【映画感想文】命の儚さと美しさを描く、にゃん旅鉄道【微ネタバレあり】
ずっと見たかった映画。
やっと見ました。
『劇場版 にゃん旅鉄道』。
私が本格的にデジタルで絵を描き始めたのは、このにゃん旅鉄道の舞台となる芦ノ牧温泉駅のらぶ駅長を描いてからでした。
当時は猫の駅長がいる路線がある噂は、聞いたことはあったものの、精神的に忙しい時期と重なっていたため、何となくくらいにしか受け止めていませんでした。
福島県には行ったこともないし、福島の景色を見たことはない。
ただ、会津という地方があるということだけは薄っすら知っていて、でもその地域が雪に包まれる地域だということすら知らずにいました。
そんな時、Xで私の瞳に飛び込んできたのは、一匹の猫。
長毛で、瞳がとても美しい猫でした。
彼は駅長帽を被っていました。
そう、彼こそが芦ノ牧温泉駅のらぶ駅長だったのです。
ひと目で心を奪われた私は、その姿をスケッチしました。
まだデジタル絵に慣れていない頃で、クロッキー帳にボールペンで、乱雑な線で描いたのを今のことのように覚えています。
そして、その絵を元にスマホで絵を描き始めました。
そう、あの猫はこんなにふわふわだった、こんなに美しい瞳をしていた。
描いていくうちにどんどん愛情が募り、その絵は私にとっても宝となる美しい絵になりました。
この映画は、そんな芦ノ牧温泉駅の物語。
会津の情緒満点な美しい映像。
厳しい自然も、猫駅長にかかれば美しい物語へと紡がれるのです。
らぶ駅長は、亡くなりました。
私はその時買い物に出ていて、出先でその訃報を知りました。
その場で泣き崩れてしまい、心配してくれた同居の友達と共に、買い物を済ませることなくその場を後にしました。
今でも、これを書いていても、思い出して涙が出ます。
命は、儚い。
でも、だからこそ、美しい。
今でも駅は兄弟猫に駅長を引き継いで続いています。
そう、駅がある限り、彼らの物語は終わらないのです。
白く雪に守られる冬も、花桃の咲く季節も、ずっとずっと続いていくのです。
この映画はそんな美しい会津の時間の流れをゆったりと描いていました。
ハンカチが必須です。
芦ノ牧温泉駅を知らない人にも、ぜひ見てほしい。
そして、いつか花桃の咲く季節に、この駅でみんなに会いたい。
そんな優しい気持ちになる映画でした。