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“愉快なオトナたちのリアル講義” 〜Don’t live to eat. Eat to live.〜

高校生によるオトナたちへのインタビュー第2弾
デザインコンクール受賞多数の”デザイナー兼・イラストレーター兼・グラフィック講師”Mohri Design 毛利清隆さんによるリアル講義
第一子が誕生し、独立後もフリーランスとして活躍し続ける彼の思考を聴き解く今回のインタビュー 〜Don’t live to eat. Eat to live.〜 は「無知の知」ソクラテスの名言を現代英語化したもの。プロフェッショナルの思考法をここに書き留める。



毛利清隆ポートフォリオサイトは↓


毛利清隆インスタグラムは↓





1,これまで:history



1,これまで:history





公立高校卒業  久留米大学商学部卒業


卒業後;建築資材の営業職に就いたのに1年後にはバブル経済が崩壊しちゃった。それから生まれの九州に戻って塗装工場等で働いてた。その時はパソコンが高額だったけど家にMacを持ってた。そしてたまたま、電通の人に

「今からMacを使える人は重宝されるから使いこなせるようになっておけ。いずれ金になるから。」

って言われてMacの初心者向け講習に3週間通ったんだけれども、初心者向けでしかも、3週間だけだったから、今となってはそこまで意味がなかったと思ってる。笑


大日本印刷会社;電通の人やいろんな方々との縁のおかげで、子供の頃から絵を描くことが好きだったこともあり、大日本印刷会社に入社できた。 その面接の時に、

「なんでもできます!」 「自分は即戦力になります!」

って言っちゃって、そこからはめっちゃ大変だった。今は自分の作品を持ち込んで、いい作品が作れないと入社できないけど、当時は人手不足も相まって勢いだけで入れる会社が多かったから、入社してすぐに「即戦力ありがて〜」って感じでスーパーのチラシのデザインを任されたの。
まぁ、、自分は即戦力だと思ってたけど現実的にデザインの学校なんていってないわけで、全然力になれなくて不甲斐なかったよ。何もできないし、何もわからなかった。
悔しかったから、先輩や上司に頼み込んで手取り足取り1から教えてもらった。即戦力どころかお荷物状態だよね。。

そこで教えてもらった1つに、冷や奴のデザインをするってやつがあったの。冷や奴って、あのただ真っ白で直方体の豆腐だよ。ちょっと最初意味わかんなかったよ。でも、その真っ白な豆腐にも、影はあるし、お皿に載せなくちゃいけないし、薬味だって載せたい。その思いをデザインにぶつけるっていうことを知れた。ホントに感謝してもしきれないよ。

社会人になってわかったのが、学生にとっての仕事って勉強なんだよ。だから、我慢するのも経験になるし、勉強を楽しいと思えない人も勉強しておいた方がいいよ。面白い授業をしてくれる先生、できない先生どっちもいるけど、耐性をつけるっていう意味でも勉強は大切だよ。

しかも、恐ろしいのが、20代はおばかキャラでも許されるけど、30代40代以降は通用しないってこと。わからないっていうのがタブーになってくる。俺もちょっとしたビジネス用語がわからなくて、知ってるふりして場をやりすぎしたことがあるけど、少しヒヤヒヤするもん。それの後こっそり調べたし。(笑)だから、語彙は豊富な方がいいと思う。結局勉強は大事だね。

結婚;結婚して、上司に認められるよりも、仕事をお金で評価してもらいたいって考えるようになった。高いクオリティを仕事で発揮して早めに帰ってる人よりも、ダラダラ残業をしている人の方が給料が多いのはいかがなものかと。時間をつぎ込んでいる人たちという意味では少しくらい評価するべきとも思うけど、自分には会社が合ってないってそこで思った。

第一子誕生;誕生とともにフリーランスになった。あの時、妻が快諾してくれたおかげで今がある。フリーの先輩には半年は稼げなくても食えるだけの貯金をしとけって言われてたから、アドバイス通り貯金してた。でも、会社で働いてた時の先輩たちが独立後もたくさん仕事をくれたおかげで、非常事態は全然起きなかった。フリーになって本当に良かったと思う。得意で楽しい仕事が好きにできるようになったからね。年々楽しくなってきてる。

会社時代はイマイチ楽しいと思えなかったし、営業時代も話すのは苦痛じゃないけど楽しくなかった。
フリーになってからはテンションがめっちゃ上がってる。
そしてね、細かいストレスもなくなった。仕事がこなくなることへの漠然とした不安はあるけど、会社っていうチームで他人の手伝いをして、そこで小さなストレスが積み重なることはなくなった。
そういうストレスがフリーになってなくなったのと、子どもといる時間が増えたおかげで子育ても結構手伝うことができた。すごい楽しかったなー。
フリーじゃなかったら、帰宅した時に散らかってるオモチャを見てイラッとしてた気がする。子育ての大変さも目の当たりにしたし、私事と仕事の壁がなくなって子どもと生活できて最高の時間だった。

やっぱり、いきなりフリーランスのデザイナーにならなくて良かったなぁ。社会人になるのって回り道だし、しんどいけど。今でも、頑張らないといけない時に頑張れるのは会社で働いてた経験が大きいね。残業を失くす啓発チラシを夜遅くまで作らされた時には、社会の理不尽さを流石に実感させられて憤ったけど、いい経験になった。それが社会だって開き直ればそれまでなんだけどね。
あの時に比べたら、そこまで………みたいな耐性ができたのも会社に入ったおかげかな。





2,転機:marry




2,転機:marry





1番人生を左右することになったのは、結婚と子どもが誕生したこと。


さっきも言ったけど、子どもの誕生とともに独立することになったから。

子どもがいるってことをすごく実感した出来事があった。それは、本に妻・子ども・自分の名前を書いた時だった。「あっ、子どもできたんだ。」ってしみじみと思ったよ。

そういえば、子どものおかげでできた仕事もあった。子どものために『あいうえお表』を買ってあげよ〜。って買いに行ったのに、リビングに貼っても恥ずかしくないようないい感じのものが世に出てなかったの。どこにも売ってなかった。よくてサンリオキャラクターが載ってるやつだった。
それで、子どもは起きている時間のほとんどをリビングで過ごすし、どうせならいいものを貼りたかったから、『あいうえお表』作りました。ホントにね、楽しかったのよこれが。『あいうえお表』に入れ込む絵を関連させるのが特に面白かった。投稿したらmixiでも反響だったから、美術館に展示されたり、それからも美術館からの仕事をもらえるようになったり。やっぱり、楽しくやれることはサイコーだね。

しかも、この仕事は過去に世に出た自分のデザインが勝手に影響してくれるからありがたい。それでいえば、デザイナーに国家資格は必要なくて、名刺とプリンターとコンピューターがあれば誰でもなれはするから、なりたい人はなってみてもいいと思うよ。

ちょっと話はそれたけど、結婚ってマジでいいもんだよ。結婚はすることをオススメする。最近は結婚しなくていいって人が増えてるよね。たしかに、俺も結婚のデメリットはスラスラ思いつくし、逆にメリットは出てきづらいんだけど。おすすめとか言いながらね。(笑)それでも今、俺は結婚して子供ができて結婚前よりも遥かに幸福感を味わってるよ。ていうか、既婚者には結婚のメリットとデメリットをぜひ出してもらいたい。俺と同じようなことになると思うから。

メリットは少ない。それでもした方がいい。そんなのなかなかないぜ。
たとえ離婚することになるとしても、1度は経験しといた方がいいよ。子どもの運動会見てると自分のアナザーワールド体感してる気分にもなる。自分が好きだったものをおもしろいって思ってくれたりすると、共有できて楽しいときがある。俺にはめっちゃ合ってた。

で、最後に忠告。結婚したら損することも多くなる。自由とお金は減るからね!



今回出てきた『あいうえお表』。
『リビングに貼ってもいいと思える 学習ポスター』はこちら↓




3,プロフェッショナル:communication





3,プロフェッショナル:communication





アマチュアは1発で終わる。ファーストインパクトだけでクオリティ維持ができずに失速しちゃう。コロナでは良い意味でも悪い意味でもネットで素人が飽和してた。でも、元からいい投稿してた人の才能が認められるきっかけにもなってた。

プロフェッショナルは1発では終わらない。1発目以上の高い水準を保つ。そして、たまにありえないくらい素晴らしい作品を世に出す。一定のクオリティのものを出せるのがプロだ。


一定のクオリティを維持できるからこそ信用される。仕事は結局信用とコミュニケーション能力で決まる。信用とコミュ力はどの仕事でも必要。たまに常人離れしまくった才能が信用だけで成り上がるけど、それは例外だね。ほとんどの人はそんなこと真似できないから。別物だ。

『頼まれごとは試されごと』頼めれごとを了承してクリアしていきさえすれば信用は得られる。で、頼まれごとは了承してから、何をして欲しくて依頼してくれているのか、ニーズを1つ1つ丁寧に聞き出す。こういう場数をたくさん踏んでいくことで、コミュ力とか話し方とか、人間力がグレードアップして人間関係が良好になる。

人と話す時に必要以上におもしろくとか気の利いたこととか言おうとしなくていい。無理して明るく振る舞うとかいらない。誠実に。丁寧に。接していけば自然と良好な人間関係が築ける。両立は大切だけど、仕事の実力、才能よりもコミュ力の方が大事。信用を大切にね。




4,変える:point of view




4,変える:point of view




デザイナーになってからは当然だけど、デザイナー目線で物事を見られるようになった。元々好きだったマンガとかも違った視点で見ることができて、逆に新鮮な気持ちでも見られるし、人生に無駄なんてないなって思った。もちろん、視点の変わったきっかけもある。

入社してまあまあ経った頃、上司に呼ばれて、
「おまえ、絵(デザイン)が上手くなりたいか? なりたいなら多くのデザイン本を読もうとするなよ。もっと格段に効率よく上達する方法はあるぜ。それが、街に出ることだ。」
たぶん最初意味わかんないと思うんだけど、本当のことだったな。
街を見る目、広告とかデザインを見る目も圧倒的に変わったもん。
街はデザインで飽和してた!
デザインを上手くしようとして見る街は、景色が違った。

スーパーに買い物へ行く時ですら自分の視点の変わりを実感した。外に出歩くだけで勉強になった時期だった。チラシを集めてファイリングして、隙間時間に見返したりもしてたな。まさか、身の回りにここまで多くの学べることが散らばっているとは思ってなかったからなー。(笑)
クリエイターになりたい人は特に、日常生活を見る視点を少しでいいから変えて見るといいだろうね。






5,感謝




5,感謝





地球にいる誰もが、今まで関わってきてくれた人たちのおかげで今がある。


感謝したい人とはもう会えないかもしれないし、改めて身近な人にお礼を言うのも恥ずかしい。だから仕事で他の人へ感謝の気持ちを紡いでいったり、少なくとも心の片隅に感謝の気持ちをどんな時でも持っておくべきだろうね。
感謝をいつも、心の片隅に。








今回は、“愉快なオトナたちのリアル講義” 〜Don’t live to eat. Eat to live.〜の前編。
次は番外編、『名刺』を書き記そうと思う。個人的に高校生として名刺が作りたかったから。プロに作り方を聞いてみた。
番外編も大人の方々にとって楽しめるものにしますが、後編、そして完全版ではもっとタメになるものを書いていくので、”学びたい方” はフォローして待っていてください。

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Tiger
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