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手紙 東野圭吾
もしかしたら、映画を見たかもしれない。
もしかしたら、本を読んだかも。
記憶にうっすら残っている本でした。
しかしながら、何回目かにも関わらずぐいぐいと読み手を引っ張ってくれる本でした。
この本には刑務所の中のことはほとんど描かれていません。
なのに、受刑者が弟を毎日想って過ごしている様子がありありと描かれています。
罪を、つぐなう― つぐなうとはどういうことか。
当然そういうことが予想できたのに、弟にこんな手紙を書かせるまで気づかなかった自分の阿呆さ加減に、死にたくなるほどの自己嫌悪を覚えました。
なんのことはありません。私はこんなところにいながら、何ひとつ更生などしていなかったのです。
更生とはなにか―
この兄の姿を自分と重ね合わせて、また、弟の姿も自分と重ねて読んでいました。
私も数々の罪を犯してきました。
反省が足りないことは自覚しています。
しかし、この兄のように、心からの反省をする術を持たずここまできました。
罪を犯したものの家族がどうなってしまうのか。
そう、自分は反省したとしても、罪は消えない。
家族もまたその罪に巻き込まれ、悩み、苦しみ、決して救われることのない道を歩むのです。
私は、この本の主人公がよく自死の道を選ばなかったなぁと、感心していました。
もしかしたら、一緒に抱えた罪の気持ちから死ねなかったのかもしれない。
私だったら、もう序盤で自殺未遂を起こしていたでしょう。
そのくらい犯罪者の家族は、家族罪、とでもいうのか、一緒に罪を背負わなければなりません。
この本を読んで、自分の過去を振り返り、ただただ後悔と恥ずかしいばかりです。
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