見出し画像

H.M.S. Renown 1941 英国海軍巡洋戦艦レナウン制作記 #3 (Pit-Road 1/700 waterline kit)


3.塗装

3-1.単色?迷彩?

Pic.3-1 艦体色

 改装後のレナウン(A)のように、第二次大戦前の英国艦は標準色である507C(Admiralty Light Grey)で艦体を塗装していました。開戦後の本国艦隊は507B(Admiralty Medium Grey)に塗り替えられたのですが、レナウンの場合は1940年頃のH部隊としてアークロイヤルやシェフィールドと写っている写真(B)(C)では、木甲板と同程度の明度なので507Cのままでであったと思われます。
 写真によっては、甲板より下の舷側が上部より暗い色合いで写っている場合があり、507Cと507Bに塗分けられていた時期もあったようです。前述したように開戦後長く海上任務に就いていたので艦体全部を塗り替える時間がなかったのかもしれません。迷彩塗装(D)となったのは1941年8月のドック入り以降となります。
 以上のことから1941年5月時のレナウンは、507Cの単色塗装とすることにしました。尤も、英国艦はこの色の姿が一番好きだからというのが一番の理由です。
 少し気になる点があります。(A)の写真で装備の一部が濃い色となっています。改装直後と思われますので、ポンポン砲などはカバーなどがかかっているためかもしれませんが、艦橋TOP部の測距儀類や砲身も黒っぽくなっています。

3-2.塗装の順番

Pic.3-2 鉄甲板部

 塗装の前に、各パーツの組み立ては殆ど済ませました。マスト類を除くエッチングパーツも手すりを含めて接着してしまいました。艦体を塗装して紙製の甲板を接着した後に、手すりを付けると瞬着がはみ出して盛り上がったり、紙に染み込み込んだりすることがありましたが、自作木甲板を予めきっちりと作っておけば、手すりを付けた後でも手すりを損傷することなく接着できることがわかったので、レパルス制作からこの工程で行っています。EPの接着が少々うまくいかなくても塗装でリカバリーできる利点もあります。
 艦橋をはじめとする各構造物やシェルターデッキ上の甲板のうち木甲板以外はCemtexのような素材か滑り止めの塗装がなされたいたので、艦橋の狭い部分はまず筆で507Bを塗り、マスキングゾルで覆いました(A)。
 ここまでの工程ののち艦体と各部品にサフを噴きました。船首部分の鋼材の継ぎ目ができるようマスキングテープを張り、2回目のサフを噴きました。
 次に、シェルターデッキをはじめ甲板部分に507Bを噴き(B)、マスキングゾルで覆い、最後に艦体と各部品に507Cを噴きました。

3-3.塗装後の接着

Pic.3-3 塗装後の接着

 鉄甲板部を覆っていたマスキングゾルを水洗して取り除き、自作木甲板の最終的な位置決めをしました。この時、通風筒を接着する場所はポンチで円形にくりぬいておきました。手すりに干渉しないように注意して「ハイグレード模型用」セメダインで接着しました(A)。
 次に主要な構造物を接着しました(B)。前述したようにこれらの構造物は歪みや隙間が生じやすいので、木甲板に接着剤が染み込まないよう注意しながらしっかりと上甲板に接着しなければなりません。
 さらに、艦首や艦尾の通風筒、ホーサーリール、巻揚げ機、昇降口と窓といった甲板上の装備を貼っていきました(C)。通風筒は大・中・小の3種類のレジン製品を、その他はプラ板等で自作しました。

3-4.レジンのガラス窓

Pic.3-4 艦橋の窓

 艦橋の窓はガラスだったようなので、透明UVレジンをつまようじの先で窓枠の内側に塗布後、日光に当てて固化させました(A)。窓の部分にだけマスキングするのは難しいので、この工程も塗装後に行わなければなりません。(B)の部分は吹き抜けではなかったかと考え、枠のままとしました。

3-5.砲身と砲身カバー色

Pic.3-5 主砲

 3-1で指摘したように、Pic.3-1の写真で主砲の砲身が濃い色に見えます。このため、砲身は507Bにしました。
 このキットでは砲身カバーが表現されていなかったので、砲塔に接着後、パテで作りました。また、砲身カバーは、迷彩時ではレパルスと同様に白のキャンバスですが、この時期は濃いグレーのキャンバスが用いられていたようなので、507Bより少し明度を上げたグレーをパテの上に筆塗りしました。

2024年7月制作開始
© 2024 Thyme Craft All Rights Reserved.

いいなと思ったら応援しよう!