【映画は映画館で。③】「CLOSE/クロース」/りお編
皆さん、こんにちは!
東京国際映画祭 学生応援団です。
今回も前回に引き続き「最近、メンバーが映画館で鑑賞した作品」というテーマで作品をご紹介いたします!
「映画は映画館で。」と題した今回の連載。
映画館へ足を運ぶことの楽しさや魅力と、それぞれの作品の情報や見どころを、メンバーの個性がたっぷりと詰まった記事を通して、皆様に伝えられれば幸いです!!
第三回目は13期のりおちゃんです!ぜひ最後までご覧ください!!
はじめに
新宿武蔵野館で、ルーカス・ドン監督の最新作、「CLOSE/クロース」を観に行きました!
ルーカス・ドン監督は、前作の「Girl/ガール」で、バレリーナを目指すトランスジェンダーの女性を描いている。そして、長編2作品目の「CLOSE/クロース」は、第75回カンヌ国際映画祭(2022)グランプリを受賞し、第95回アカデミー賞(2023)では国際長編映画賞にノミネートされていて、少年役のエデン・ダンブリンとグスタフ・デ・ウェールは映画初主演となる。今激アツな注目作品だ。
あらすじ
幼馴染のレオとレミ。2人は、大親友で24時間365日いつも一緒にいるような関係だった。13歳になり中学校にあがると、クラスメイトからは、レオとレミの関係が親密にみえ、からかわれてしまう。それが原因で、レオはレミと距離を置いた。そんな中、深刻な事件が起きる...。
作品を鑑賞して
まず、映像の美しさと少年2人の演技に心惹かれる作品でした!しかしその反面、終始胸が苦しくなる作品でもありました。
最初の、色鮮やかな花畑にレオとレミが駆け回るシーンは、とても幻想的で純粋さが素直に表現されている。
その後も季節の移り変わりと共に花畑が映されていて、花畑の色や様子からレオの感情を表しているように見えた。監督ルーカス・ドンの映像を美しくみせながら主人公の心情と結びつけている点は、この作品のみどころだ。
レオとレミの会話シーンでは、ひとりひとりの表情、息づかいを丁寧にカメラで捉えていた。言葉ではなく、表情ならではの読み取ることができる独特な感情が、さらに心を締め付けるポイントになった。レオの上手く言葉にはできない本音が、レミに対する態度で表現してしまい観ていてもどかしくなる。言語化することにより明確になってしまうのを恐れていたのか。それとも、自分でもよくわからない本音を受け入れて言語化するにはまだ幼すぎたのか。10代ならではの悩みが深く伝わる。
レオ役のエデン・ダンブリンとレミ役のグスタフ・ドゥ・ワエルの演技はとても吸い込まれるようだった。
アイスホッケーをするレオをみにきたレミのシーンでは、嫌な顔をするレオとアイスホッケー姿を嬉しそうにみるレミがいた。レミは、レオが距離を置いてることに気づかず今まで通り一緒にいたいという親友を応援したい純粋な気持ちを、表情と動きのみで伝えていて、その辛い感情が嫌なほど心に響いた。
ラストシーンでは、レオが花畑の真ん中にいてカメラをみつめる。その瞳は、何かを訴えているような悲しげな瞳にみえる。しかし、全てに絶望しているわけでもなく、どこかに希望の可能性があると信じている瞳にもみえた。彼の言葉なしの感情を伝える演技は心にぐさっとさった。
2人とも映画初出演の作品なのにも関わらず演技力にとても驚かされた。今後の彼ら活躍も楽しみだ。
この作品は、思春期ならではの"普通"にこだわってしまう10代の問題をリアルに表現している。また、"普通"という常識を壊すべきなのではないかと考えさせられる。日本は、ひとりひとりの個性を大切にしようという傾向はあるが、完全に受け入れられている時代ではない。普通にこだわらずに自分が生きたいように生きていける、それが当たり前になる世の中になって欲しいと改めて思う作品だった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
作品の詳細を細かく自分の気持ちと言葉で表現していて、編集している最中も強い想いが伝わってきました!!
「クロース/CLOSE」は全国の映画館で現在も上映中です!
ぜひスクリーンでご覧ください!
今年の第36回東京国際映画祭は2023年10月23日(月)〜2023年11月01日(水)の10日間です。ぜひご来場ください!!
企画/13期田巻
執筆/13期武内
編集/12期相馬
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