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【連載小説】俺様人生 vol.6「冷やし中華」

軽い苛立ちを抑えながら、俺はとりあえずリモコンをいじる。

だが、一人で歌うのもなんなので、リモコンとにらめっこしていた。

もう十五分経つけど、アスカはなにをやっているんだろう?


スロットコーナーを見に行くと、やっと終わった様子だ。

コインを何かに変えてこっちへ来る。

「歌っててよかったのに……」

「一人で歌うのもなんか嫌で…カラオケ慣れてないし」

「慣れてない?あんまり友達とは行かないの?」

「いや、実は前回が初めてだった」

「えっ、まじ?今までの彼女とも来てないの?」

「今まで彼女がいたことがないんで」


とたんにアスカは目を輝かせた。

「今まで彼女がいたことがないんだ……ってことは、こないだのHが初Hなんだ?」

「……そうですけど」

俺たちは時間を気にして歌い始めた。



歌い終えたら、

「レンくんちでのんびりしよう!」

と言い出し、またしても山登り。


なんと自由奔放な人なんだ…と俺は思った。


コンビニに車を停めて、ジュースと食料を買い求めて家に帰る。

「ただいま」

いつもは誰もいないので言わないセリフが口をついて出た。

「ただいまぁ」

アスカもそれに続く。


「いつも誰もいなくても挨拶するの?」

と、アスカ。

「いつもは無言」

「そうなんだぁ。でも挨拶はする癖をつけといたがいいんだよ。」

と言う。

俺は正直めんどくさい、と思ってしまう。

「あー!今めんどくさいって思ったでしょう?」

当てられて慌てて否定する俺。


俺は無表情のクールキャラだ。

あまり感情を悟られることはない。


俺そんな顔したかな……

とりあえずご飯を食べる。

そのあとはお決まりのパソコン巡回。

アスカは興味深そうに横で見ている。


つまらなくはないんだろうか?

聞くと

「結構面白い」

と言う。

しかし、あまり長時間みられているのもなんなので、少女漫画を与える。


俺は昔から漫画が好きで、男女問わず集めていた。

まさか、こんなときに役立つとは。


アスカはロフト下の押し入れを背もたれに、一生懸命読み始めた。

読むスピードが早い。

あっという間に読んでしまう。今度は長編を与えてみた。

ようやくおとなしくなるアスカ。


そうこうしてるうちにお風呂の時間になった。

アスカが先に入り、俺が入る。


今日も泊まってくのか……

半ば諦めた気持ちになる。


アスカはというと、我がアパートはドケモの携帯すら圏外なため、親から怒りのメールや電話がこないので嬉しいらしかった。


11時になり、俺はうつらうつらしてきた。

ベッドに入るも、一生懸命に話しかけてくるアスカ。

ごめんよ……俺にはもう聞こえない……

そのまま睡眠に落ちた。


アスカは気に入らなかったらしく、何度も俺を起こしたらしいが、起きることはなかったらしい。


まあ、俺、寝たらちょっとやそっとでは起きないからな……



昼前に起きると、アスカがプンスコしていた。

昨日早く寝たのが気に入らなかったらしい。


「俺、いつも11時にはねるから」

「そんなに早くは眠れないもん!」

と言うアスカをなだめつつ、昼御飯を買いにコンビニに行った。


今日は月曜日。

アスカの定休日だ。

アスカはまだ布団でゴロゴロしていた。

俺が食べ物何がいい?

と聞くと

「冷やし中華」

と答えた。

こんな11月の寒空の下で冷やし中華があるかどうか疑問だったので、二番目に食べたいものを聞く。

麺類ならなんでもいいと返事が帰って来た。


おれはまるで使いッ走りのようにコンビニへと足をはこんだ。

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