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His Majesty's Ships 制作記

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H.M.S. Queen Elizabeth Class 1941 英国海軍クイーン・エリザベス級1941制作記 #4 (Pit-Road 1/700)

H.M.S. Queen Elizabeth Class 1941 英国海軍クイーン・エリザベス級1941制作記 #4 (Pit-Road 1/700)


2.H.M.S.Valiant:ヴァリアントの制作(承前)2-8.主砲

 主砲塔の横には短い梯子があり、付属のEP(PE6)を接着するよう説明書に指示がありますが、写真では、B砲塔とX砲塔には左舷右舷共に確認できる(A)ものの、A砲塔とY砲塔にはなかったようです(B)。
 第二次改装後から大戦の初期には、B砲塔とX砲塔上には0.5インチ4連装機関銃が2基ずつ設置されていました(C)。この機銃は

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H.M.S. Queen Elizabeth Class 1941 英国海軍クイーン・エリザベス級1941制作記 #3 (Pit-Road 1/700)

H.M.S. Queen Elizabeth Class 1941 英国海軍クイーン・エリザベス級1941制作記 #3 (Pit-Road 1/700)


2.H.M.S.Valiant:ヴァリアントの制作(承前)2-4.塗装

 主要な構造物の組み立ての後に塗装を行います。まず、全体にサフを噴きます。1/700と縮尺の小さい艦船模型ですが、ゲート処理や合わせ目処理でやすり掛けをした箇所があるのでサフで表面の統一感を持たせる方が良いと思います。また、この艦では艦体鋼板のつなぎ目がモールドされているので必要ありませんが、つなぎ目表現にはサフの重ね塗り

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H.M.S. Queen Elizabeth Class 1941 英国海軍クイーン・エリザベス級1941制作記 #2 (Pit-Road 1/700)

H.M.S. Queen Elizabeth Class 1941 英国海軍クイーン・エリザベス級1941制作記 #2 (Pit-Road 1/700)


2.H.M.S.Valiant:ヴァリアントの制作2-1.はじめに

 クイーン・エリザベス級戦艦の4番艦ヴァリアントです。1916年2月19日の就役で、艦名は「勇敢な」という意味の形容詞「ヴァリアント」(Valiant)に由来し、イギリス海軍において就役した同名の艦としては5代目にあたります。第一次世界大戦では、1916年のユトランド沖海戦に参加してドイツ海軍大洋艦隊に向けて15インチ砲弾を2

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H.M.S. Queen Elizabeth Class 1941 英国海軍クイーン・エリザベス級1941制作記 #1 (Pit-Road 1/700)

H.M.S. Queen Elizabeth Class 1941 英国海軍クイーン・エリザベス級1941制作記 #1 (Pit-Road 1/700)


1 はじめに1-1.クイーン・エリザベス級

 第一次世界大戦前、イギリスとドイツは戦艦や巡洋戦艦といった主力艦の建艦競争を行っていました。1912年度の英国海軍本部の建造計画では6隻の戦艦の起工が予定され、ドイツが14インチ=356mm砲を計画していることから、初めて15インチ=381mm砲Mark.Iの搭載できる戦艦として設計されました。最初は381mm連装砲塔を5基10門搭載予定でしたが、

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H.M.S. Renown 1941 英国海軍巡洋戦艦レナウン 1941制作記 #4 (Pit-Road 1/700 waterline kit)

H.M.S. Renown 1941 英国海軍巡洋戦艦レナウン 1941制作記 #4 (Pit-Road 1/700 waterline kit)


4.その他装備の修正4-1.前部マストの形状

 (A)から(D)にPic.3-1の各時期の写真の前部マスト部を拡大して示しています。キットは1941年8月にレーダー類を追加装備し迷彩塗装した(D)の時期をモデル化しています。このためマストの高さやヤードなどの基本構造を第二次改装後の(A)から(C)の時期に戻し、金属線に置き換えました(E)。
 マストの中段の(F)部分には小型の探照燈のような装

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H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #6 (Tamiya 1/700 waterline kit)

H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #6 (Tamiya 1/700 waterline kit)


8.その他装備8-1.艦載機

 キットにはウォーラスのパーツ(A)がありますが、『Royal Navyは奥が深い』に記載したように、レパルスには、フェアリーIII型水偵が搭載されていたという資料があったため、Orange HobbyのRoyal Oakに付属しているパーツを参考に日本海軍艦船装備セット2の九十四式水偵からフェアリーIII型(B)を作りました。
 その後1939年9月から1941

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H.M.S. Renown 1941 英国海軍巡洋戦艦レナウン制作記 #3 (Pit-Road 1/700 waterline kit)

H.M.S. Renown 1941 英国海軍巡洋戦艦レナウン制作記 #3 (Pit-Road 1/700 waterline kit)


3.塗装3-1.単色?迷彩?

 改装後のレナウン(A)のように、第二次大戦前の英国艦は標準色である507C(Admiralty Light Grey)で艦体を塗装していました。開戦後の本国艦隊は507B(Admiralty Medium Grey)に塗り替えられたのですが、レナウンの場合は1940年頃のH部隊としてアークロイヤルやシェフィールドと写っている写真(B)(C)では、木甲板と同程度の

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H.M.S. Renown 1941 英国海軍巡洋戦艦レナウン制作記 #2 (Pit-Road 1/700 waterline kit)

H.M.S. Renown 1941 英国海軍巡洋戦艦レナウン制作記 #2 (Pit-Road 1/700 waterline kit)


2.艦体と主要構造物の修正点2-1.艦体の制作時

 いつものように艦底パーツに穴を開けてナットを仕込んだ後、艦体パーツを接着しました。艦体パーツは一体型ですが、艦底パーツとの間には若干のずれが生じたので、パテを埋め込む、あるいは削り落とす作業が必要でした。
 甲板はいくつかのパーツに分割されているので、木甲板部のモールドを削り落として、自作クラフト紙木甲板に形を写し取った後、艦体に接着しました

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H.M.S. Renown 1941 英国海軍巡洋戦艦レナウン制作記 #1 (Pit-Road 1/700 waterline kit)

H.M.S. Renown 1941 英国海軍巡洋戦艦レナウン制作記 #1 (Pit-Road 1/700 waterline kit)


1.はじめに1-1.巡洋戦艦レナウン

 レナウンは、第一次世界大戦中に建造されたイギリス海軍の巡洋戦艦レナウン級のネームシップです。当初はリベンジ級戦艦の改良型として起工されましたが、戦争勃発により建造は一旦中断されました。第一海軍卿として艦船建造の責任者に復帰したフィッシャー提督は、巡洋戦艦ならすぐに建造して就役できるとして、レナウンの建造を再開する承認を得ました。
 基準排水量27,600

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H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #5 (Tamiya 1/700 waterline kit)

H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #5 (Tamiya 1/700 waterline kit)


6.各部の仕上げ(承前)6-6.錨鎖

 0.1mm径ほどの銅線を二つに折り、両端をピンバイスで挟み込み(A)、折ったところをゼムクリップなどペンチで挟みやすいものに通して、(C)をペンチでしっかりとホールドしたまま、ピンバイス(D)を回していきます。
 銅線全体が等間隔の細かい捻じれができたら、ペンチに平たい部分で捩じった部分(E)を潰していきます。潰しすぎるとキットのモールドと変わらないもの

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H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #4 (Tamiya 1/700 waterline kit)

H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #4 (Tamiya 1/700 waterline kit)


6.各部の仕上げ6-1.レジンによるガラス窓表現

 写真は第2次改装前のものですが、艦橋の窓の部分(A)(B)は吹き抜けでなくガラスとなっていたようです。このため、塗装後にガラス窓表現をしました。パーツB1とB4の窓枠部分はEP(C)を使用しました。このパーツと4-1で作成した(D)の窓枠の内側に透明UVレジン(百均のネイル用)をつまようじの先で塗布します。レジンに粘性があるので表面張力で膜を

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H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #3 (Tamiya 1/700 waterline kit)

H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #3 (Tamiya 1/700 waterline kit)


4.中央構造物(承前)4-3.後部構造物

 1938年10月~39年3月に、10.2cm連装高角砲2基を撤去し、10.2cm単装高角砲4基を6基に、12.7㎜4連装機銃2基を4基に増設しましたが、この改装中に、国王ジョージ五世と王妃エリザベスのカナダ訪問が決まり、レパルスはお召し艦の栄誉を担うことになりました。このため元々高級士官の居室スペースであった後部構造物をRoyalFamilyのための

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H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #2 (Tamiya 1/700 waterline kit)

H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #2 (Tamiya 1/700 waterline kit)


3.1941年5月時にするには3-1.艦橋基部

 キットは最終時なので20㎜エリコン(Oerlikon)単装機銃12基を装備した状態でモデル化されていますが、資料によって最終時の単装機銃の数は6~12とマチマチで、設置時期も不明です。東洋艦隊配属前の1941年の8月に単装機銃を8基増強したという記述があったので、5月の状態では未設置と考えました。このため、艦橋基部(パーツA7)の司令塔横の張り

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H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #1 (Tamiya 1/700 waterline kit)

H.M.S. Repulse 1941 英国海軍巡洋戦艦レパルス制作記 #1 (Tamiya 1/700 waterline kit)


1.はじめに1-1.巡洋戦艦レパルス

 1914年から建造の始まったR級(リヴェンジ級またはロイヤル・ソブリン級)は、第一次世界大戦の開戦により5隻が建造された時点でキャンセルとなり、その予算と資材を利用してフィッシャー提督は、タイガー以降建造が途絶えていた巡洋戦艦の建造を新たな発想で計画し建造に取り掛かりました。R級用として用意されていた15インチ(38.1cm)砲を3基6門搭載し、バルト海

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