だから僕たちは、全力で「手つなぎ鬼」をする 〜カルチャーのデザイン〜
去る2021年11月19日、僕たちは全力で手つなぎ鬼をしました。
なんで僕たちは全力で手つなぎ鬼をしたのか。そしてなぜそれを「日本法人代表」である根岸がnoteの記事に書くのか。
それは、全力で手つなぎ鬼をすることが、僕たちの経営に直接的に関わっているからなのです。この記事では、そんなことに触れたいと思います。
アウェイ・デーに行ってきた♫
こんにちは。コンセントリクス・カタリスト(旧タイガースパイク、以下「CC」)日本法人代表の根岸です。
秋晴れの2021年11月19日に、2年4ヶ月ぶりに、アウェイ・デーに行ってきました!コロナに入ってから、計画はすれど実行できずが続いていたので、今回実行できたことは、本当に、感無量です。
アウェイ・デーとは、文字通り、「アウェイ=遠くに行く」「デー=日」です。わかりやすく言うと「遠足」ですかね。
今回のアウェイ・デーは、貸切バスで千葉県にあるマザー牧場に行ってきました。動物と戯れたり、本気で(大声で指示出しとかしながら笑)手つなぎ鬼したりしました。僕は、人生で初めてバンジージャンプをやりました!(写真右下端に小さく載せた、槍に刺されたエヴァみたいなやつです)
このアウェイ・デーは、平日に、日帰りないし泊りがけで、毎年1回行っています。平日に業務を止めて行くので、会社としては実はかなりの投資だったりします。アウェイ・デー以外にも、業務時間を使ったこういった取り組みは(コロナでだいぶ削減せざるを得なくなってはいますが)いくつもあります。
カルチャー = 肥えた土壌
じゃあ、わざわざ大枚はたいて何をしたいのか。それはまさに「カルチャー」のためなんですよね。
はい。こう書くと「カルチャーのためって何やねん」てなりますよね。そう、最近よくカルチャーカルチャー言われますが、そもそも何なのか。
カルチャーの意味に関して僕が一番しっくり来るのは、「肥えた土壌」です。
検索してもあまり「肥えた土壌」と定義されている例が出てこないのですが、カルチャーの語源は「耕す」なので、耕された状態としての肥えた土壌という解釈も、まあ、ありということでお願いします。
カルチャーをデザインする
僕は以前、32平米の屋上菜園をやっていたので実感してますが、肥えた土壌は有機物に満ち満ちていて、そこから勝手にいろいろなものが生まれます。そしてこの土壌は一朝一夕には作れず、年月をかけて醸成していくものです。カルチャーとは、まさにそのようなものだと思っています。
逆に痩せた土壌からは何も生まれません。生まれないから、強制的にリンや窒素のような化学肥料を投入します。そうすると一時期的に反応はしますが、土壌はさらに痩せるので、化学肥料を投入し続けなければいけなくなります。カルチャーが育たない企業が代わりにお金を投入し続けるように。
そして、このような肥えた土壌に整えていくことを、僕たちは、カルチャーをデザインする、といっています。
アウェイ・デーに投資する意味
では改めて、アウェイ・デーに大枚をはたくことでなぜ土壌が肥えるのでしょう?
ポイントは、「存在の受容」「立場と意見の相対化」「共通体験」です。
以下、今回のアウェイ・デーで起きたことの例です。
一緒にウサギを抱っこしてニンマリする。
バンジージャンプでビビってる姿を見て笑う&応援する。
手つなぎ鬼で大声で「囲めー!」と言いながらガチで取り組む。そして息を切らす。
昼間からジンギスカン&ビールを堪能する。
アウェイ・デーの一部として実施した送別会で泣き笑いする。
バスの中の「イントロ・ドン」に命をかける(or その姿を見る。)
全ての人間は、ビジネスパーソンである前に、ひとりの人間です。関係性が仕事だけに閉じていたら、まさに痩せた土壌のように、会話も、立場も、断片的、一方的になってしまいます。そんな薄い関係性の中で、リスク背負って発言したいって思えますかね。僕はあまり思えないです。
逆に、仕事はまだ不慣れでも、動物に詳しかったり、足が速かったり、歌がうまかったりして、そのことに「すごいやん」て言われたら、安心しません?ここにいてもいいのかもって、思えませんかね。僕はそう思うんですよね。これが、「存在の受容」です。まずひとりの「人」として受け容れられる、ということです(実は僕の大学院の論文はここら辺がテーマでした)。アウェイ・デーには、そんなチャンスがいっぱいあります。
また、手つなぎ鬼で活躍するのって、別にデザインのマネージャーではないですよね。エンジニアのヘッドでもない。もしかしたら学生インターンの子かもしれない。
そうなると、手つなぎ鬼の世界では、デザインのマネージャーとエンジニアのヘッドは、インターンの子の指示に従わないといけなくなるわけですよね。「あっち回って!」とか「そこの5人、2人と3人に別れて!」みたいなこと言われて、「Yes, sir!」ってしないといけない。これが、「立場の相対化」です。
立場が相対化されると、少しずつですが、意見も相対化させていくことができます。相対化のきっかけが既に得られているので。そのようなことが繰り返されると「立場と意見の相対化」が実現できます。
立場と意見が相対化されれば、権威が減り、言いたいことを言い合える関係性ができてきます(さっきの「土壌」の図における「←→」の関係性)。
しかも、アウェイ・デーの思い出は、参加者全員の心に「共通体験」としてしまわれるわけです。学生時代の仲間と集まった時に毎回語られる思い出話のように、共通の記憶として残せることになります。これを土台に関係を積み上げられることは、それができない場合と比べて、特に短期的に大きな差を生んでくれます。
このようにして、アウェイ・デーをやることで土壌が肥えていくのです。
僕たちは、アウェイ・デーのみならず、このようなアクティビティを繰り返し実施(Cultivate)することによって、肥えた土壌(Culture)を作り上げることができると考えています。
そして成功循環モデルが回りだす
では、土壌が肥えるとどうなるのでしょう。
上記は、MITのダニエル・キム教授の「成功循環モデル」です。簡単に言うと、
ということです。これはカルチャーの振る舞いをすごくよく表していて、直接的じゃないんですよね。だからわかりにくい。投資判断もしにくい。そうなると偉い人はROI(投資対効果)のわかりやすい「リンや窒素を撒けばええやん」と思ってしまう。でも、それだといつまで経ってもバッドサイクル(悪循環)を抜け出せない。。
ぶっちゃけ、体感値として、関係の質がよくなっても一朝一夕に結果の質は上がりません。ただ、まず組織としてのレジリエンス(回復力、しなやかさ)がめっちゃ高まります。なので、「結果の質がよくなるまで耐えることができるようになる」と思っています。
そして、この成功循環モデルの出発点である「関係の質」をよくすることは、ズバリ土壌を肥やすことそのものなので、土壌を肥やすことの意味は、グッドサイクルを回して成功循環をもたらすことである、と言えます。
目指しているのは「ティール」ではなく、「グリーン」
ちょっと話変わりますが、数年前に一斉を風靡した「ティール組織」(原題「Reinventing Organizations」)という本があります。読まれた方はおわかりかと思いますが、「ティール(進化型)」という形態は、勉強したら実現できるような生易しい世界ではなく、無意識のマネジメントも含め、人生をかけて向かっていくべき世界観です(ユングの「自己実現」(*1)、仏教の「涅槃」の世界)。
翻ってティールの一つ手前の段階の組織形態である「グリーン(多元型)」は、比較的理解しやすい形態であり、かつ今のVUCA(ざっくりいうと、先行き不透明で予測困難)な世界で生き残るために必要な要素の備わった形態であるため、僕たちはグリーン組織を目指しています。
グリーン(多元型)のメタファーは「家族」で、その特徴は以下です。
多様性の尊重
価値観の重視&心を揺さぶる存在目的
カルチャー・オーバー・ストラテジー
権限委譲&エンパワーメント(サーバント・リーダーシップ)
「多様性」「存在目的(パーパス)」「権限委譲」「サーバント・リーダーシップ」など、まさに今をときめく組織論のキーワードが並んでいますね。
戦略の上位にカルチャーを置く
グリーン(多元型)の特徴の中で唯一耳慣れない「カルチャー・オーバー・ストラテジー」とは、「戦略の上位にカルチャーを置く」ということです。これは決して「戦略を軽視する」ということではないですが、どんなに良い戦略を立てても、カルチャーが悪ければ実現ができないということです。
このことは、あのドラッカー先生も指摘しています。
そして、カルチャー・オーバー・ストラテジーにおけるカルチャーの位置付けは、下記のようになろうかと思います。
ティール組織を最初に読んだ2018年当時は気付きませんでしたが、今思うと、この「カルチャー・オーバー・ストラテジー」は、少なくとも僕たちの業界では必然ですね。理由は以下です。
僕たちのビジネスは「知識集約型ビジネス」である、即ち「人のビジネス」であるため、その関係性の醸成(=土壌づくり)は、提供価値そのものに還元される。
VUCAな環境下での戦略遂行は必然的に創発的(実践しながら環境適応的に変化させる)にならざるを得ないが、その遂行にはメンバー間の深い関係性(=肥えた土壌)が不可欠である。
余談ですが、これはまさに「be agile」の世界だな、と思いながら書いていて気付いてしまったのですが、以下の通り、アジャイルはそもそもこのグリーンの形態として認識されているのですね。
上の図は、各段階における組織形態のイメージ図になります。外側から、ティール、グリーン、オレンジ、アンバー、レッドの順番です。僕はこの図を何年も前から見ていますが、グリーンの中心に「AGILE」と「LEAN」と書いてあることに、今気付きました。。
どうりで、僕たちが自然体でグリーンを目指したくなるわけだ、と改めて納得しました。
だから僕たちは全力で「手つなぎ鬼」をする
今まで見てきた内容をまとめると、以下のようになります。
すなわち、僕たちは、全力で手つなぎ鬼をすることで、結果的に、創発的戦略が遂行される&提供価値が高まる、と信じています。
だから僕たちは、全力で「手つなぎ鬼」をするんです。
そして、僕のようなリージョンのトップには、肥えた土壌を作り上げること、すなわちカルチャーのデザインが、重要業務の一つとしてアサインされています。
だからこの記事は、「日本法人代表」である根岸が書いているのでした。ちゃんちゃん♫
これを機に、僕も時折記事を書いていきたいと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。
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