン × アジャイル」で実現する、デジタルプロダクトの最先端のつくり方」というテーマを設定しました。体験のデザイン(UX)、リーン、アジャイル…これらの言葉は、昨今聞かない日はないほどとなりましたが、実際の現場での体験談を、直接聞く機会はなかなかないのではないでしょうか。
そこで、「使いたい、をカタチに」を掲げるタイガースパイクのメンバーが実践を通して考え、実行していること
・よりよいデジタルプロダクトを生み出せる組織とはどんなものか?
・どんな点がプロジェクトの成功のために重要であると考えているのか?
・具体的にどのような取り組みを行っているのか?
上記を、熱く語る内容になっています。
タイガースパイクのご紹介
本題に入る前に、まずタイガースパイクの紹介をさせてください。
タイガースパイクはオーストラリア発祥のITカンパニーです。BtoCのスマートフォンアプリから、BtoBのWebアプリまで様々なデジタルプロダクトのUXデザインから開発までを行なっています。会社の設立からは18年。東京オフィスは今年で8年目を迎えます。世界12拠点に展開し、グローバル全体で人数は400人程度と規模は大きくないですが、その分密度の濃い、少数精鋭部隊で世界中の人々の生活をテクノロジーの力でより良いものにすることを目指しております。グローバル共通での会社のミッションは「Improve people's life through technorogy」です!
タイガースパイクでは体験のデザイン(CX、UX)と実際のものづくり(デジタルプロダクト開発)を両方行うこと、そしてものづくりをして評価し、さらに改善を図るというサイクルをぐるぐると回すことを大切にしています。
登壇者のご紹介
タイガースパイクの中で「体験のデザイン × リーン × アジャイル」パートを中心となり担ってきた、3人のメンバーが登壇いたしました。
(左から)
根岸慶 (K1) : General Manager , Japan
相手を油断させる笑顔と話術で代表としての威厳を隠し、社員が主体的に動き、活発な議論がなされる組織を築き上げる。ビジネスと組織のカルチャー作りに熱い人。
高松真平 (Toritan) : Tech Lead
名前と全く関係ないあだ名「Toritan」が定着したことにより、本名を忘れられがち。様々な現場をくぐり抜けてきた経験を持ち、常に冷静沈着。静かに仕事に燃える、頼れるTech Lead。
中島亮太郎 (Talo): UX Lead
常に本を読んで新しい知識を吸収し、その学びをグラフィックレコーディングという形でアウトプットし続ける知の探求者。どんなに忙しくても常に笑顔で周りを癒す仏のようなUX Lead。
<Taloのプチ情報>
行動経済学×デザインというテーマでnoteにて執筆中(ペンネーム”ジマタロ”)。現在書籍化に向けて準備中で、年内に出版予定です。
聴講者の方々は「アジャイル」や「リーン」を実践しつつも、なかなかうまくいっていないお悩みを持っている方や、よりうまくやっていくためのヒントが欲しいと考えていらっしゃる方を想定しています。そのため「アジャイルとは何か?」「リーンとは何か」などの前提説明は割愛しました。
デジタル変革を取り巻く環境
根岸が2019年に『デザイン思考と組織文化の変革で実現するDX』というテーマで翔泳社のWebマガジン「Biz/Zine」上でコラム連載していました。(こちらで電子書籍として出版されておりますので興味ある方はぜひ!)
その連載の中で「DXを推進するために必要なものとは何か?」について考えてきました。
DXを推進するもの ①デザイン思考(体験のデザイン)
こちらの図を使って、DXを推進するものとは何か説明します。
要点は以下の通りです。
・DXは今は技術ありきで進んでいる。
・しかし、ある程度技術が整ってきた時には、どのような「体験」を提供できるかが重視されるようになる。
・「体験」を見つめ直すことを通して、また「どのような技術が使えるか?」という形で技術を見つめ直すことになる。
・このような形で今後、主戦場が「体験」にシフトしていく。
・今後ますます「デザイン思考」が重要になってくる。
タイガースパイクは今回のテーマ「体験のデザイン × リーン × アジャイル」の最初に掲げた「体験のデザイン」の重要性を設立当時から訴え続け、実践してきました。
DXを推進するもの ②組織のカルチャー
続いてもうひとつ、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するために必要と考えているものがあります。それは「組織のカルチャー」です。
それを表現しているこちらの図をご覧ください。
DX推進のためには「トップ(経営陣)」と「ボトム(社員)」が一丸となることが大切です。
DXに限らず、何事においてもそうですよね。社内の「何か」を変えようとするとき、現場から何かを強く訴えても経営層に響かなければ「予算が降りて来ない」「規制が緩和されない」などの理由から改革は進みません。
一方で「変革せよ!」と経営層から強い号令がかかったとしても、現場の心に何も響かなければ意味がありません。変革の本質を理解しようとしないまま何かをしようとすると…
とりあえず、新しいプロジェクトが作られる →(現場の声)「余計な仕事が増えた」
とりあえず、システムがリプレイスされる →(現場の声)「昔の方が良かった」
と現場から不満が爆発。経営層は「あれだけ言っているのに、DXが進まない!」と不満を抱え、溝が深まるという状況になってしまいます。
特にDXの領域では、ある程度DX加速化のためのITインフラが成立したら、その後の競争は、よりクライアントに近い現場が主導で変革を継続する必要があるので、現場が動かなければ中途半端で終わってしまいます。
この図のように、経営層と現場メンバーの関係性の近さ、風通しの良さ、根岸の言葉で言う「全員で踊る」ことができる組織カルチャーの醸成がDXには不可欠であると考えます。
DXを推進するもの ③ビジネスアジリティ
DX推進には「①デザイン思考」と「②組織のカルチャー」が重要であることについて、私たちはずっと考えてきました。そして、それを大切にしながら様々なクライアントと一緒にDX推進に向けて取り組んできました。
しかし、実践する中で「この2つだけでは足りない」ことが次第に明確になってきました。足りないもの、それは「ビジネスアジリティ」です。
そもそも、アジリティという言葉が聞きなれないものかもしれません。「アジリティ」とは直訳すると「機敏さ」「素早さ」「敏捷性」ということになるそうです。では、一体ビジネスアジリティとは何なのか?どのようにビジネスアジリティを身につけていけば良いのか?ここで考えていきます。
引用元
こちらは、それぞれのサービスが5000万人のユーザーを獲得するまでにかかった年数の一覧表です。
飛行機の68年を筆頭に、昔からあるプロダクトは何十年も時間がかかっていることがわかる一方で、Twitterは2年、Pokemon Goに至っては19日でそれを達成していることがわかります。
つまり「ビジネスを取り巻く環境の変化が幾何級数的に加速している」のです。アジャイル開発の重要性はよく語られていますが、それだけでは足りず、ビジネスそのもののアジリティを上げていく必要性があるのです。
ビジネスアジリティ = 変化に能動的に対応 → 変化を創出
ビジネスそのものとして、様々な変化に能動的に対応することが求められるのはもちろんのこと、そこから変化を「創出」することまでたどり着けないと、勝ち残ることはできないと考えています。
ビジネスアジリティの獲得に必要なもの
「ビジネスアジリティを獲得する上で必要になってくるものとは何か」を以下にまとめました。
組織:プロダクト・サービス中心の組織組成(ビジネス・IT・サポート一体)
予算:「年に1回大きく」から「四半期単位で小さく」
スタンス:早く試す・失敗する・変える(やめる)
まず組織ですが、技能別に分かれた組織ではなく、プロダクトを中心とした組織作りが重要であると考えます。これは大企業だと特に難しいと思いますが、だからこそ、とても重要なことなのです。
次に予算です。規模の大きな企業であればあるほど、どうしても年に一度の予算取りになりがちですが、四半期に1回くらいの短いスパンで小さく細かくお金を取る形にし、動きやすくすることが重要であると考えます。
いきなり大きなお金を得て、新しいことを始めるとなると、どうしてもはんこリレーを経ないと一つ一つの物事が決められない、動きが遅い状態に陥りやすくなるかと思います。
最後にスタンスです。予算のパートでも触れましたが、一度大きく始めたことは、止めにくく、変えにくいものです。そうではなく、まずは「試す」そして「失敗する」だからこそ「変える」ないしは「やめる」ことを通して「とにかく変化に素早く対応できるようにする」ことがビジネスアジリティと言えるのではないでしょうか。
エンタープライズ・アジャイル・フレームワークの興隆
こうした活動を支援するフレームワークも出てきています。中でもScaled Agile Flamework(SAFe)と呼ばれるものなどが、シェアを大きく占めています。
アメリカでは、Fortune100のうち7割の会社ではSAFeの専門家が社内にいる状態になっています。一方日本では、まだようやくSAFeの名前が知られ始めたレベルです。しかし、日本のSIerなどでもどんどんこちらにシフトする動きがみられているため、今後浸透してくると考えています。
今後、ビジネスアジリティを組織が取り入れることで、左の図でいうところの「より多くの矢印を生み出す」こと。そして右の図で言うところの「矢印をより素早く回す」ということが可能になってくるのではないかと考えています。以上を踏まえて、
DX = ①デザイン思考 × ②カルチャー変革 ×③ビジネスアジリティ
この3つの要素がDXを推進する上で大切になってくると考えています。
さて次回は連載タイトルにもある「使いたいをカタチに」する具体的な中身に入っていきます。お楽しみに!
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さて、タイガースパイクではデジタルプロダクト・サービスの初めから終わりまでのプロセスを、丸ごとお手伝いすることも可能ですし、部分部分でお手伝いすることも可能です。この記事をご覧いただきタイガースパイクに興味を持っていただけた方はぜひ、こちらまでご連絡いただけると幸いです!
また、このような会社で一緒に働きたい!という仲間も随時募集しています!皆様からのご応募、お問い合わせ、お待ちしております!